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東京・お台場 エプソン チームラボ ボーダレスに、新作が登場。 寝転びながら、身体ごと作品世界に没入!!

森ビルとチームラボが共同で運営する《地図のないミュージアム》森ビルデジタルアートミュージアム:エプソン チームラボボーダレスに、新作「境界のない群蝶、そして浮遊する巣」が加わりました。

来場者から生まれる蝶の群れは、様々な作品群の中を、境界なくシームレスに飛び、空間に浮かぶ「浮遊する巣」に入っていきます。

来場者は「浮遊する巣」に寝転ぶと、作品世界に身体ごと没入し、身体と作品世界との境界をも失っていきます。

 

 

さらに、境界なくつながっていく世界は一年を通して移ろい、季節とともに変化した作品を体験することができます。

作品「花の精霊」には燕子花(5月)、「積層された空間に咲く花々」には牡丹(5月)、「地形の記憶」には季節とともに変化する景色が広がります。

また、5月中「呼応するランプの森」には、躑躅(つつじ)、白躑躅(しろつつじ)、紅躑躅(くれないつつじ)、羊躑躅(いわつつじ)の、4色のつつじの色で輝く「呼応するランプの森 – ワンストローク、つつじ」が登場。

いずれも体験できるのは、5月から6月まで。

※期間中でも、時期によって見られる花の種類・作品が異なります。

 

 

空間の中央には、「浮遊する巣」が浮かんでいる。

「浮遊する巣」の上で寝転んだり、座ったりして見る作品である。

「浮遊する巣」がある空間に「境界のない群蝶」が入ってくると、この作品ははじまる。

「追われるカラス、追うカラスも追われるカラス」や「The Way of the Sea」が入ってくると、蝶は一斉に死んでいき、作品は終わる。

この群蝶は、「境界のない群蝶(「バタフライハウス」で人々の体から生まれた蝶など、人々によって生まれた蝶による群蝶)」が、他の作品のフレームという概念を解き放ち、作品間の境界をなくしながら、他の作品の中をシームレスに飛んで、この空間に入って来た群蝶である。

「浮遊する巣」に寝転ぶと、やがて作品世界に身体ごと没入し、人々は身体と作品世界との境界をも失っていくだろう。

作品はコンピュータプログラムによってリアルタイムで描かれ続けている。あらかじめ記録された映像を再生しているわけではない。

全体として、以前の状態が複製されることなく、変容し続ける。

今この瞬間の絵は二度と見ることができない。

 

 

近代以前、日本では「かさねのいろめ」という、表の色と裏の色の組み合わせ(当時の絹は薄かったので裏地が透けたため複雑な色彩となった)や、重なる色彩のグラデーション、織りの縦糸と横糸の組み合わせなど、複雑な色彩に、季節の色の名前がついていた。

表と裏の色の組み合わせからなる「かさねのいろめ」を、ランプが強く輝いている時と輝きが弱くなった時に当てはめ、春の「かさねのいろめ」である、桜(さくら)の1色でランプは輝きます。

人がランプの近くで立ち止まり、しばらくじっとしていると、最も近いランプが強く輝き音色を響かせる。

そしてそのランプの光は、最も近い二つのランプに伝播する。

伝播したランプの光は、それぞれ同じように強く輝き音色を響かせながら、最も近いランプに伝播し、同じように連続していく。

伝播していく光は、必ず、全てのランプを一度だけ強く輝かせ、必ずはじめのランプに戻ってくる。

つまり、人に呼応したランプの光は、二つに分かれ、それぞれ全てのランプを1度だけ通る一本の光のラインとなり、最後に、起点となった最初のランプで出会う。

伝播していく光が、他の人が起点となった光と出会い通り抜ける時、光が出会った場所のランプは、それぞれの光が合わさって輝き、そこに長く残っていく。

人々はきっと、同じ空間にいる他の人々の存在を感じるだろう。

一見バラバラに配置されたランプは、それぞれのランプから3次元上で最も距離が近いランプに線を引いたときに、(始点と終点が同じの)一筆書きできる一本のつながった線(unicursal)になるように配置されている。

ランプがこのように配置されることによって、人に呼応したランプの光は、最も近いランプに伝播しているだけにも関わらず、一筆書きのように全てのランプを必ず通り、そして必ず一度だけしか通らず、最後に、起点となった最初のランプに戻ってくる。

