女性に人気の習い事やフィットネスといえば「ヨガ」。
ヨガにはたくさんの流派やスタジオがありますが、「48手ヨガ」が注目度急上昇中!
48手は江戸時代から続くといわれるセックスの代表的な体位の総称。
春画や江戸時代の女性からインスピレーションを受けた鈴木まり氏が開発した48手ヨガは、日本古来のセックス文化とヨガを融合させたエクササイズです。
欲張りなMOC読者層のお悩みはダイエット、女子力アップ、恋愛力アップ、妊活、更年期障害など実にさまざま。
MOCインタビューでは、48手ヨガで得られる嬉しい効果について、スタジオ運営や日本女性ヘルスケア協会長をこなす鈴木先生にお話しを聞いてきました。
鈴木先生が2018年に出版した著書『48手ヨガ 江戸遊女に学ぶ女性ホルモンと体力活性法』は、ヨガ部門の書籍売上TOPにランクするほどの人気です。
セックスの48手とヨガ。
「ん?!」と引っかからずにはいられない組み合わせですが、鈴木先生はどうして48手ヨガに行き着いたのでしょう。
もともと私自身が、歴史や江戸文化に興味があったんです。
美術も好きなのでいろいろな国を訪れて美術館をまわったり、日本なら浮世絵展を鑑賞しに行ったり。
大きなきっかけとなったのは、「春画元年」と呼ばれる2015年に開催された春画展。
今までの美術展でも春画を観ることはできましたが、大規模に集約されてはいませんでした。ですから2015年の春画展はすごく印象が強かったです。
展示を見て思ったのは「春画は男性だけが観て楽しむものではないんだな」ということ。
江戸時代は、女性も性に対してオープンでした。
現代の日本は当時と比べて閉鎖的で、江戸時代の方がオープンで進んでいたんです。
江戸の女性の強さも、春画から感じられますね。
現代の女性も性への興味はあるんですよ。
春画展では女性の来客数が多く、やはり性への関心が高いんだと実感しました。
春画や48手など江戸の性文化に、ヨガのエッセンスを混ぜようと思ったのは?
春画展を見たときに、ちょうど私はエクササイズの開発を始めていましたのでピンときました。
エクササイズ開発を考えるとともに、当時は性の悩みへの興味も高まっていたんです。
プライベートな空間にいると、みんなぶっちゃけた話をしますよね。
私も性の悩みを聞くことはよくありました。
友達同士だと相談しあったり。
そういった現代の性リアリティに突っ込みながら、江戸時代の春画をエクササイズにするというのに思い当って「このアイデア、いいんじゃない?使える!」と考えたんですよ。
48手ヨガにトライするとダイエットなど、どんな変化や効果が期待できるのでしょう。
エクササイズでかちかちに鍛えるというよりは、女性ならではの曲線や柔らかみのあるボディラインを活かす方向です。
女性ホルモンを整える効果も期待できますね。
本来持っている女性自身の力を引き出してもらえたらと考えています。
「女性性を鍛える」というイメージですよ。
48手ヨガの嬉しい効果
・女性らしさアップ
・メリハリと柔らかさのあるボディライン
・若々しく健康的な体づくり
48手ヨガというユニークな着想のベースにあるのは、身近な人たちのお悩み。
鈴木先生が感じる、女性の性の悩みって、どういうものがありますか?
