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健康への第一歩は、頭を使うことから。信じるだけでは救われない!大竹真一郎 医師 インタビュー【第4回】

 

腸内環境、エクオール、男性の更年期障害、セックスなど、次々と登場するキーワードに私たちは一喜一憂してしまいます。

第四回目となるインタビューでは話題の健康法について、現役の医師・大竹真一郎氏に医学的な見解を聞いてきました。

健康は大切であるがゆえついて過熱傾向に走りがちですが、今一度冷静になり、健康の本質とは何たるものか、医療が持つ可能性はどんなものかを大竹先生と一緒に見極めていきましょう。

 

 

──近年、健康についてのホットなキーワードとなりつつあるのが「腸内環境」です。

医学的な見地からすると、腸はどんな働きを持っているのでしょう。

 

はっきり言いますが、今はまだ腸のことはよくわかっていないんです。

腸内環境という言葉が何を指すかというと、腸内細菌のバランスです。

腸内細菌のバランスがいろいろな病気に関係しているということは、徐々にわかってきました。

しかしこのことが判明してきたのは、2010年くらいから。近年のことなんですよ。

我々のお腹の中にいる腸内細菌は、空気に触れると死んでしまいます。

かつては、体内から細菌を取り出し、培養してから検査していました。

しかし空気に触れたら死んでしまう菌は、その方法では詳細がわからなかったんです。

そのほかの細菌、肺炎の原因となる肺炎菌やブドウ球菌は培養によって簡単に増やせます。

大腸菌も空気があってもなくても生きていけますし、便として体外に出ても増えていくんですけど、空気に触れたら死んでしまう腸内細菌が多く存在しているようなんです。

 

──腸内細菌の研究は、まだまだわからないことが多いんですね。

 

DNAシーケンサーを使った検査では、空気に触れて死んでしまった菌でも分析ができます。

この検査によって腸内細菌とはどんなものか少しずつわかってきたのです。

分析の結果、腸内細菌にはいろいろなパターンがみられました。

そしてお腹に関する病気と腸内細菌のパターンの関係性を調べてみたら、そこには関係性があるという結果が示されたんです、予想していた以上にね。

「それなら他の病気にも腸内細菌は関係しているんじゃないか?」と思うでしょう。

分析してみたら、心臓病にも腸内細菌のパターンが関係しているようだ、太りやすい痩せやすいなど体型の変化にも関係しているらしい、ということが見えてきたんです。

そんな風に「腸内細菌がさまざまな疾患に関係している」というところまではわかってきたんです。

ただし、そこから先の話は何もわかっていません。

「腸内環境をこうしたから、あの病気が防げる」とは今のところ言えませんね。

 

──腸内環境がいい、悪いを判断するのにも、まだはっきりとしたエビデンスがないのでしょうか。

 

腸内環境が変化するとある種の病気に罹りやすい、という可能性はあるかもしれません。

ですが特定の食品だけを食べていれば、腸内環境がよくなるまたは悪くなるということはありません。

腸に限らず「これさえすれば健康になる」という方法は存在しないんです。

「腸の働きはスゴイ。第二の脳だ」と腸が持ち上げられていますが、それが一体どれほどのものなのか。

脳と腸を、神経細胞の数で比べてみましょう。

脳には神経細胞が150億以上あって、腸には1億個しかありません。

体内で腸が二番目に(神経細胞を多く持つ)器官だとしても、脳とは段違いですね。

免疫細胞も腸内に多く存在していますが、それには理由があります。

免疫細胞は外から入ってくる異物に反応し、体に悪さをする異物を攻撃したり体の外に出してくれます。

この免疫細胞に効率よく働いてもらうには、腸に存在させるのがいいんです。

食べ物も含めて、異物は口からほぼ毎日入ってくきます。

しかし血液中に免疫細胞がいても、異物と遭遇する確率は高くありません。

だから小腸や大腸には免疫細胞が多く存在しているんです。

ですが腸を綺麗にしたからといって、免疫機能がアップするかどうかはわかりませんよ。

 

 

──腸内フローラもよく耳にするキーワードですね。

 

