今秋から来年春にかけて「2020年度東京国立博物館収蔵品貸与促進事業」として全国5会場で開催される展覧会に、里帰りを果たす国宝・重要文化財を含む116件の文化財を貸し出し、順次公開。
「貸与促進事業」とは、国内各地の博物館・美術館に対し、作品輸送費用等を負担し、東京国立博物館の収蔵品の貸し出しを行うもの。
各地域ゆかりの文化財を展示に活用していただき、日本とアジアの歴史・伝統文化の発信ならびに地方創生・観光振興に寄与する目的で、2017年度に開始。
圧巻!3メートル超の「法隆寺五重塔模型」(1/10縮尺)を展示
東北歴史博物館「伝わるかたち/伝えるわざ―伝達と変容の日本建築」
【みどころ】
建築模型や建築図面、座敷飾りが描かれた絵巻物などを通し、歴史の教科書でも取り上げられる著名な古建築とともに、大崎八幡宮はじめ宮城県内の古建築に関わる事例や資料を紹介し、日本の建築史を辿る展覧会。
東京国立博物館からは、昭和7年(1932)に完成した高さ3メートルを超える「法隆寺五重塔模型」(1/10 縮尺)や、江戸時代に作られた「飛雲閣紙製模型」はじめ、16件の文化財を貸し出す。
なかでも、「法隆寺五重塔模型」の公開は15年ぶりとなる。
技術の伝搬や造形の歴史のみならず、建築にまつわる人々の思いにも迫る展覧会です。
会期 : 2020年9月26日(土)~2020年11月23日(月)
会場 : 東北歴史博物館(〒985-0862 宮城県多賀城市高崎1-22-1)
貸与件数 : 16件
アジアとの交流で育まれた福岡ゆかりの国宝、重要文化財が里帰り
九州歴史資料館移転開館10周年記念特別展「福岡の至宝に見る信仰と美」
【みどころ】
開館10周年を記念し、「信仰と美」をテーマに、福岡県ゆかりの文化財が一堂に会する展覧会。
今年度、東京国立博物館からは27件の文化財を貸し出す。
博多・承天寺の住持を務めた円爾ゆかりの国宝「聖一国師あて尺牘」(板渡しの墨跡)をはじめ、福岡藩主黒田家伝来の重要文化財「唐絵手鑑」や、福岡県春日市日拝塚古墳出土の「単鳳環頭柄頭」など、アジアとの交流で生まれた福岡ならではの名宝が里帰りを果たす。
会期 : 2020年10月6日(火)~2020年11月29日(日)
会場 : 九州歴史資料館(〒838-0106 福岡県小郡市三沢5208-3)
貸与予定件数: 27件
千葉出土の“縄文の名宝”が一堂に集結!
千葉県立中央博物館「ちばの縄文 貝塚からさぐる縄文人のくらし」
【みどころ】
貝塚数日本一を誇る千葉県には縄文貝塚が密集しており、近代考古学の黎明期より研究者の注目を集めてきた。
今年度事業のうち貸与件数が最多となる本展には、主理台(長谷部)貝塚、岩井貝塚、加曽利貝塚、余山貝塚など、千葉県内から発掘された考古資料44件を東京国立博物館から貸し出す。
最新の発掘・調査情報も踏まえながら、貝塚を通して縄文人の暮らしを紹介する展覧会。
会期 : 2020年10月10日(土)~2020年12月13日(日)
会場 : 千葉県立中央博物館(〒260-8682 千葉県千葉市中央区青葉町955-2)
貸与予定件数: 44件
国宝「鷹見泉石像」が約80年ぶりに凱旋
古河歴史博物館 開館30周年・古河市合併15周年「国宝参上。―鷹見泉石像と古河ゆかりの文化財―」
【みどころ】
同館の開館30周年、古河市合併から15周年を記念して開催される本展覧会には、地元ゆかりの古河藩家老を描いた国宝「鷹見泉石像」(渡辺崋山筆)が、およそ80年ぶりに里帰りをする。
「鷹見泉石像」をはじめ、茨城県古河出身の河鍋暁斎や奥原晴湖が手掛けた絵画、古河出土の「埴輪 大刀をもつ男子」、古河藩主土井家ゆかりの「若松桜蒔絵化粧道具」など、東京国立博物館収蔵品を中心に地域ゆかりの文化財が紹介される予定。
会期 : 2021年1月9日(土)~2021年2月7日(日)
会場 : 古河歴史博物館(〒306-0033 茨城県古河市中央町3丁目10番56号)
貸与予定件数: 15件
東城寺経塚群発見から130周年を迎える記念碑的展覧会
土浦市立博物館「東城寺と『山ノ荘』―古代からのタイムカプセル、未来へ」
【みどころ】
茨城県の指定文化財(史跡)である東城寺経塚群が発見されてから、2021年で130年目の節目を迎える。
この記念の年に、東京国立博物館収蔵品より東城寺経塚出土の経筒や鏡、さらには平安時代・長徳4年(998)に藤原道長が記した重要文化財「紺紙金字法華経巻第一残欠」を貸し出す。
経塚に託された人々の願いにも迫る展覧会。
会期 : 2021年3月20日(土)~2021年5月5日(水)
会場 : 土浦市立博物館(〒300-0043 茨城県土浦市中央一丁目15-18)
貸与予定件数: 14件
今年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言などの影響により、全国の美術館・博物館の臨時休館が相次いだ。
海外から巡回する大型展覧会やコレクション展の実施は困難を極め、開催中止や延期、会期の変更などを余儀なくされた館も少なくない。
本事業においても、作品の輸送や職員の移動が困難な状況下で、貸与が実現しなかった例も出ている。
しかしながら、上記5会場では可能性を探り安全対策をとりながら、事業実施に向けて準備を進めている。
国内各地域に凱旋する地元ゆかりの名品を通して、一人でも多くの方に日本文化や地域文化の魅力に触れていただき、文化財を次世代へと受け継いでいくことを目指し、活動を続けていきたいくつもりだ。
「国立博物館収蔵品貸与促進事業」とは
文化財活用センターと東京国立博物館は、2017年度より(※1)国内各地の美術館・博物館に対して国立博物館の収蔵品を貸し出すとともに、作品輸送費等を負担する「東京国立博物館収蔵品貸与促進事業」に取り組んできた。
◎2020年度「東京国立博物館収蔵品貸与促進事業」展覧会開催情報(※開幕日順)
編集・構成 MOC(モック)編集部
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