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河村優子医学博士 インタビュー【第1回】  更年期はアンチエイジングドックで総合的な検査を

 

更年期の辛い症状は、女性ホルモンの減少によるものだと思われていますが、実はストレスや男性ホルモンなどとのバランス、食事などが原因であるケースも少なくありません。

実は女性だけではなく、男性にも更年期はあるのです。

総合的な検査を行い、何が不調の原因なのかを調べてからオーダーメイドの治療を行っている、渋谷セントラルクリニック院長の河村優子先生に更年期に関する最新の情報や検査、プチうつに関して教えていただきました。



更年期とは、どんな症状を指すのでしょうか?

 

更年期とは、閉経前から閉経後の40代後半から50代であると言われています。

1年間生理が無いような場合や、産婦人科での検査で更年期に該当しているような数値が出ると、「閉経」という診断が出るのです。

私たちはアンチエイジングのクリニックですので、「疲れた」とか、「自分はなんでこうなっちゃったのかしら」という“うつ病”のような症状に悩んでいる方が、多くいらっしゃいます。

まずはお話を伺います。その方の症状に合わせた検査を行います。

40代の方だけでなく、30代でも早期閉経という結果が出る方もいらっしゃるんです。

 

30代で閉経ですか!驚きました。

 

「更年期症状が現れる年齢の差はどうして出てしまうの?」と思われるでしょうが、実はストレス度が関係してきます。

環境の変化や、出産が原因になる場合もあります。

“うつ病”のようだからと、いきなり心療内科に行かれる方もいるようです。

ですが、お薬は飲みたくないという方や抗うつ薬を飲んでも効かなかった方、薬を飲んでもあまり変わらない方とか、お薬を飲み過ぎの方などが、こちらのクリニックにいらっしゃいます。

お顔に出ますので、お薬の飲み過ぎだという方は私から見るとすぐに分かります。

 

抗うつ薬を飲みすぎると、顔に現れるのですね。

 

はい。

診察室に入ってきた瞬間に分かります。

現代は昔に比べると出産する年齢も10歳位遅くなっています。

昔は25歳位に出産される方が多かったですが、今は35歳以降や40代で出産されますよね。

だんだん出産年齢がずれてくると、何となく仕事が波に乗ってきた時にストレスでガタンと機能障害が起こったりします。

ストレスの原因と向き合わずに心療内科や精神科で処方されたお薬を漫然と飲んでいると、再起不能のようになってしまうこともあるんです。

 

薬が合わなかったりするんでしょうか?

 

そのあたりは心療内科の先生の判断ですので、私は何も言えないのですが、薬を飲むと楽だという方はそれで良いと思います。

ですが私は、まず薬を飲む前に「自分のライフスタイルを見直す」のが先だと思うのです。

ホルモンは更年期の症状にすごく関係があると思います。

ホルモンに関しては女性はエストロゲン、男性ならばテストステロンの減少が要因になります。

それだけではなく、成長ホルモンや甲状腺ホルモンも関係しているということがわかってきました。

成長ホルモンを分泌しやすいトレーニング方法として加圧トレーニングがあげられます。

 

 

加圧トレーニングは更年期の症状緩和にも有効なんですね。

 

年代を問わず、加圧トレーンングは体に良いのですが、特にホルモンバランスの崩れた人には効果的です。

他のホルモンは注射や点滴で補充できますが、成長ホルモンを補充することはお医者さんの中でも賛否両論が分かれていますし、何よりも費用がとても高い

成長ホルモンを補充する方法は、自己注射なのです。

一本10万円から15万円位のコストがかかります。

ホルモンにはいろいろな種類があります。

歌手の絢香さんも患っていることで世間にも知られるようになりました。

男性の方で、「絶対に何かの病気にかかっているに違いない」と言って病院に来た人の中にも、実は更年期が原因だったという方がいました。

 

検査をしないとわからないこともあるのですね。

 

しかし、40代位からホルモンは急激に減ります。

特に女性ホルモンの2種類。

エストロゲンとプロゲステロンが減ります。

男性ホルモンのテストステロンや成長ホルモン、DHEAは、やや緩やかに減っていきます。

実はここにポイントがあります。詳しい事は後ほど。

ホルモン年齢、つまり年齢に応じたホルモンの過不足について調べることは重要です。

ただ、ホルモンの量が足りていてもホルモンの働きが良くない人もいます。

それはホルモンを受け止めるレセプターの働きが悪い際に置きます。
ホルモンとは鍵。

レセプターは鍵穴です。

鍵(ホルモン)があっても鍵穴(レセプター)の調子が悪いと扉は開きません。

30代後半から50代は、やはりエストロゲンがガクンと減ります。

エストロゲンが減ったのは、顔見ればある程度わかります。

 

顔に出るんですか!

