大切な人と肌を重ねたときの幸せは何にも代えがたいものですが、加齢はセックスにどんな影響を与えるのでしょう。
そんな疑問をセックスカウンセラーの麻未知花さんに答えていただきます。
アラフィフならではのセックスの楽しみ方を中心に、腰痛持ちにオススメの体位や刺激満点の未知の世界など、インタビュー第三回目も大人の恋愛指南が盛りだくさんとなりました。
──オーガニズムに達する、いわゆる「イク」という感覚を堪能できたら、セックスの満足度が上がるのかと思うんです。
セックスの目的は快感だけではないと理解しつつも、そこに興味を持たずにはいられません。
特に女性はオーガズム未体験の人が多いと言われていますが……。
感じる場所って、人によって違いますよね。
どこを刺激されたら快感を得るのか。そこを発見して極めましょう。
まずは発見です。男性は女性の全身を上から下までくまなくさわってください。
女性は素直に男性のタッチを感じて、感覚に集中します。男性はさわりながら、女性の声と表情の変化を捉えましょう。
「ここかな」と思う場所があったら、一度離れ、またさわる。これを繰り返します。こうしてお互い、気持ちよくなる場所を確認し合ってください。
──男性は女性の体に耳を傾けるし、女性は自分の体に素直になる。
確かな変化を感じながら、というとスローセックスのようなイメージですか?
それは相手によりますね。高齢の方やじっくりとしたセックスが好きならスローセックスは心地いいと思います。
女性の体は相手によって変わります。
激しいセックスばかりしていたらそれを求めるようになりますし、膣も男性のペニスにフィットしていくんです。
自分が感じる場所を知り、お互いそれをシェアすると快感に近づきやすいです。
──独りよがりでは快感は遠ざかってしまうんですね。
気分が乗らなかったり体調がよくないなど、相手の求めに応じられないときは正直に断っていいのでしょうか?
応えてあげるのも愛ですが、察するのも愛ですよね。
素直な気持ちを伝えましょう。無理をしないほうが関係性は長続きします。
無理をして応じてしまうと『自分は結局性欲のはけ口なのか』と相手に幻滅したり、嫌な思い出が積み重なるんです。
男性も無理強いをしてはいけません。
つい相手の気持ちをないがしろにしてしまっているようでしたら、セックスしたい気持ちを抑える意義をよ~く考えてみては?
──なるほど。心あっての体のつながりですね。
体といえばアラフィフのセックスで気になるのが節々の痛み。
特に腰痛持ちの人が気持ちよくなるためにはどんなことに気をつけるといいでしょう。
体位で工夫するといいですよ。男性の負担が軽いのは、お風呂での立ちバックです。
腰もですが、膝に負担がかかりません。男性が立った状態で挿入し、女性も動きます。
女性は自分が入れてほしい角度を狙って動くといいですね。
長く快感を堪能できて、気持ちいいセックスを楽しめます。
ベッドの上で行うバックだと腰に全負担がかかりますから要注意。
──体位って、人によってこだわりがあったりしませんか?
正常位で肌と肌を密着させるのが好きな女性がいたり、快楽を求める人はバックが好きな傾向があったりします。
バックは何といっても「1ミリ単位」のセックスができますから。
「1ミリ単位」の極上セックス
快感を極めるセックス。体力が必要なので腰痛持ちには難しい。
①男性がバックで挿入し、両足をうさぎ跳びのように構える。
②男性がゆっくり腰を前後に動かす。ミリ単位で動かすイメージでスローに!
③女性はペニスの動きを感じ取り、自分で角度を調節する。
④女性は気持ちいいスポットにペニスがあたったら、膣を「締める・緩める」を繰り返す
何回もトライしてみるうちに、女性は気持ちいいスポットがわかってきます。
男性は同じリズムで変わらず動き続け、女性が絶妙な快感を見つけるまで辛抱して!
そのため男性の腰や太ももの体力はとても疲労します。男性はスポーツやジム通いで鍛えておくといいですね。
音楽をかけたりテレビを点けっぱなしにはせずに、快感に集中できる環境でミリ単位の気持ちよさを感じましょう。
ちょっとした違いを確かめるためにも、同じ相手で何度もトライするのがオススメ。
──体位やテクニック、トレーニングも大切ですが、気持ちのいいセックスには言葉のコミュニケーションも欲しいかと思います。
言葉の力を実感することってありますか?
日本の男性は「愛しているよ」とか「大好きだよ」と口にしない人が多いですよね。
でも髪の毛を撫でながら耳元で「かわいいね」くらいは言ってあげてください。
そうしたら女性はぐっと濡れますよ!
耳元でなんて恥ずかしいですか? 頭のこめかみの少し上のあたりは、性感帯でもあるんです。
指先を使ってやさしく撫でながら、誉め言葉を囁いて。
すると女性は気持ちよくなるし、うれしくなります。
舌を耳の穴に入れると気持ちいいだろう、というのは男性側にありがちな勘違い。
そこまでされると引いてしまう女性は多いです。
──意外な性感帯って、ほかにどんなものがありますか?
