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空海の時代からつづく、日本が誇る伝統工芸品 “奈良墨” 。今回、経済産業省大臣指定に認定!

 

 

奈良市の「奈良墨」が、 経済産業省により、 伝統的工芸品として新たに指定された。

今回これにより、 奈良市内で指定されている伝統的工芸品は「奈良筆」に次いで2品となる。

 

 

 

 

 

1.伝統的工芸品の新規指定について

「奈良墨」は、 平成30年8月16日に開催された産業構造審議会製造産業分科会伝統的工芸品指定小委員会における審議の結果、 新規指定について了承されたことから、 官報告示によって経済産業大臣指定品目となった。
奈良市内で指定されている伝統的工芸品はこれまで「奈良筆」のみだったが、 「奈良墨」の指定で2品目となる。

 

 

 

 

2.奈良墨の概要

奈良墨は明日香の地で始まったとされ、 都が京都へ移ってからも奈良には多くの社寺があることから、 写経や学問に必要な墨の工房は奈良に留まった。
奈良市にある興福寺二諦坊の燈明の煤を集めて作ったとされている油煙墨が、 良質な「奈良墨」として名声を得て以降、 現在まで長い伝統を保持している。

墨には松脂を燃やして造る「松烟墨」と、 菜種や胡麻、 桐の油を燃やして造る「油煙墨」とがある。
南都油煙墨と呼ばれた、 いわゆる奈良墨は、 大同元年(806年)遣唐使として唐へ行った空海が、 筆とともにその製法を持ち帰り、 興福寺二諦坊で造ったのが始まりといわれている。
一方、 松烟墨は、 それより遅く藤原時代以後、 紀州や近江で作られたが、 鎌倉時代に滅亡したという。

奈良墨は二諦坊で製造されたが、 天正年間になって松井道珍(古梅園の始祖)が出て、 南都墨の声価を高め、 民間事業としての基礎を固めた。
その後、 奈良に製墨所が相次いで誕生し、 全国各地の優秀な技術や工人が集まって来ることになり、 その結果各産地が衰退し、 今日では全国シェア約90%を誇っている。

 

 

 

 

伝統的工芸品産業の振興に関する法律とは

伝統的工芸品産業の振興により、 国民生活に豊かさと潤いを与えるとともに、 伝統的技術・技法の伝承や地域の経済発展・雇用の創出に寄与することを目的とした法律。
同法律に基づいて指定する伝統的工芸品は、 同法律に基づく各種振興施策の対象となりる。

 

認定には、以下5つの要件を満たすことが必要。

(1)日用品であること

(2)手工業的であること

(3)伝統的な(100年以上)技術・技法であること

(4)伝統的に使用された原材料であること

(5)一定の地域で産地形成がなされていること

 

経済産業省 ニュースリリースページ
http://www.meti.go.jp/press/2018/11/20181107001/20181107001.html

 

 

編集・構成 MOC(モック)編集部
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