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河村優子医学博士 インタビュー【第2回】  更年期でプチうつ? 実は副腎疲労かもしれません!

 

更年期の辛い症状は、女性ホルモンの減少によるものだと思われていますが、実はストレスや他のホルモンとのバランス、食事などが関係してきているケースもあるのです。

第1回目は、渋谷セントラルクリニック院長の河村優子先生に、体の不調の原因を知ることができる総合的な検査に関して教えていただきましたが、第2回目は「更年期の症状と間違えやすい副腎疲労」について、お話しを伺います。



アラフィフ世代は、身体の不調を感じると、「更年期」が頭を過ぎります。

しかし、更年期ではないケースもあると聞きますが?

 

更年期の症状と間違えられやすい、ホルモンバランスが崩れることによって起こる体の不調の中でも、最近特に「副腎疲労」は一般の方にも知られるようになってきました。

30代の方であれば、自分で検索をして副腎疲労と言う病気を知ることができるので、「私もしかしたら副腎疲労かもしれない」と言って受診される方もいますが、50代の方にはまだあまり知られていないかもしれないですね。

逆に、副腎疲労かもしれないと言って受診したのに、実は更年期だったと言う40代50代の方もいらっしゃいます。

 

更年期と言うと皆さん産婦人科を受診されますが、産婦人科の検査では、総合的な検査までは行っていないところが多いかもしれないですね。

アンチエイジングクリニックは、更年期に受診するクリニックとしてはすぐに思い浮かばないかもしれませんが、実は総合的な検査を行うアンチエイジングクリニックは、更年期の強い見方なのですね。

 

そうですね。

産婦人科だけではなく心療内科も、総合的な検査は殆ど行っていないと思います。

 

うつではないかと思う方は、心療内科を受診するのが一般的ですから。

すると、強い薬を飲むことになるんですね。

 

実は、強い薬を飲んでも症状が改善しない人も多いんです。

そういう方の中には、更年期が原因で軽い鬱状態になっているケースもあります。

そのような方には、エストロゲンを補充してあげることで症状が軽くなることもあるんです。

 

 

副腎疲労に関しても、“うつ”と混同してしまうケースがありますからね。

 

「副腎疲労」は、米国を中心として不定愁訴や原因不明の体調悪化の原因として代替療法や機能性医学の分野で知られてきている概念です。

副腎という臓器は様々なホルモンを分泌しています。

その一つがコルチゾールというホルモンです。

コルチゾールは一般的にはステロイドという名前で良く知られています。

コルチゾールというホルモンは体の内面的な身体的、感情的、精神的などのストレスが生じると、副腎から分泌されて健康を守ります。

様々なストレスを受けた時に副腎からコルチゾールが適切に分泌できないために、感染への抵抗力の低下やアレルギー、ストレスに対処する能力の低下、低血糖(甘いものへの依存症状)、失神・めまいなどの症状、免疫力の低下疲労感(1日の中で変動、朝に疲労感があり、夜に活発になる)、風邪のような症状などが出てしまうのです。

国内でも知られている、「コルチゾールを全く分泌できない病気」をアディソン病と言います。

但し、アディソン病は10万人に4人という珍しい病気です。

コルチゾールを十分に分泌が出来ないことや、コルチゾールが体内でうまく働かない事で体の不調を感じている方は決して少なくありません。

コルチゾールの分泌が低下すると悪化することで知られている疾患は、関節リウマチなどの自己免疫性疾患やアトピー性皮膚炎、喘息、一部の慢性疼痛、一部の慢性疲労や抑うつ状態などです。

こうした疾患に悩んでいる方は副腎から分泌されるコルチゾールの量が十分ではないため、コルチゾールをステロイドという形で補充しているのです。

副腎から十分にコルチゾールが分泌出来なくなる原因は、遺伝や自己免疫性疾患、栄養障害(食習慣)、腸内環境、エクササイズ不足、睡眠などの生活習慣、精神的なストレスなどが考えられます。

副腎機能が低下してする原因として考えられるのはストレスです。

ストレスに対して適切に対応できないために、日常生活を気分よく送れない方が多くいらっしゃいます。

ストレスが絶え間なくかかっていると、睡眠や食生活が不規則になりがちです。

こうしたことが重なると、副腎機能は転げ落ちるように低下して、ストレスに対して対応できなくなってしまうのです。

副腎疲労を起こしやすくなるストレスは、昼夜が逆転しているような睡眠のトラブル、アルコール・たばこの過剰摂取、栄養障害(たんぱく質不足、ビタミン・ミネラル不足)、遅発性アレルギー、有害金属が体内に蓄積されている、腸内環境の悪化、テクノストレス(VDT症候群)などが考えられます。

特に睡眠のトラブルとアルコール・たばこの過剰摂取は大きな原因です。

アルコールを飲むと一夜にして成長ホルモンが70%ダウンすると言われています。

 

 

そんなに影響があるのですか?

