二人きりでお酒を飲んだりオセロゲームで遊んだりした女性から、「あなたとは友達でもなんでもなかったです」と絶交されてモヤモヤしたことがあるという歌人の枡野浩一さん。
6回目を迎える当連載は、題して「モヤモヤすっきり短歌」。
忙しい日々の中で、悩みと呼ぶほどは深刻ではないモヤモヤを、あなたも抱えていませんか?
この連載「モヤモヤすっきり短歌」は、悩み相談というほど大袈裟ではないものの、なんかモヤモヤするというエピソードをみなさんから寄せていただいて、それに枡野さんが短歌を捧げる、という企画です。
「はい。
今回のモヤモヤは、モヤモヤする気持ちはなんとなくわかるものの、いったいどう解決したらいいのかわからないモヤモヤでした。」
●クズ男と関係してはモヤモヤします
《はじめまして。
ペンネーム・モモです。短歌が好きです。
このたびは、モヤモヤを送らせてもらいます。
私は、いわゆるダメンズやクズ男に惹かれるみたいで、いつも自分から傷つきにいってしまいます。
自分にアプローチしてくれる人の好意は嬉しいけど、いい人はもの足りないみたいで。
体の関係になったり、都合のいい存在になったり、頭ではよくないと分かっていても、ずるずる繰り返してしまう。
自分がちぐはぐになっている感覚です。
根っこは直らない気がするから直すつもりはないけど、これでいいのかなってモヤっとしています。
しあわせになりたい気持ちはあるけど、しあわせってそれぞれ違うよな、とか、 誰も傷つかなかったらいいか、あれ、わたしは傷ついてるのかなあ、とか、 モラルってなんだっけ、とか。
というように。 送るだけで、ちょっとすっきりしそうです。
ありがとうございます。》
(モモさん)
こういう話はわりとありそうですね。
「そうですね。
まずモモさんには、二村ヒトシさんの『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか 』(文庫ぎんが堂)を読むことをおすすめします。
一冊まるごと、あなたに宛てて書かれたような本です。
素晴らしい本なのですが、本を読んだからといって、それがすぐ解決するとは私には思えないんです」
どうしてですか?
「モモさんみたいな女性と昔、交際したことがあるからです。
その女性は、いわゆるヤリチンみたいな人とばかり交際してきたようなのですが、私自身はヤリチンの正反対ですから、例外的な交際相手でした。
そして結局、例外的だったせいで長くは続かなかったと、私の側では解釈しているんです」
モモさんも《いい人はもの足りないみたいで。》と書いていますね。
「そうですね。
だから、もの足りなくないように生きるのも、ひとつの態度だとは思うんですよ。
でも二村ヒトシさんには別の考えがあるかもありません。
まずは本を読んでみてくださいね。
私からは、あなたに、こんな短歌を捧げます」
▼歌人より一言 「この短歌は、カギカッコでくくったセリフが命、そこがなければ成立しない一首です。
作品の手柄はすべて、このセリフを言った人にあると思っています。
今はどこにいるのかも知らない、その人が元気でありますように。
モモさんも、もの足りなくない毎日を、とりあえず生き生きと過ごせますように」
//
写真:田形千紘 字と絵:目黒雅也
【モヤモヤ募集中!】 「みなさまのモヤモヤを募集しております。
モヤモヤ話にペンネームを添えて、枡野浩一のメールアドレス(ii@masuno@de)宛に直接メールください。私から直接メールでご連絡します。
とくにお礼もできませんが、モヤモヤするあなたの気持ちをすっきりさせる短歌を捧げます。
短歌にすることはできなかったけれど、興味深かったモヤモヤ話の一部は、ご本人の許諾を得て、ポッドキャスト番組《本と雑談ラジオ》(https://youtu.be/IJ1GqYH3qP8)で紹介するかもしれません。
こちらも、あわせて聴いていてみてください」
枡野浩一 YouTubeチャンネル https://www.youtube.com/user/masunomasuno?sub_confirmation=1
ツイッター https://twitter.com/toiimasunomo/status/962192211503820801
新刊 https://www.akaneshobo.co.jp/search/info.php?isbn=9784251011039
編集・構成 MOC(モック)編集部
人生100年時代を楽しむ、
大人の生き方マガジンMOC(モック)
Moment Of Choice-MOC.STYLE