島根県立美術館では、コレクション展 没後20周年記念「植田正治とその時代」を開催。
「写真する」ことを生涯愛した植田正治の足跡を、 当館コレクション約100点の作品で辿ります。
山陰に生まれ、 生涯山陰で写真を撮り続け、 国際的な評価を得た写真家・植田正治(1913-2000)。
大正末から昭和初期にかけて隆盛した絵画のような写真「芸術写真」の時代に、 植田は写真家としてのスタートをきりました。
その後、 ドイツを震源地とする近代写真が日本に広がると、 「新興写真」と称されたこの新たな写真表現の追及に邁進していきます。
ふたつの表現をほぼ同時に取り入れ、 やがて砂浜を舞台とした砂丘群像演出写真をつくりあげていくこととなります。
70年に及ぶ写歴のなかで、 様々な変遷を遂げながら、 「植田調UEDA-CHO」と称される独自のスタイルを貫いていきました。
みどころ
島根県立美術館の植田正治コレクションは、 発表当時作家自らがプリントした貴重なヴィンテージ・プリント が大半です。
この作品は、 『写真サロン』という写真雑誌で、 毎月開催される全国コンクール「月例懸賞」に応募し、 見事『写真サロン』創刊3周年記念特別大懸賞で1等3席となった作品です。
このように、 逆光で撮影すると、 細部が消えて図と地のみの単純な構成となります。
新たな写真の波「新興写真」のなかで、 つくり出された1点です。
当時中国地方で活躍していた写真家たちが、 「束になって、 花のお江戸に殴り込みをかけよう」と、 「中国写真家集団」を結成し、 年1回の東京展を開催しました。
そのなかで、 植田は戦前の傑作を発表していきます。
この作品は、 第2回中国写真家集団展覧会出品作です。 少女の顔の部分を切り取った大胆な構成になっています。
1949年『カメラ』に植田の≪綴り方・私の家族≫の特集が組まれ、 ≪パパとママとコドモたち≫をはじめとする植田の代表作が娘・カコのかわいらしい作文とともに掲載されました。
手に手に好きなものをもって、 近所の砂浜に一列に並ぶ植田自身の家族。 戦後再び写真が撮れる喜びと家族の愛情あふれる砂丘群像演出写真の傑作です。
植田の砂丘劇場は、 ひとつの頂点に達しました。
開催概要
展覧会名 没後20周年記念「植田正治とその時代」
会 期 10月1日(木)~2021年1月11日(月・祝)
火曜休館(ただし11月3日、 12月8日、 15日、 22日は開館)11月4日、 12月28日~1月1日まで休館
料 金 日付指定当日券/一般300円、 大学生200円、 高校生以下無料
会 場 島根県立美術館 コレクション展 展示室4
時 間 10:00~18:30(展示室への入場は18:00まで)
関連イベント
美術講座(聴講無料)
演 題 「没後20周年記念 植田正治とその時代」
講 師 蔦谷典子(当館主席学芸員/本展企画者)
日 時 11月14日(土)14:00~(約90分)
会 場 美術館ホール(当日先着順/95席)(通常の半分の定員)
編集・構成 MOC(モック)編集部
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