 

休肝日を2日間置くと、一応復帰します。

睡眠薬による睡眠は自然の睡眠とは異なりますので、睡眠障害には睡眠薬に頼らないと寝られない人も含まれます。

栄養障害とは最近重視されるようになっている概念ですが、ビタミン・ミネラルだけではなく、アミノ酸(たんぱく質)が大きな役割を果たしています。

先ほどから述べている コルチゾールはコレステロールを原料として作られます。

コレステロールは体内でアミノ酸、ビタミン・ミネラルを触媒にして最終的にコルチゾールに生成されます。

尚、副腎という臓器ではビタミンC濃度が高い方が良く働きます。

 

 

副腎疲労の方は、ビタミンCを多く摂取したり、高濃度ビタミンCのサプリなどを摂るようにすると良いのですね。

 

遅発性アレルギー、有害金属や腸内環境も体内での酸化ストレスを生じさせたり、免疫反応異常を引き起こしたりすることにより副腎機能の回復を妨げます。

慢性の痛みがある患者さんや慢性的なストレスの多い方では、副腎は予備のコルチゾールを分泌できなくなります。

この状態を副腎機能低下(副腎疲労)といいます。

このような状態の方が総合的な検査を行うと、副腎機能の指標となるDHEAが低下しているケースが多く見られます。

私のクリニックでの診断方法は、分子整合栄養検査を重視して検査をしています。

問診の結果で、腸内環境や有害金属などの検査が必要と思われるときはご相談のうえで追加していただいています。

アンチエイジングドックでは、栄養・ホルモン検査 80種類にもわたる検査から問題点を抽出します。

通常の生化学的な検査に加えて、ビタミン、ミネラル、ホルモンの欠乏・機能不全をチェックすることが出来るのです。

通常、健康保険の検査項目は多くても30種類程度です。

アンチエイジングドックの検査項目をご紹介します。

 

問診検査

ホルモン検査

分子整合栄養検査

遅発性アレルギー検査

有害金属検査

抗酸化検査

アミノインデックス

 

問診の結果により、その方に必要だと思われる検査をご提案しています。

これらの検査結果から、副腎疲労の程度を知ることが出来るだけではなく、栄養療法・ストレスマネージメント・ナチュラルホルモン補充療法・デトックス・点滴療法など、どの方法がベストかを知ることができます。

機能性副腎機能低下症の治療や原因に則した治療を行いますので、基本的に治療はオーダーメイドになります。

心理社会的なストレスや栄養障害があるという結果が出た方には、栄養士による問診の上で問題点を明らかにしていき、その上でドクターと治療法について話し合いをします。

更年期だから疲れやすいのだと決めつけるのではなく、副腎疲労が原因で不調を感じている方も多くいます。

原因をきちんと知ることで快適な生活を送れることもあるのです。

 

副腎疲副腎疲労を起こしやすくなるストレスには気をつけたいところ。睡眠のトラブル、アルコール・たばこの過剰摂取、栄養障害(たんぱく質不足、ビタミン・ミネラル不足)などなど、ご自身の生活を見つめ直すことで、体内改善に勤めるのも重要です。

次回も日常生活に影響を与えるホルモンバランスについてお送り致します。

 

文:北川りさ イラスト:町田李句



河村優子医学博士 インタビュー【第1回】  更年期はアンチエイジングドックで総合的な検査を

 

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編集・構成 MOC(モック)編集部
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PROFILE

河村 優子

河村優子 医学博士
渋谷セントラルクリニック院長。日本抗加齢医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本レーザー医学会認定医、特定認定再生医療等委員会 委員、FTP認定マットピラティスインストラクター、日本女性医学会会員、加圧トレーニング特定資格指導者/日本キレーション治療普及協会認定医。患者の目線に根差したフレンドリーな診療が評判。

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