備前焼は、釉薬を一切使わない“焼き締め”のやきもの。
窯の中で生じた様々な景色は、古くから人々を魅了してきた。
本展では、桃山時代から茶陶として茶人に愛された古備前の名品に始まり、その継承と復興を果たし、新たな作風に挑む近代、現代の備前作家の作品までを一堂に展覧し、時代を超えた備前焼の魅力を紹介する。
2019年(令和元年)9月14日(土)~12月15日(日)までの期間にて開催。
開催主旨
岡山県備前市の伊部地域を中心に生産されてきた備前焼は、釉薬を施さないシンプルで原始的な“焼き締め”で焼成されるやきもの。
その土と炎から生み出される造形は、古くから日本人に愛されてきました。「窯変(ようへん)」「緋襷(ひだすき)」「牡丹餅(ぼたもち)」「胡麻(ごま)」「桟切(さんぎり)」など窯内で生じた景色は、他窯にはない備前焼の大きな特徴だ。
本展は、桃山時代から江戸時代にかけて焼造された茶の湯のうつわを中心に展示。
「一章 源流としての備前焼」では、中世の作品も含めて古備前の魅力を紹介する。
「二章 近代の陶芸家と備前焼」では、古備前に魅せられ、写しと創作に取り組んできた重要無形文化財保持者(人間国宝)をはじめ、日本を代表する近代作家の作品を紹介する。
「三章 現代の備前焼」では、近代作家によって確立された備前焼像の殻を破り、新たな備前焼像を生み出そうと奮闘する現代作家の作品を紹介する。
以上3部から構成される。
伝統的な茶陶や細工物から新進気鋭の作品まで、時代を超えた備前焼の魅力と潮流、そこにこめられた陶芸家の想いを是非。
開催概要
展覧会名:秋季特別展「The 備前 ―土と炎から生まれる造形美」
開催期間:2019年(令和元年)9月14日(土)~ 12月15日(日)
会 場:MIHO MUSEUM
〒529-1814 滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300 TEL.0748-82-3411
展示構成:
一章 源流としての備前焼 ―茶の湯のうつわを中心に―44件
二章 近代の陶芸家と備前焼 ―写しと創作―44件
1.金重 陶陽 (1896-1967)*重要無形文化財保持者(人間国宝)
2.藤原 啓 (1899-1983)*重要無形文化財保持者(人間国宝)
3.山本 陶秀(1906-1994)*重要無形文化財保持者(人間国宝)
4.金重 素山(1909-1995)
5.藤原 雄(1932-2001)*重要無形文化財保持者(人間国宝)
6.伊勢崎 満(1934-2011)
三章 現代の備前焼 ―表現と可能性―61件
1.伊勢崎 淳 (1936- ) *重要無形文化財保持者(人間国宝)
2.森 陶岳 (1937- )
3.島村 光 (1942- )
4.金重 晃介 (1943- )
5.隠崎 隆一(1950- )
6.金重 有邦 (1950- )
7.伊勢崎 創 (1968- )
8.矢部 俊一 (1968- )
9.伊勢崎 晃一朗(1974- )
※伊勢崎の崎、隠崎の崎、隆一の隆は旧字体です。
MIHO MUSEUMについて
MIHO MUSEUMは1997年11月に、琵琶湖の南、自然豊かで風光明媚な湖南アルプスの山中に誕生。
建築設計は、パリ・ルーヴル美術館のガラスのピラミッド、ワシントンのナショナルギャラリー東館、カタールのイスラーム芸術美術館等で世界的に知られるI.M.Pei氏によるもの。
設計のテーマは「桃源郷」。東晋の詩人、陶 淵明の「桃花源記」にある仙境の楽園―桃源郷の物語を、構想・設計・建設に6年の歳月をかけて、信楽の地に実現したの。
所蔵品は、エジプト、ギリシア・ローマ、西アジア、中央アジア、南アジア、中国、朝鮮、古代アメリカなどの古代美術と、仏教美術や、茶道美術をはじめ、絵画、漆工、陶磁器などの日本古美術をあわせて、約3,000件。
季節により国内外からの出陳を加えて、常時250~500点を展示している。
その質の高いコレクションは、ニューヨーク・メトロポリタン美術館、ロサンゼルス・カウンティ美術館、オーストリア・ウィーン美術史美術館、オランダ・ライデン国立古代博物館などで公開され、海外からも高く評価されている。
編集・構成 MOC(モック)編集部
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