腸内フローラというのは、善玉菌、悪玉菌、日和見菌といった腸内細菌の生態系のことをいいます。

簡単に説明すると、善玉菌は体にいい働きをしてくれる細菌(乳酸菌やビフィズス菌など)で、悪玉菌は体に悪さをする細菌(大腸菌、ブドウ球菌など)です。

日和見菌は、そのときの状態によって善玉菌の味方をしたり悪玉菌の味方をします。

腸内細菌の生態系はどのバランスがベストか、というのは人によって違うんです。

すべての人に当てはまるベストなバランスはありません。

便を調べれば腸内フローラを数値化できます。

保険は効きませんが、DNAシーケンサーを使った検査を行えばバランスがわかります。

腸内フローラの検査を希望する人は一定数いますね。

ただし検査でわかるのは「肉をようさん食べてますね~」などといったデータだけ。

太りやすいというデータが出たとしても、食事を摂り過ぎなければ太りませんよね。

太りにくくても食事を過剰にとれば太ります。

腸内フローラの検査をしたとしても、自分の体についてわかるのはこの程度のデータなんです。

 

──ということは腸内フローラの検査をしても、がんのリスクなどは……。

 

まったくわからないです。

大腸がんの早期発見を望むなら、検便検査をして、引っかかったら大腸の内視鏡検査を受けること。

これしかないと僕は思っています。

今後の研究でまた新しくわかることが出てくるでしょう。

ですが「わかった!」という時点で断言できることは少ないんです。

その「次の治療」へとつながる何かがないといけません。

ですから現段階で腸に関して言えることは、「腸内環境はよくしましょうね」という一般的なフワっとした話だけですよ。

 

──ロジックが必要というわけですね。脳と腸でいうと、ホルモンの一種であるセロトニンの分泌についても気になるのですが……。

 

ハッピーホルモン「セロトニン」が、腸の中でつくられていることはわかっています。

しかし腸でつくられたセロトニンが、脳にどの程度送られているかは判明していません。

脳に辿り着くまでに、体の中には関所があるからです。

そのため脳に存在するセロトニンと腸の中のセロトニンがどのような関係性にあるのかはまだわかっていません。

腸に関しては、わからないことがまだまだ多いんですよ。

巷にあふれる腸内環境に関する情報は、うんちくレベルのものがほとんどでしょう。

ただし腸内環境をよくするとストレスを感じにくくなる、というのはある程度言えることですね。

具体的にどんな腸内環境ならストレスを感じにくくなるのかはわかっていませんが、腸内に悪玉菌が多いとストレスを感じやすいし、ストレスを感じると悪玉菌が増えることは判明しています。

ストレスは腸に悪循環をもたらす可能性があるということですね。

それならば悪玉菌を減らしたいところですが、それが難しい。

だから善玉菌を増やしましょう、となるんです。善玉菌を増やすためには、便秘にならないこと。

食事のバランスを整えて、お肉を控え、野菜をたくさん摂取するなどがいいですね。

健康って、ベタな話になってくるんですよ。

 

 

──今の時点でわかる範囲でいうと、年齢による腸の機能の低下はあるのでしょうか。

 

健康における腸の曲がり角はたくさんありますが、そのひとつとして加齢は挙げられますね。

加齢に伴い、善玉菌が減って悪玉菌が一気に増えることはあります。

ただし50歳を迎えたからといって、腸の動きが低下するかどうかは人によるんです。

腸でみなさんが気になるのは、やはり「がん」でしょうか。

今、日本人に大腸がんの患者さんが増えています。

大腸がんに限らずがんの患者さんが増えているんですが、その原因の第一位が何かわかりますか?

 

──食品添加物や肉食でしょうか?

生活習慣のなかでも、食事の変化が影響を与えているかと思うのですが。

 

いいえ、違いますよ。

高齢者が増えたからです。

年齢を重ねたらがんを発症する、これは当たり前のことなんです。

がん患者がほとんどみられない国の平均寿命は、30歳そこそこ。

30歳くらいでがんに罹るケースは、世界的にみても稀です。

加齢は、がんの発症に関係があるんですよ。

年齢調整(年齢構成の異なる集団間の死亡率について補正を行い比較を可能とする見方)という死亡率の分析方法があります。

昭和20年代と平成20年代を比較すると、人口の比率は全く違いますね。

年齢調整をして死亡率と死因を比較したところ、がん患者はそこまで増えていないことがわかります。

そこから、平均寿命が延びて高齢者が増え、がん患者が増えたと考えることができます。

しかし大腸がんに関しては、年齢調整をしてみても増えているんです。

先進国を中心として大腸がんは増えています。

その原因は世界的にもわかっていません。

決して単純なものではないということですね。

発症するかどうかには、いろいろなスイッチが関係しているのでしょう。

遺伝、生活習慣、食生活、そういったものが組み合わさってスイッチが入ると思われます。

ただし統計学的に「運動不足、肉食中心の食生活、食物繊維の不足」が当てはまる方は大腸がんになりやすいと考えられています。

がん患者が増えた原因を、食品添加物によるものであるとか日本の食品が悪くなっているからだと指摘する人もいます。

そういう風にして特定の食品を推奨することもあるようですが、それって治療ではなく商売である場合も少なくないですよね。

 

