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枡野浩一のモヤモヤすっきり短歌 【第2回】

 

ツイッターを愛用し、エゴサーチが日課だという歌人の枡野浩一さんは、お笑い芸人バカリズムこと「升野さん」のことを、「枡野さん」と誤記する人の多さにモヤモヤしているそうです。

そんな枡野さんがスタートした連載は、題して「モヤモヤすっきり短歌」。

忙しい日々の中で、悩みと呼ぶほどは深刻ではないモヤモヤを、あなたも抱えていませんか?

 

この連載「モヤモヤすっきり短歌」は、悩み相談というほど大袈裟ではないものの、なんかモヤモヤするというエピソードをみなさんから寄せていただいて、それに枡野さんが短歌を捧げる、という企画です。

 

「はい。今回は、前回よりは深刻さが少ないモヤモヤをひとつご紹介しますね」

 

●ツイッターでエアリプしてモヤモヤします

《わたしはツイッターで日頃から、いろんな愚痴とかを書いているのですが、あるとき友人に

「わたしのこと言ってるんだろうな、直接言ってきたらいいのにと思うことがある」

と言われました。

わたしとしては例えば「街でみかけたマナーの悪いやつ」や「テレビの街頭インタビューうけてたひとの言葉遣いが変でいやだ」といったしょうもない文句を書いてたのですが、それがどうやらその友人にあてはまっていたようで、自分のことを書かれていると思ったようなのです。

そこで、わたしは「あなたのことを書いたわけじゃないよ」といちおう言うのですが、心のどこかでは「おまえもそれにあてはまるような人間だったのか」と思うので、仲違いしてもかまわないかな…と思ってモヤモヤしてしまうのです。

長年の友人を失ってしまうことよりも長年の友人がそれらにあてはまるひとだったことがいやだし、それらにあてはまるひとと仲良くしたいかというとそうでもないし…。

わたしがしょうもない文句をツイッターに書くのをやめたら解決するのかもしれないしそれが大人の対応なのかなとも思うのですが、ツイッターに書くことを制限してまで…と。

いまこのメールを書いていて「ああ、もうあの子と仲良くできなくてもいいんだな」と思い始めました。

まわりに共通の友人もたくさんいるし、うわべだけでも取り繕っておくべきかな。

モヤモヤします。》

(匿名希望さん)

 

なるほど。

 

「このかたはメールを書くことによって、友人との別れを覚悟しているようですね。

このかたのモヤモヤを短歌化しますね。詠みます」

 

▼歌人より一言

「エアリプというのは、ツイッターで特定のだれかに言いたい意見を、特定のだれかに直接伝えるのではなく、世界へ向かってツイートする行為のことです。

短歌だけを先に読んだとしても、意味が通じるようになっているといいんですが。

この連載の記事が公開されたとき、この匿名希望さんの友人関係がどうなるのか心配ですが、そんなに悪い方向に向かわないようにお祈りしております」

 

写真:田形千尋  字と絵: 目黒雅也

 

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【モヤモヤ募集中!】

「みなさまのモヤモヤを募集しております。

モヤモヤ話にペンネームを添えて、枡野浩一のメールアドレス(ii@masuno@de)宛に直接メールください。

私から直接メールでご連絡します。とくにお礼もできませんが、モヤモヤするあなたの気持ちをすっきりさせる短歌を捧げます。

短歌にすることはできなかったけれど、興味深かったモヤモヤ話の一部は、ご本人の許諾を得て、ポッドキャスト番組《本と雑談ラジオ》(https://youtu.be/IJ1GqYH3qP8)で紹介するかもしれません。

こちらも、あわせて聴いていてみてください」

 

枡野浩一

YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/user/masunomasuno?sub_confirmation=1

ツイッター
https://twitter.com/toiimasunomo/status/962192211503820801

名刺
https://masunobooks.com/

新刊
https://www.akaneshobo.co.jp/search/info.php?isbn=9784251011039

 

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編集・構成 MOC(モック)編集部
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PROFILE

枡野 浩一

枡野浩一(ますの・こういち)1968年東京うまれ。1997年『てのりくじら』(実業之日本社)他で歌人デビュー。短歌代表作が高校国語教科書(明治書院/大修館書店)に掲載中。短歌小説『ショートソング』(集英社文庫)は漫画化され、漫画版がアジア各国で翻訳されている。五反田団などの演劇出演を経て、44歳からの2年間、芸人事務所SMAに所属。【元相方たちは漫才コンビ「すっきりソング」として活躍していたがボケ担当が失踪。】『踊る!さんま御殿‼︎』で「踊る!ヒット賞」に選ばれたことがあるが、賞品はまだ受け取っていない。昨今は絵本を続けて刊行しており、イラストレーター目黒雅也との共著『しらとりくんはてんこうせい』(あかね書房)が発売中。

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