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枡野浩一のモヤモヤすっきり短歌 【第7回】

 

財布をちゃんと持っているのに忘れたと思ってしまい、コンビニのレジで「すみません、出なおします!」と言ってしまったあとで財布を発見し、モヤモヤしたばかりですと笑う歌人の枡野浩一さん。

7回目を迎える当連載は、題して「モヤモヤすっきり短歌」。

忙しい日々の中で、悩みと呼ぶほどは深刻ではないモヤモヤを、あなたも抱えていませんか?

 

この連載「モヤモヤすっきり短歌」は、悩み相談というほど大袈裟ではないものの、なんかモヤモヤするというエピソードをみなさんから寄せていただいて、それに枡野さんが短歌を捧げる、という企画です。

 

「そんな企画なんですけど、愕然とするほど深刻な悩み相談が届くことが多くて紹介できず、モヤモヤします。

きょうは珍しくライトなモヤモヤ話が届いたので、紹介しますね」

 

●ボタン電池が捨てられずモヤモヤします

《もう10年ほど前からですが、玄関にある小銭かごに使用済みのボタン電池が紛れています。

百円玉と間違えては、ちっ!と舌打ちしてしまいます。

だったら、そのとき取り出してゴミの日に処分するべきなのですが、かれこれ10年もたってしまいました。

これからも百円玉とボタン電池を見間違えながら、生きていくような気がしています。

というわけで、すこしもやもやしています。(。・ω・。)》

(ひょんさん)

 

まあ、こういうことは「あるある」ですけれど、十年は長いですね。

 

「そうですね。

ピカピカの小学一年生が高校生になってしまうくらいの歳月です。

電池はたしかに捨てるのが面倒なものですが、小銭カゴから取り出して、マスキングテープで天井に貼り付けたりしたらいかがでしょう」

 

普通に捨てたほうが早いと思います。

 

「おっしゃるとおりです。

というわけで、ひょんさんには、こんな短歌を捧げますね」

 

 

写真:田形千紘  字と絵:目黒雅也

 

▼歌人より一言
「どんなアドバイスをしても、ひょんさんはこれからも、ずっとボタン電池を捨てられないかもしれません。

だとしても、そのことに慣れてしまわず、人間らしい葛藤をいつまでも抱え続けて欲しい、という願いをこめて詠みました。

この日々が一生続くと覚悟を決めることで、モヤモヤせずに済むのではないか、という新提案です。

ご健闘をお祈りします」

 

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【モヤモヤ募集中!】 「みなさまのモヤモヤを募集しております。

モヤモヤ話にペンネームを添えて、枡野浩一のメールアドレス(ii@masuno@de)宛に直接メールください。

私から直接メールでご連絡します。

とくにお礼もできませんが、モヤモヤするあなたの気持ちをすっきりさせる短歌を捧げます。

短歌にすることはできなかったけれど、興味深かったモヤモヤ話の一部は、ご本人の許諾を得て、ポッドキャスト番組《本と雑談ラジオ》(https://youtu.be/IJ1GqYH3qP8)で紹介するかもしれません。

こちらも、あわせて聴いていてみてください」

 

枡野浩一   YouTubeチャンネル https://www.youtube.com/user/masunomasuno?sub_confirmation=1

ツイッター https://twitter.com/toiimasunomo/status/962192211503820801

名刺 https://masunobooks.com/

新刊 https://www.akaneshobo.co.jp/search/info.php?isbn=9784251011039

 

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編集・構成 MOC(モック)編集部
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PROFILE

枡野 浩一

枡野浩一(ますの・こういち)1968年東京うまれ。1997年『てのりくじら』(実業之日本社)他で歌人デビュー。短歌代表作が高校国語教科書(明治書院/大修館書店)に掲載中。短歌小説『ショートソング』(集英社文庫)は漫画化され、漫画版がアジア各国で翻訳されている。五反田団などの演劇出演を経て、44歳からの2年間、芸人事務所SMAに所属。【元相方たちは漫才コンビ「すっきりソング」として活躍していたがボケ担当が失踪。】『踊る!さんま御殿‼︎』で「踊る!ヒット賞」に選ばれたことがあるが、賞品はまだ受け取っていない。昨今は絵本を続けて刊行しており、イラストレーター目黒雅也との共著『しらとりくんはてんこうせい』(あかね書房)が発売中。

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