ランプの配置に関しては、以下のような制約を満たす空間上のランプの配置を数学的に求め、ランプの高さ方向の分布のばらつきと、3次元的な経路(光の軌跡)のなめらかさを定量化し、多数の解に対して評価を行った。

ランプの平面配置は、ランプを吊るために、均一な千鳥配置であり整然としたグリッドになっている。

これが1つ目の制約となる。

2つ目の制約として床と天井の高さ、人が通ることができる通路の高さと幅という物理的な空間の境界条件を設定する。

そして全てのランプから、3次元上で最も近い2つのランプに線を引いたときに、起点と終点がつながったたった1本の線(unicursal)になることが3つ目の制約である。

このようなプロセスによって生まれたランプの配置は、一見ランダムのように見えるために、光の軌跡が予測できず飽きないが、実際は、物理的に一番近いものに光が連続していくため、まるで火が燃え移っているかのように自然に感じる。

そして、ランプの光の軌跡は一本線でつながっているため、自分から生まれた光と、他者から生まれた光は、必ず交わる。

これは、空間が固定化されていることを前提とした静的な美しさではなく、人々がこのランプに近づくことによって生まれる動的な美しさとも言える。

それは、デジタルテクノロジーによって変化そのものを自由に設計でき、人の存在による空間の変化や動きを受け入れた新しい時代の空間のありようである。

ランプシェードは、ムラーノ・ガラス(ベネチアン・グラス)を使用。

 

 

一年間を通して、刻々と咲いていく花々が移り変わっていく。

花々は、生まれ、成長し、つぼみをつけ、花を咲かせ、やがて散り、枯れて、死んでいく。

つまり、花は、誕生と死滅を永遠に繰り返し続ける。

人々が花にふれると、ゆれ、散っていく。

そして、他の作品に影響を与えたり、他の作品の影響で散ったりもする。

例えば、「Walk, Walk, Walk」の肖像群が歩いて来るといつもより咲きやすく、また、花々が咲いた場所は、他の作品世界を覆い隠したりする。

作品はコンピュータプログラムによってリアルタイムで描かれ続けている。

あらかじめ記録された映像を再生しているわけではない。

全体として、以前の状態が複製されることなく、変容し続ける。今この瞬間の絵は二度と見ることができない。

 

 

分け入ることのできる高低差のある空間で、悠久な里山の景色を描いている。

現実の時間の流れと共に、作品世界は移ろっていく。

春まだ小さく青々しい稲は、夏頃には大きく成長し、秋頃には黄金色になるだろう。

そして、現実の時間の流れとともに、昆虫や花々なども変わっていく。昆虫は人々の振舞いの影響を受けて動く。

そして、人々が動き回ることで空気の流れが変わり、空気の流れによって稲や散る花びらの動きが変わる。

この作品は、1年を通して刻々と変わっていくが、毎年、ほとんど変わらず、悠久に続いていく。

しかし、自然の景色が、同じようで、2度と同じではないように、作品の次の年の同じ時は、全く変わらない景色のようで、厳密には同じ絵ではない。

つまり、今この瞬間は、二度と見ることができない。

ほとんど変わらないが同じではない風景が、毎年、悠久に続いていく。

作品とそれを媒介するキャンバスが分離され、キャンバスが変容的なものになったことと、連続した動的なふるまいによる視覚的錯覚によって、身体ごと作品に没入し、人々は身体と世界との境界をも失っていくだろう。

そして、一つの共通の世界が自分や他者の存在で変化していくことで、自分と他者が同じ世界に溶け込んでいく。

 

【概要】

森ビルデジタルアートミュージアム:エプソン チームラボボーダレス

MORI Building DIGITAL ART MUSEUM: EPSON teamLab Borderless

所在地: 東京都江東区青海1-3-8(お台場パレットタウン)

料金: 大人(15歳~)3,200円、子ども(4歳~14歳)1,000円

※高校生には「バイトル高校生無料チケット」もご用意しています。

開館時間:

月~金 10:00 – 19:00

土日祝 10:00 – 21:00

※最終入館は閉館の1時間前

※開館時間はシーズンによって異なります。詳しくはウェブサイトをご確認ください。

休館日: 第2・第4火曜日

 

編集・構成 MOC(モック)編集部
人生100年時代を生きる、
大人のためのマガジンMOC(モック)
Moment Of Choice-MOC.STYLE

MOC

PROFILE

チーム ラボ

プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、数学者、建築家など、様々な分野のスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。アート・サイエンス・テクノロジー・クリエイティビティの境界を曖昧にしながら活動している。

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