東京国立博物館の「博物館でアジアの旅」は、今年で7回目を迎える秋の恒例企画です。2020年は9月8日(火)~10月11日(日)に開催。
本企画では、東洋の美術・工芸・考古遺物が集う「東洋館」を舞台に、毎年異なるテーマを掲げ、それにちなんだ名品を館内随所に展示する。
今年のテーマは「レジェンド」です。もとは「伝説」を意味したレジェンド。
そこから「偉人」などの意味が派生し、近年ではスポーツ界や芸能界などで「殿堂入り」を果たした人物もレジェンドと呼ばれるようになった。
まさに意味の多様化が進んだ言葉だといえるでしょう。
今回はそうしたレジェンドの意味の広がりを踏まえつつ、「レジェンドを表わしたもの」、「レジェンドが作ったもの」、「レジェンドが集めたもの」という3つの視点から、レジェンドにまつわるアジア各地の作品を選りすぐって紹介する。
クリシュナ(インド神話の英雄)
ゴーヴァルダナ山を持ち上げるクリシュナ
ビーカーネール派 インド 18世紀後半
ヒンドゥー教の神クリシュナはゴーヴァルダナ山を持ち上げると、指1本で軽々と山を支え、牛飼いたちを雨から守った。
ヘーラクレース(ギリシャ神話の英雄)
ヘーラクレース像
中国、ヨートカン 2~4世紀
大谷探検隊将来品
ギリシャ神話の英雄ヘーラクレースのイメージがシルクロードを経て、西域南道のホータンまで到達したことを示す貴重な作品。
グデア王(古代メソポタミアの都市国家ラガシュの領主)
楔形文字銘日干煉瓦(くさびがたもじめいひぼしれんが)
イラク、テッロー出土
新シュメル時代・前2125~前2110年頃
イラク考古総局寄贈
グデア王の建築事業を伝える印影が残る煉瓦。
同王はシュメル人の都市国家ラガシュを繁栄させ、歴史に名を刻んだ人物。
クレスノ(『マハーバーラタ』の登場人物)
ワヤン・クリ クレスノ
インドネシア、中部ジャワ 21世紀
松本亮氏寄贈
インドネシアの影絵人形劇『マハーバーラタ』に登場するクレスノは主人公アルジュノを支える知将です。
前漢時代の伝説
鐸(たく)
推定中国西南部 前漢時代・前3~前1世紀
山西康太氏寄贈
家畜につけたベルと思われる。
様々な図像には日常と非日常が混在しており、何らかの伝説(レジェンド)を表現しているとみられる。
寒山と拾得(禅の聖者)
重要文化財 寒山拾得図軸(かんざんじっとくずじく)
伝顔輝筆 中国 元時代・14世紀
寒山(かんざん)と拾得(じっとく)が不気味にほほ笑んでいます。ふたりは、常人を超越したふるまいで知られた、禅の世界のレジェンドです。
※展示は9月22日(火・祝)まで
顔真卿(書の巨匠)
顔氏家廟碑(がんしかびょうひ)
顔真卿筆 中国 唐時代・建中元年(780)
顔真卿(がんしんけい)は革新的な書人と称えられる、書の世界のレジェンドです。顔氏一族を顕彰したこの石碑の書は、彼の代表作と評されます。
※展示は9月22日(火・祝)まで
横河民輔(東洋陶磁収集家)
粉彩牡丹文大瓶(ふんさいぼたんもんたいへい)
中国・景徳鎮窯「大清雍正年製」銘 清時代・雍正年間(1723~35) 横河民輔氏寄贈
重要文化財 青磁輪花鉢(せいじりんかはち)
中国・官窯 南宋時代・12~13世紀 横河民輔氏寄贈
白磁壺(はくじつぼ)
朝鮮 朝鮮時代・18世紀 横河民輔氏寄贈
東京国立博物館が世界に誇る東洋陶磁コレクション。
その中核を担っているのは、東洋陶磁収集のレジェンド、建築家・横河民輔氏の寄贈品。
今回は横河コレクションが多数鑑賞できる。
【博物館でアジアの旅 アジアのレジェンド】
会期 : 2020年9月8日(火)~10月11日(日)
会場 : 東京国立博物館 東洋館
開館時間 : 9時30分~17時
※金・土曜日は21時まで
※入館は閉館の30分前まで
休館日 : 月曜日、9月23日(水)
※ただし、9月21日(月・祝)は開館
観覧料 : 総合文化展観覧料でご覧いただけます。
一般 1,000円/大学生 500円
※入館は【事前予約制】となります。入館無料の方や会員の方を含め、入館にあたって、すべてのお客様はオンラインでの日時指定券の予約が必要です。
詳細は東京国立博物館ウェブサイトをご確認ください。
お問合せ : 03-5777-8600(ハローダイヤル)
編集・構成 MOC(モック)編集部
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