女性が抱えがちな性のお悩み
・膣圧の低下
・性交痛
・性器の老化
・オーガズムを体験できない
・男性とのコミュニケーション
膣圧の低下はセックスだけでなく、尿漏れとも大きく関わります。
それから性交痛に苦しむ女性もいらっしゃいます。
年齢にもよりますが、性の悩みは幅広いですよね。
年齢を重ねると、陰部は乾燥しがちになりますので潤滑が弱くなってしまいます。
性の悩みは、内容によって婦人科を受診して治療を受けることもできますね。
オーガズムを経験したことがないと悩む人もいます。
男性とコミュニケーションを上手にとれないという声も。
男性が思うセックスと女性が思うセックスは観点が違うことがあって、それが悩みの種になるようですね。
体と心、どちらにも悩みは生じうる。
そう考えると、性の悩みって軽くみてはいけないように思えます。
お悩み相談を受けながら、行き着いたのが48手ヨガだったんですね。
友人やお客様が、性について困っている。
そこに応えたいという気持ちがモチベーションになりました。
性の悩みを抱えている人って、本当に多いんですよ。
「膣圧が弱い」「男性が萎えてしまう」という悩みを聞いても、以前は「せっかく相談してくれたけど、私に解決できるかな……?」という状態でした。
けれどプライベートな悩みを打ち明けてくれる人が実際にいますので、ヒントになるようなことを提案できたらと考え続けていました。
そうして考案した48手ヨガ。
鈴木先生は48手ヨガを始めてから、体重がマイナス10kg、体脂肪は10%減というすごい変化が生じたそうですね。
特に代謝や運動量がアップしました。
いろいろな方を見てきましたが、ダイエットを始める女性ですと体脂肪30%前後の方が多いようです。
ただしダイエットするといっても女性は体脂肪20%を切らないほうが、女性らしさを保つことができるでしょう。
48手ヨガで「女性性」を鍛えて以来、鈴木先生自身は周囲からどんな反応をもらいましたか?
やはり「魅力的ですね」と言われることが増えたり?
お褒めいただくことは増えました(笑)!
自分で思う嬉しい効果は、着たい洋服を好きに着られること。
これはすごく嬉しいです。
女性はやっぱりマネキンやモデルさんが着ているワンピースを見て「いいな」と思うじゃないですか。
でも太っていると、実際に着てみても「あれ?丈が思ったより短い?」とか……。
理想と現実のギャップにショックを受ける……(泣)。
痩せたい人あるあるですね~!
48手ヨガを体験した方々は、体型のほかにどのような変化を感じているのでしょう。
48手ヨガを始めてから「モテ期が到来しました!」とおっしゃる方は多いですね。
体型が変わると自信を持てるようになりますし、50代の女性で「彼氏ができた」という方がいました。
もともと色気を持っているのに、発揮できていない人はたくさんいます。
レッスンでは
「あなたのセクシーさは、首のラインにある。
だからもっと背筋を伸ばして!
猫背はもったいないですよ」
と声をかけ、効果的なポーズにチャレンジしてもらったりしています。
みなさん、猫背は首や胸の綺麗なラインを隠してしまうんですよ!
ダイエットやシェイプアップをクリアしていきながら、自分の魅力の見せ方がわかってくるんですね。
自分の体を意識する、というのは大事です。
どういう動きでどんな風な印象を与えるのかということがわかってきます。
所作の美しさにもつながってきますね。
「自分に自信を持つ」ってなかなか難しいことですが、まずは自分を知ることから。
いろいろなことがわかってくると、人生が充実しそうです。
それから「妊娠できた」という嬉しい声も。
おぉ~! 何歳くらいの方でしたか?