 

まずたるみは、成長ホルモンが関係がありますし、男性ホルモンのテストステロンも関係があります。

女性も歳を重ねてきてエストロゲンの数値がかなり低い方は、細かいシワが出てきます。

また成長ホルモンが不足すると、まぶたや目の下、頬のたるみ、法令線などの目立つシワが現れるようになります。

長ホルモンが不足すると、上まぶたがたるんだり、大きなシワが出てきたりします。

甲状腺ホルモンが不足すると眉の外側が薄くなり、下まぶたがたるみます。

 

 

検査行って、たるみの原因がテストステロンの減少によるものであれば、クリームで対処できるということですね。

 

女性ホルモンの減少も大事ですが、男性ホルモンの減少もチェックする必要があります。

究極を言えば、ホルモンは全て補充できますが、適応を見ないと。

サプリメントではありませんから。

エストロゲンは女性らしい体を作る役目があります。

エストロゲンが減少すると、皮膚の乾燥やたるみ、ドライアイ、髪のボリュームが減り、乳房がたるんできます。

元気がなくなったり、疲労を感じたり、キャリアウーマンの方はパフォーマンスが悪くなったりすることがあります。

更年期の症状は汗が出るホットフラッシュだというイメージがあるかと思いますが、実際は1番困るのは“プチうつ”なんです。

エストロゲンが不足すると、“うつ”を抑える作用も減るのです。

“うつ”と言うよりは、やる気がなくなるとでも言うのでしょうか。

精神科に行ったとしても、何が不安なのかがわからないと言う方がかなりいます。

 

 

自分でもわからないから、どうしようもなくて精神科に行くのでしょうけれども。

 

眠れないということもなく、何に困っていると言うのではないが、とにかく不安と、皆さんおっしゃるのです。

本来であれば、30代の女性でエストロゲンが極端に少ないと言うことは稀ですが、栄養状態やストレスによってホルモンのバランスが崩れます。

例えば、どちらかと言うと、女性ホルモンのプロゲステロンが不足することもあります。

女性ホルモンだけが原因と言うわけではありません。

男性ホルモン系は女性ホルモンのバックアップとして重要な役割を果たしています。

女性ホルモンが減った時に、ストレスへの対応能力を補ってくれるのです。

それ以外にも、成長ホルモンは最適な機能を失った古い細胞に対して細胞の修復や再成長、若返りをバックアップしてくれています。

成長ホルモンが不足すると、自信がなくなったり、エネルギーがなくなったり、という不調を感じるようになります。

成長ホルモンは多くの人で40歳以降に減少する傾向にありますが、ライフスタイルを整えることで減少を食い止めることも出来ます。

女性ホルモンはどうしても更年期には減少してしまいますが、50代の元気度は男性ホルモン系や成長ホルモンをメンテナンスするかどうかで、変わってくるのです。

 

更年期に悩んでいる女性で、男性ホルモン系や成長ホルモンを気にしている人は少ないのではないでしょうか。

 

自費診療のクリニックで総合的なアンチエイジングの診療行っている医師であれば、ひと通り、男性ホルモン系や成長ホルモン、栄養面も見てくれていると思います。

 

更年期で産婦人科を受診したからといって安心してはいけないのかもしれないですね。

男性ホルモンや成長ホルモンもチェックしたほうが良いということを、ご存じない方も多いのではないでしょうか。

 

検査受けるのであれば、総合的な検査をしてくれる自費診療のクリニックを訪れることも選択肢に入れていただきたいですね。

ホルモンを補充しなくてもライフスタイルを見直すきっかけになると思います。

年をとるにつれて体調に不安が出てきた方の中には、ホルモンや栄養素の不足が原因になっている人も少なくないと思います。

こうしたホルモンや栄養の総合的な検査でカラダの機能を調べるというのは、precision medicineといってこれから標準的なってくると思います。

体の不調を感じている方は、総合的な検査をお受けになることをお勧めします。

 

なんとなく元気がない、ネガティブになってしまうなど、プチ鬱状態を自覚した時は、ホルモンのバランスを考慮し、クリニックで相談することを選択肢に入れることを考えるのも大切です。

次回も河村先生には、更年期の症状についてお話を伺います。

 

文:北川りさ イラスト:町田李句



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編集・構成 MOC(モック)編集部
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PROFILE

河村 優子

河村優子 医学博士
渋谷セントラルクリニック院長。日本抗加齢医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本レーザー医学会認定医、特定認定再生医療等委員会 委員、FTP認定マットピラティスインストラクター、日本女性医学会会員、加圧トレーニング特定資格指導者/日本キレーション治療普及協会認定医。患者の目線に根差したフレンドリーな診療が評判。

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