──統計学でわかることも重要な情報のひとつ。

医学的実験などとはまた違ったアプローチになりそうです。

 

アメリカの統計では、運動を取り入れていても長時間のデスクワークをしている人は大腸がんになりやすいという結果が出ています。

こういったスイッチは、社会の変化によるものかもしれません。

一次産業や二次産業は立ち仕事が多いですが、三次産業はオフィスワークが増えましたから。

もしくはモータリゼーションも体に影響を及ぼしているかもしれない。

歩く習慣が少なくなっている人がいますね。

特に地方在住の方は、公共の交通機関が発達している都市部に比べて歩く機会が少ないように思えます。

そういった生活習慣の違いが病気の発症と関係している可能性があります。

野菜の摂取量に関して戦後と現代を比較すると、現代の方が野菜を多く食べています。

当たり前ですね。

戦後は食べるもの自体が少なかったからです。

ただしここ十年のデータの推移を見ていくと、繊維質の摂取量は減っています。

そしてここ十年の大腸がん患者数の推移を調べたら……。

 

──えっ。気になる!

 

まだ十分な調査データがないので、断言できることはありません。

ホント、フワっとしたことしか言えないんですよ。

きちんと分析して調べていかないと具体的なことははっきりわからないというのが、正直なところですし事実です。

しかし、食物繊維はちゃんと食べてほしいですね。

なぜなら僕はそこにいい結果を期待しているからです。

日本人の食生活には食物繊維が足りていないと感じていますし、「みなさん、お野菜食べてー!!」と声を大にして伝えたい……!

しっかり野菜を食べて、お肉を控えて、運動しましょうね!

 

 

──野菜をプラスして、お肉をマイナスする食生活ですね。

赤身肉はどうでしょう。霜降り肉はあまり食べすぎはよくないんだろうなとは思います。おいしいけど……。

 

赤身は、筋肉が赤い肉のことをいいます。

牛、羊、豚ですね。

筋肉が赤いから、赤身肉と呼んでいます。

対して、白い肉といえば鳥や魚。

このように世界的に分類されていますし、僕も同じ認識です。

「カルビじゃななくてハラミならいい?」と聞いてくる人もいますが、部位で考えるのではなく「赤身肉とは、牛、羊、豚など筋肉が赤い肉!」ということです。

僕の考えでは、赤身肉は65歳までに控えるのがいいです。

赤身肉は大腸がんのリスクファクターであると考えられています。

「羊肉はヘルシー♪」とよく言われているようですが、ロジックが通りませんね。

ただし最近は、豚肉なら大腸がんのリスクにあまり影響しないという研究結果も出てきています。

豚肉は悪い脂が比較的少なく、オメガ3脂肪酸が含まれている品種もあります。

魚がいいとされるのは、オメガ3を含んでいることや細胞が安定化されすいことによるのでしょう。

65歳を超えてから良質なたんぱく質を摂取することは、長生きにつながると考えられています。

ただし若い頃からたんぱく質を摂りすぎると悪い脂も同時に摂取してしまいますから、大腸がんや心臓病のリスクを高める可能性があります。

厚生労働省によれば、一日100gの肉を摂取していると大腸がんのリスクがあがるとされています。

 

──腸に起こりがちなトラブルといえば、便秘。大竹先生は特に、便秘には警鐘を鳴らしていますね。

 

便秘が体のコンディションに影響を与え、ある種の病気に関係しているのではないかと考えられています。

肝臓の疾患には腸内の悪玉菌が影響している可能性があります。

お酒を飲む習慣がないのに脂肪肝を発症する人はいらっしゃいますね。

そしてじわじわと肝硬変や肝炎に悪化するこケースもあるんです。

その引き金のひとつとして考えられるのが、腸に存在する悪玉菌が血液に吸収され、肝臓を攻撃しているんじゃないか、という説です。

腸内に便が溜まると老廃物が体外へうまく排出されず、悪玉菌が増えてしまいます。

しかし便秘が治ったから肝臓の調子がよくなるかというと……、それは断言できません。

悪玉菌が悪さをしているのは間違いないのですが、便秘が治ったら悪玉菌も減るかどうかはわからない。

食生活や生活習慣を改善した結果として腸内環境がよくなったら、毒素も減るし便秘もよくなるのではないかと考えられてはいます。

 

──最新の研究結果に一喜一憂していてはいけません、ということですね。

う~ん、それでも新しいキーワードについて聞きたくなってしまいます!