女性だと、指の間を舐められるのが好きという人はいます。
首筋を舐められることはよくありますよね。
そのタイミングでさりげなく指を彼の口元に持っていくと、自然な流れで指の間を舐めてもらえます。
男性はやっぱり、蟻の門渡り(ふぐりと肛門の間)ですね。
そこを開発されると男性はすっかり気持ちよくなってしまいます。
最初は恥ずかしがりますけど、そこを徐々に……。
やがて自分から足を開いて求めるようになる男性は少なくありません。
セックスだから見せられる新しい一面ですね。
でも痔持ちの人にはハードルが高いかも(笑)。
性感帯開発のススメ
・こめかみの上をやさしく撫でる
・指と指の間をキスする
・男性の「蟻の門渡り」を次第に開発
──“新しい自分が発見できるセックス”によって人生の楽しみが広がりそうですね。
枠を超えた自由な性は、生き方も自由にするのかもしれません。
麻未さんはアブノーマルセックスをオススメされてますよね。
長年生きていると、「いつも通りのセックス」に飽きてくると思うんです。
『この人はこういうセックスをする』とわかってくるので、いつもと違うスパイスを投入してみてはいかがでしょう。
きっと新しい世界を発見できますよ。
アブノーマルな世界に興味があるなら、まずは「ソフトSM」がチャレンジしやすいでしょう。
男性はSっ気のある人が多いので、少しずつエスカレートしていくのもいいですね。
女性が嫌がるようではダメですよ。どこでSっ気を抑えるかは男性の理性にかかっています。
ソフトSMのススメ
・手を軽く縛る
・目隠しをする
☆快感のポイントは「次はどこを責められるんだろう」という予測不能感にあり
──まずはソフトに始めつつ、程よいスリルを堪能するんですね。
理性と興奮のせめぎ合いがまた刺激になりそうです。
それと「ハプニングバー」も刺激になります。
あの空間では羞恥心がなくなるんです。
最初は恥ずかしいと思うんですけど、みんなが性に対してオープンになっているのを見ていたら、自分だけが殻に閉じこもっていることに違和感を覚えるように……。
そうして興奮してしまうんです。
カップルで参加していたり、ハプニングバー友達がいたり。
いろいろな関係性で参加している人たちがいます。
──そんな異空間でデートするのは、大人ならではの楽しみかも……?
秘密の場所ですよね。かといって危ないことはないですよ。
女性はけっこういろいろな人にタッチされます。
自分の彼女がさわられているのを見て興奮する男性もいれば、ほかの男性がさわってくるのを手で払いのける彼氏もいます。
そういうところでパートナーの性格が見えてくるのも面白いですね。
ボディタッチなどについてはハプニングバーごとにマナーが設定されています。
ただしあの世界をを知ってしまうと、脳がより強い刺激を求めてしまうこともあるんです。
特に男性でセックスに自信がある人はハプニングバーにハマる傾向があります。
通うために体を鍛えている男性もいるんですよ。
心理面への効果でいうと、好奇心がアップします。
赤の他人の性って、AVなどを通さないと簡単には知ることができません。
けれどハプニングバーに行くと『いろいろな人間がいるんだな』と勉強になります。
──ハプニングバーは人間学、社会学の場でもあるんですね。
でも実際に行ってみるのはかなりの勇気が必要ですね。
ちなみにどんな人がいるんでしょう。
ほとんどのハプニングバーには年齢設定がありません。
ただし20代は少ないです。『サクラかな?』という若い女の子はいます。
東京のハプニングバーは60代が多いと聞いています。
私もこれから東京のハプ二ングバーを調査したいと思っているところです。
大阪のハプ二ングバーとは年齢層が違うみたいなので興味がありますし、東京のハプニングバーはアブノーマルな方が多いと聞いていますが実際のところどうなのでしょうか?(笑)
──ど、どうなんでしょう。アラフィフはまずは恋をして、セックスを楽しむところから始めましょう。
さらに快感を求める人は、未知のワールドに足を踏み入れるのもいいかも……!
私もこれからさまざまな性の世界について調べていくつもりです。
皆さんも楽しまないともったいないですよ。
是非、気持ちのいいセックスを発見してくださいね。
酸いも甘いも知り尽くしたと思っていても、まだまだ世界は果てしなく広がっています。
長年連れ添ったパートナー、これから出会う魅力ある人、どんな相手と恋愛を楽しむかはあなたの心と行動次第です。
心躍る恋愛、気持ちのいいセックスはこれからの人生を盛り上げてくれるはず。
男も女も独身でも既婚でも、大人の恋愛を思う存分堪能してはみませんか。
文:鈴木舞 イラスト:町田李句
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