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全世界が直面する、環境問題を正面から問い直す写真展が開催!!

 

 

KOTARO NUKAGAは6月2日(火)から7月4日(土)まで、リーラ・ショーブル「Subsequence Landscape」を開催する。

リーラ・ショーブルは1989年生まれ。オーストラリアのメルボルンを拠点とし、写真や映像の制作活動を行っている。

彼女の作品の重要なテーマは気候変動などの自然環境問題であり、今回が日本では初の作品発表の機会となる。

 

2015年に北極圏でのアーティスト・イン・レシテジデンスに参加。

人類がもたらした自然環境への影響を目の当たりにした。

 

 

人類と環境との関係を自身の研究テーマとし、2018年にはアマゾンの熱帯雨林でアーティストや研究者と共に活動をするアーティスト・イマージョン・プログラムに参加。

そこでの撮影をもとに制作されたのが今回発表するシリーズ「Growing in the Dark」と「Signal」。

「Growing in the Dark」は、アマゾンの奥地に生息する植物を写真で捉えたシリーズ。

過酷な環境変化に適応しながら強かに生きる植物の姿は、生命そのものの形であり崇高な神秘さをたたえている。

 

 

「Signal」は、LEDライトを用いた映像作品のシリーズ。

自然環境の中に設置したライトをSOSのシグナルに見立て、自然と人間との関係を問い直す試み。

現地の研究者との間で行ったフィールドワークを通して見出された生態系の背後にある科学の存在は制作において重要な役割を担っており、環境というテーマをアートというジャンルに留まらない多角的アプローチによって見事な作品に昇華させている。

 

 

同時に、2015年に北極圏で撮影された「North」シリーズも展示。

ショーブルの環境問題に対峙する視座と、現在に至るまでの作風の変遷を辿ることができる。

環境大国といわれるオーストラリアのみならず、今や自然環境問題は現在進行形で全世界が直面する大きな問題。

自然と人間との関係を地球全体の問題として、また個々人の問題としてそれぞれに考えるきっかけとなる写真展だ。

 

 

 

開催概要

リーラ・ショーブル「Subsequence Landscape」|Leela Schauble:Subsequence Landscape

会期:2020年6月2日(火) – 7月4日(土)

時間:12:00-17:00 ※日月祝休廊

※会期・時間は新型コロナウイルス感染拡大防止のための国や自治体の要請等により変更の可能性あり

 

会場

KOTARO NUKAGA

〒140-0002 東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 3F

アクセス:東京臨海高速鉄道りんかい線「天王洲アイル駅」B出口から徒歩約8分/

東京モノレール羽田空港線「天王洲アイル駅」南口から徒歩約10分/

京急本線「新馬場駅」北口から徒歩8分

 

 

【Growing in the Dark 2020】

このシリーズにおいてショーブルは、過酷な環境変化のなかでの適応力と回復力というテーマを取りあげた。

写し出されるのは、陽の当たらない澱んだ水底で自ら細胞分裂しながら成長し、悪条件下で必死に生き残りをかけて繁殖する植物の姿である。

研究者と行動を共にしたアマゾン滞在中に、ショーブルは生態系の適応力の仕組みと気候変動危機が内包するリスクへの科学的知見を得た。

一連の作品は環境問題で二つに割れた社会や日々深まる分断に対する、アーティストの一つの回答である。

母国オーストラリア政府は環境問題を矮小化しようと必死であり、検閲、隠蔽、予算削減などあらゆる手を使って国民に事実を知らせようとしない。

それに抗う必要性がかつてないほど切望されている。

作品は人的温暖化が引き起こした自然環境の悪化の記録にはとどまらず、新たな環境への適応力が生み出す希望を同時に示している。

 

 

アーティスト・イマージョン・プログラムLABVERDEにおいて、ショーブルはビデオシリーズという手法を用いてアマゾン熱帯雨林の中で撮影を行い、自然と人間、そして科学の間に横たわる断絶を切り取った。

自立した生態系が織りなす複雑さや神秘性を、作品制作をとおして今ひとたび見つめ直そうとした。風景の中に見え隠れするLEDライトに導かれ鑑賞者と自然との間で対話が始まろうとしている。

だが、ライトの点滅が示すのはSOSシグナルである。

しかしその信号さえも周囲のライトが張り合わんばかりに発する数々の光によってかき消されてしまう。

この地球に生きる一員として、わたしたち人間はどう自然と向き合い、どう責任を果たすべきか、ショーブルは静かに問いかけている。

 

ショーブルが2015年に北極圏を訪れた際の写真シリーズ。収められている北極の景色はまるで息をのむような美しさであるが、この風景が永遠に残るかどうかは不明である。

撮影はノルウェーのスヴァーヴァル諸島に位置する、旧ソビエト時代のゴーストタウンであるピラミデンで行われた。

広大な北極原野が抑えた色調で写し出されることで、再現なく広がる風景とかつて人間が生活していた痕跡とのコントラストが迫る。

 

 

【リーラ・ショーブル Leela Schauble】

1989年生まれ メルボルン(オーストラリア)在住

2011年にモナシュ大学ファインアート科を優等学位で卒業、2017年にビクトリアカレッジオブアーツ(メルボルン)にてファインアート修士取得。

主なグループ展出展歴

Local Futures: The Culture China Young Overseas Chinese展(2013年、何香凝美術館、中国)

Channel Festival(2015年、Q.U.A.D. Projects、メルボルン)

The Persuaded Landscape(2017年、Watch This Space、アリススプリングス、オーストラリア)

Frames(2017年、Seeing Nite Art、メルボルン)

主な開催個展

「Signal」(2016年、バス・プロジェクツ、メルボルン)

「Taken Spaces」(2016年、パース写真センター)など。

2019年、現代写真センター(メルボルン)でのILFORDのフォトメディア部門での優秀賞など受賞歴多数、着実にキャリアを重ねている。

ウェブサイト

 

 

編集・構成 MOC(モック)編集部
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