2019年1月29日(火)~2月15日(金)にて、 第18回写真「1_WALL」グランプリの、 中野泰輔の個展を開催。
中野泰輔は、第18回写真「1_WALL」グランプリを受賞。
審査員からは、 「絶望し悲観的になるのではなく、 衝撃を受けた体験を客観視し作品へ昇華した」と高く評価された。
本展では、 家族や恋人といった身近な人物の欲望をテーマに、 幻想的な色彩の写真を展示する。
写真の上にゼリー状の膜を張り独自のイメージを作り上げる作品は、 人々を第三者的視点で捉えた。
中野にとって他者の欲望を知ることは、 人間の知られざる顔に出会う体験でもあります。
それは、 世界は場所、 時間、 ジェンダーや年齢などで簡単に区切ることはできず、 一人の人間には想像を超えた多様な側面があることを示唆します。
会期中2月6日(水)には東京国立近代美術館主任研究員の増田玲さんをゲストに迎え、 写真と言語の関係性をテーマにしたトークイベントを開催する。
トークイベントURL: https://18phtaisukenakano.peatix.com
<作家コメント>
母親に対して、 「この人は誰なんだろう」と思うことがある。 姿形はよく知っている人なのに、 中身はエイリアンなんじゃないだろうかみたいな。
恋人を見て、 「この人は本当に存在するのだろうか」と思うこともある。 触る事ができるし、 話しかけることも出来るけど、 実は幽霊だったりするんじゃないだろうかと。
そういえば去年、 恋人の車に乗って高速道路を走っている時の事。 確か前日から喧嘩をしていて、 酷い言い合いをしていた気がする。 大きな声で怒鳴られたので、 イライラしながら隣を走る車を見ると、 運転席に私が座っていた。
「やばいじゃん」という気持ちより、 「まぁあるよね、 あるある」という気持ちが強かった気がする。
窓を開けて何か声をかけようと思ったけれどやめておいた。
もう一人の私がいるという事は、 母親や恋人に対する疑惑もあながち間違いではないでしょ? と誰かに自慢したい気持ちになってニンマリしていると、 また怒鳴られてしまった。
<審査員より>
どのように理解していいかわからなくなった内面を中野は写真でしか出来ない表現を駆使し、 世界に開示してやろうというたくらみをもっている。
そこには身体性をもってアイデンティティを表現する方法が変わって来るきざしを感じる。
気泡入りの虹色に光るゼラチンの膜でつつまれている写真は、 身体的な繫がりをもったモノやどうしても切り離すことのできない身内に向かう。
意図的に自らの中でキャンセルすることや引っかかった磁気テープや記憶媒体でつなぎ合わせ反復して見つめることで不確かで感覚的な日々を写しとる。
その写真は時間の感覚を混乱させ独自の世界にいざなう。
くしゃくしゃシルバー空間の前に座る母の股から不可解なアルミのテープが垂れている、 自らのさらけ出しかたを悩み物事や関係性に対して繊細かつ実験的につむぐことで見つけ出した中野の写真は、 見る者を既視感なき世界へと送り込む。
その世界を積み上げ発見する面白味に気づいた作家の作品に魅力を感じ期待を持つ。
百々新(写真家)
中野泰輔
1994年生まれ。 2017年武蔵野美術大学映像学科卒業。
2018年第18回写真「1_WALL」グランプリ受賞。
【展示概要】
会期:2019年1月29日(火)~ 2月15日(金)11:00-19:00 日曜・祝日休館、 入場無料
主催:ガーディアン・ガーデン
※オープニングパーティー 2019年1月29日(火)19:00-20:30
トークイベント「目/口」※参加無料、 要予約
https://18phtaisukenakano.peatix.com
日時: 2019年2月6日(水)19:10-20:40
増田玲(東京国立近代美術館 主任研究員)×中野泰輔
詳細はウェブサイトよりご確認ください。
http://rcc.recruit.co.jp/gg/?p=34390
【アクセス】
ガーディアン・ガーデン
〒104-8227
東京都中央区銀座7-3-5 ヒューリック銀座7丁目ビルB1F
- 開館:11:00 a.m.-7:00 p.m.
- 日曜・祝日休館
- ※展覧会によって開館時間や休館日が変更になる場合があります。
編集・構成 MOC(モック)編集部
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