たとえば「エクオール」という成分は、女性にとってうれしい効果を持つとして注目を浴びています。

大豆由来の成分エクオールは、大豆に含まれるイソフラボンが腸内細菌と反応してつくられ、女性ホルモンに似た働きを持つと言われているようですが……?

 

すべての女性がエクオールをつくれるとは限りません。

そしてそれは、腸内環境でほぼ決まってしまうんです。

エクオール酸性菌が腸内に存在していなければ、いくら大豆イソフラボンを摂取しても女性ホルモンは増えません。

現代の若い女性の8割方はエクオール酸性菌を持っていないと言われています。

「それならエクオールを飲めばいいんじゃない?」と思うでしょう。

しかしエクオールを摂取したことで、女性らしさがアップする効果があるとか、婦人科の疾患に影響を与える恐れがあるかということについては何もわかっていません。

将来的にはエクオールが女性の体調改善や病気予防につながるかもしれないですが、今のところは「もし本当にそうだったらすごい」という話にとどまります。

 

 

──話題のキーワードは数多くありますが、新しいものほどエビデンスが十分でないんですね。

大竹先生のお話しを通して、「可能性が高いと言えること」「現時点では断言できないこと」の違いがわかってきました。

次にお聞きしたいのは、更年期障害についてです。

MOCの読者層のなかには、更年期障害に悩まされる人は少なくないはず。

特に最近耳にするのは「男性にも更年期障害がある」という説ですが……。

 

僕からすると男性の更年期というのが、よくわかりませんね。

女性の更年期は明らかです。

閉経があり、卵巣ホルモンの低下がみられ、更年期の症状があらわれますから。

ですが、男性の場合にテストステロンなどの男性ホルモンが急に低下するということがあるのかな。

そういった症状がみられたからホルモン補充を行うというのも、医学的に考えてメリットがあるのか疑問です。

女性の更年期障害では、ホルモン補充は検討されますね。

ホルモン補充療法は、日本では今まであまり選択されていませんでした。

なぜかというと子宮頸がんや乳がんを引き起こすと考えられていたからです。

日本はリスクを避ける選択肢を取る傾向にありますね。

アメリカでは「がんになってもいいから、更年期の症状を和らげたい」と本人が希望して選択をし、ホルモン補充療法が早い時期から浸透していたようです。

そして近年、ホルモン補充療法では、婦人科系のがんを引き起こすおそれはないということがわかり、日本でもホルモン補充が浸透してきました。

注意すべきなのは、乳がんを発症してしまったときに補充療法を行っていると、がんの進行が早くなってしまう可能性があることです。

 

──女性の更年期障害だと明確な症状や信頼できるデータ、治療の効果が客観的事実として認められる一方、男性にはそれらがないということですね

 

女性と男性とではやはり体の仕組みに違いがあるんですよ。

男性は、80歳でも子供をつくれる人はいますからね、個人差もありますが。

女性は出産という大仕事がありますし、体の変化が明確にあらわれる場合がみられます。

そういう女性が苦しんでいる姿を見て「オレも大変だ~。きっと更年期障害だ~。

薬打ってくれ~」なんて気軽に言ってしまう男性にはこう伝えたい。

男性のみなさん、気合いや、気合い! 気合い入れて生きましょう!!

 

──おぉ(笑)。背筋が伸びます!

