今年の岸田戯曲賞にノミネートされた糸井幸之介さんの演劇公演に、二度出演したことがあるという歌人の枡野浩一さんは、大の運動おんち。
「ダンスが下手すぎて、お客さんがみんな枡野さんを見てしまう。ずるい!」と共演者に責められてモヤモヤしたことがあるそうです。
そんな枡野さんがスタートした連載は、題して「モヤモヤすっきり短歌」。
忙しい日々の中で、悩みと呼ぶほどは深刻ではないモヤモヤを、あなたも抱えていませんか?
この連載「モヤモヤすっきり短歌」は、悩み相談というほど大袈裟ではないものの、なんかモヤモヤするというエピソードをみなさんから寄せていただいて、それに枡野さんが短歌を捧げる、という企画です。
「はい。今回も新鮮なモヤモヤが届いております」
●テレビ至上主義の人々にモヤモヤします
《私は現在、社会人劇団に所属しています。
この劇団は県の事業で行われているもので、私のように民間の会社員だけでなく、県の職員さんもいます。
この前の日曜日、旗揚げ公演があり私の職場の人も来てくれました。
週明けて今日、見にきてくれた職場の人(Kさんといたします)と、そのことについて話していた際にもモヤモヤいたしました。
県の事業ということもあり、当日は地元の新聞やテレビ局が来ており、主役の俳優のインタビューを希望していました。
が、インタビューができず、メディアが腹を立てていたそうです。
実は主演は県の職員。
今回の事業とは別の部署に所属しているため、自分の部署に配慮し、インタビューを断ったそうです。
Kさんは仕事上、地元メディアに顔が効くため、会場でたまたま会ったメディアからそのクレームを聞いたそうです。
メディア、そしてKさんが言うには、
「県庁職員なら、県の事業にメディアが来るなんて予想できるよね? それなら出演しなければいいのにね」
いったい、何を言っているのでしょうか。
私たちはテレビに出るために演劇をしているのではないし、そんなもののために演劇をしたい気持ちを諦めるなど。
ほんとうに、演劇というのはまったく理解されないものなのだと悲しく、悔しい気持ちでいっぱいです。
ちょっとモヤモヤ以上かもしれません…》
(社会人劇団所属さん)
モヤモヤしてますね。
「このかたのご意見に完全同意し、詠みます」
▼歌人より一言
「ちょっと不穏な下の句になりましたが、あの石川啄木だって、このくらい殺意のある短歌は詠んでいます。
詳しくは私が現代語訳を担当した『石川くん』(集英社文庫)をご参照ください」
写真:田形千尋 字と絵: 目黒雅也
【モヤモヤ募集中!】
「みなさまのモヤモヤを募集しております。
モヤモヤ話にペンネームを添えて、枡野浩一のメールアドレス(ii@masuno@de)宛に直接メールください。
私から直接メールでご連絡します。
とくにお礼もできませんが、モヤモヤするあなたの気持ちをすっきりさせる短歌を捧げます。
短歌にすることはできなかったけれど、興味深かったモヤモヤ話の一部は、ご本人の許諾を得て、ポッドキャスト番組《本と雑談ラジオ》(https://youtu.be/IJ1GqYH3qP8)で紹介するかもしれません。
こちらも、あわせて聴いていてみてください」
枡野浩一
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編集・構成 MOC(モック)編集部
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