けっこういらっしゃるんですよ。
「そろそろ妊活を始めようかな」という人や「不妊治療の一環として始めてみました」という人もいます。
40代の初産で、しかも自然妊娠の方がいました。
不妊治療は夫婦関係がギクシャクしてしまうこともありますよね。
お互いにプレッシャーを感じてストレスが蓄積したり。
そんなときに「48手ヨガ、やってみる?」と冗談ぽく、楽しみながら始めてみたら、リラックスできるようになったり。
不妊治療の方法はたくさんありますが、アプローチのひとつとして48手ヨガが頭に浮かぶのはいいですね。
セックスや愛情を大切にしながら夫婦の関係性を丁寧に築いていけそうです。
そういう風に48手ヨガを楽しんでもらえたら、私もすごく嬉しいです。
48手ヨガの読者のうち3割は男性だと聞きました。
性は男女どちらかだけのものではありません。
コミュニケーションです。
手をつなぐ、肌が触れ合う。そういったアタッチメントですし、もっとオープンになってほしいですね。
私はそのなかで、みなさんが考えたり気づいたりすることに繋がる問題提起をしていけたらと願っているんですよ。
性は、男と女がシェアするもの……。
たしかにそのためにはオープンでいないと難しいですね。
今の時代、男女の差が昔と比べて小さくなってきています。
ですから一緒に関係性を構築するのが好ましいのではないかと感じています。
そうはいっても私のようなアラフォー世代ですと、「男性に引っ張ってほしい」と願いがちなのも事実です。
ジェネレーションギャップもありますから、単純には言い切れませんね。
男からするとアプローチ中に、女性がわかりやすいサインを出してくれるとありがたいのですが……。
OKなのか、NOなのか。
選ばれる立場として、もっとはっきりサインを送ってほしい!切実に!
それはサインを受けとる男性のセンスも関わってきますね(笑)。
今の若い子は、意外と付き合うまでに時間がかかるそうですよ。
男女の壁が薄くなってグループで交友関係を築くようになった分、なかなかその先に進めない。
友達のまま関係性が続くことも多いのだとか。
だから女の子が男の子にアプローチするのが増えているそう。
ところが実際に付き合うようになっても、「男女関係をどうすればいいのかわからない!」と戸惑ってしまうようです。
性に対して蛋白だったり、潔癖な人との恋愛に悩む女子は多いですね。
そうしているうちに自信喪失してしまう……。
友人、同僚、パートナー……。
男女の人間関係のバリエーションが増える一方で、コミュニケーションの方法がわからなくなっているのかもしれませんね。
私自身、カテゴリにハマるのはあまり好きではありません。
「女性らしく振る舞いなさい」「男らしくしろ」というのばかりが強調されるのは、現代にフィットしないように感じませんか。
「らしさ」ってなんだろう、と日々考えてしまいます。
今の時代、「男性が女性を引っ張っていかなくちゃダメだ」というわけではありませんしね。
とはいえ、現代の男性が恋愛や性に対して積極的になれないのは、やはり女性と同様に自信を持てないからではないでしょうか。
もともと気が弱い男性が「男らしくしろ!」と言われるのは辛いことですよね。
ですから、その人なりに自分自身を肯定してほしい。「自分は大丈夫」と思える方向性を磨いていくような……。
男性も自信を取り戻すことが必要なのかもしれません。
急には難しいでしょうから、ひとつひとつ、ですね。
江戸時代のオープンな性文化。
そこから着想を得た48手ヨガを通して、現代の男女の性意識も変わりそうです。
そうですね。春画や48手を俗っぽいものだとはあまり考えてほしくないんです。
性ってあるべきものですし、肌と肌の触れ合いってすごくいい。
触れ合いは、愛情形成に必要なものであり、寿命にも関連するといわれていますね。
幸せホルモンの分泌にもつながるでしょう。
男性ホルモンや女性ホルモンは年齢を重ねると減ってきてしまいますが、幸せホルモンは行動次第で出せると思うんですよ。
人生でどれだけ長く幸せな時間をつくるかって、すごく大切。
みなさん、生きていくなかでそういうのは大切ですよ。
斬新に思われた48手ヨガですが、生と性のエネルギーは人生において必要不可欠。
とてもオーソドックスでス~っと心に響いてくるお話しを聞くことができました。
江戸時代の性エネルギーが48手ヨガとしてよみがえり、現代の男女のお悩み解消を助けてくれそうです。
次回インタビューでは、48手ヨガのポーズを紹介してもらいつつ、江戸時代の性感覚についてさらにディープにお話しを伺います!
写真:稲垣佑季 文:MOC編集部
編集・構成 MOC(モック)編集部
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