 

ただし、うつ病の人は気合いが出せなくなってしまいます。

更年期とは関係なくですよ。

本人が頑張りたくとも頑張れない状態になってしまうんです。

そうなったら、脳のエネルギーが回復するまで休むしかありません。

男性の更年期障害というとうつ病の話とくっ付けられることも多いようですが、そのふたつに関係性があるかというとはっきりとしたことは言えません。

 

──体のことを考えるうえで、性差は確実にあるし、個人差ももちろんあるということですね。

「あの人がこの病気だから、自分も」とは限らない。

ではですね、誰もが避けては通れない加齢についてお聞きします。

年齢を重ねた男性の悩みのひとつが、セックス。

「若い頃と比べて……」と落ち込む声は結構聞こえてきます。

 

若い頃と比べて勃起しづらくなる原因には、ひとつは血流障害があります。

年齢を重ねると動脈硬化が増えますから、性器の血流が悪くなるんです。

そのためにEDになる可能性もあります。

バイアグラを飲むと勃起を促すといわれているのは、血流改善の効果があるからです。

テストステロンにも血流アップの効果があるというならホルモン補充療法にも納得できるでしょうが、そういった医学的なエビデンスは男性ホルモンの補充にはまだないですよ。

そして、EDと更年期障害は別ものです。

勃たなくなるのは年齢的なものであり、血行が悪くなったことが主な原因。

男性ホルモンのテストステロンを補充したら勃起するか、という質問に僕は答えられませんね。

ただし、研究はどんどんしていただいていいと思いますよ。

 

 

──原因を見極めて、適切なアプローチを選択するのが必要そうです。

加齢に伴い、どんな体の変化が起こっているかを知らないといけませんね。

未知の可能性を秘めた腸ですが、人生の折り返しを迎えた世代がやっておくべき腸のケアにはどんなものがありますか?

 

便秘になるべくならないようにするには、以下のようなものは実践してみるといいですね。

なかなか急には腸内環境は変わりません。

ベタな方法で地道に取り組んでいきましょう。

 

日常に取り入れたい腸のケア

・運動 例)ウォーキングなど、軽い運動でOK

・赤身肉を控える(特に65歳までは控えめに。良質な脂を摂るようにしましょう)

・野菜を食べる(厚生労働省による目標値 : 350g/一日)

 

腸のコンディションをいいときのサイン

・便の色やかたちが理想的

 □ 理想的な便の色は、黄色~茶褐色

 □ かたちはバナナ型で、かたすぎずやわらかすぎずが◎

 ・ 排便がすっきりされ、残便感がない

 ・ お腹に張りなどの不快感がみられない

  

──基本を欠かさず継続するのが、健康への道。困ったときは信頼できる医者に相談しながら、正しい選択をしていきたいものですね。

 

体のケアも大切ですが、医療制度について自分の頭で考えてみてくださいね。

若い頃は健康で、病気についての不安が大きくないかもしれません。

「低福祉でもいい」と思う人もいるでしょう。

でも年齢を重ねたときに、そうはいかなくなっているんです。

特に今の50代以降の人は、自分たちの将来についてもっと考えないといけませんよ。

これまでの高齢者のように福祉的に恵まれた状況はもうあり得ません。

高齢者の医療費がゼロから二割負担に改正されたときに、一筋縄では行かなかったのを覚えていますか。

たしかに負担が増えるのには抵抗がありますよね。

ですが医療費の自己負担は、日本の状況からして当たり前のことなんです。

これからの時代、負担はさらに増えるでしょう。

そして人口増加や景気の上昇などのラッキーパンチは訪れないと考えていい。

頑張ればそれでよかった時代とは、すっかり社会が変わってしまいました。

みなさん、健康になりたいなら頭を使うことです。

自分にとっての健康とは何なのか。

どんな医療を受けたいか。

これからの日本は医療とどう向き合って進んでいくのがいいか。

そういったことに関心を抱き、自分の頭で考えて、元気に生きていきましょう。

 

体は資本。

それに必要な投資とは、正確な情報の入手であり、医者との信頼関係の構築であり、自分自身で行う努力のようです。

加齢は避けては通れない体の変化。

人生100年時代を健やかに楽しむためにも、行き交う情報を整理整頓してみましょう。

そして自分の頭で考えて「将来の自分」をイメージしてみたら、健康な未来への第一歩を踏み出せるはず。

みなさん、元気な未来を描きましょう!

 

文:鈴木舞 イラスト:山里 將樹

 

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編集・構成 MOC(モック)編集部
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PROFILE

大竹 真一郎

1968年兵庫県生まれ。
高校を中退した後に大学入学資格検定(現、高等学校卒業程度認定試験)に合格し、神戸大学医学部医学科を卒業。
愛仁会高槻病院でスーパーローテート研修(多科研修)を行い、その後は消化器専門医として、けいゆう病院、辻仲病院柏の葉、平塚胃腸病院附属クリニックなどで通算1万例以上の内視鏡検査を実施し、研鑽に励む。

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