令和元年の夏、みなさんどのように過ごすご予定でしょうか?
旅行、レジャー、恋愛など楽しんだ者勝ちの夏は、暑さにうだってばかりではもったいない!
しかし思いきり夏を楽しみたいアラフィフの前に立ちはだかるのが、タプタプの二の腕、隠しきれない下っ腹、垂れたヒップ、更年期で不安定な体調……。
そんなお悩みを抱えている人は江戸時代のセックスからインスピレーションを得た「48手ヨガ」にトライしてみましょう。
注目の一冊『48手ヨガ 江戸遊女に学ぶ女性ホルモンと体力活性法』の著者である鈴木まり氏に、ダイエットや美容に効果的なポーズをご指南していただきました。
令和の幕開けとともに“新しい自分”と出会いたい方必見です!
いよいよ年号が平成から令和へと変わり、時代に動きがありそうですが……「新しい自分と出会いたい!」という個人的な熱意もMOC編集部で湧き上がっています。
48手ヨガにチャレンジするなら、どんなポーズがおすすめですか?
みなさんのお悩みにアプローチするポーズがいいですよね。
1.~~茶臼のばし~~
効果:お腹の引き締め、ヒップアップ、便秘改善、冷え性改善
お腹の全面を伸ばし、お尻に力を入れましょう。大きな筋肉にアプローチして代謝アップ!
2.松葉崩し
効果:美脚、お腹の引き締め、くびれ
片足を上げて負荷をかけることで、美脚効果が期待されます。
脇腹を刺激し、腹筋を意識して!
3.深山(みやま)
効果:お腹の引き締め、便秘改善、消化器系の調子を整える
踵を天井に向かってあげるのがポイント。
ふくらはぎの後ろを伸ばして、デトックス効果をアップさせましょう。
4.百閉(ひゃくへい)
効果:ヒップアップ、肩甲骨ほぐし、代謝アップ
お尻と肩甲骨を刺激し、代謝アップも叶えるコスパ大のポーズです。
起床時や午前に行うと、一日の代謝が上がります。
5.後ろ櫓
効果:巻き肩改善、背中の引き締め、肩甲骨ほぐし、呼吸の整え
起床時、背伸びのような感覚で行うのがおススメ。
肩甲骨を柔らかくして胸筋を開くイメージでやってみましょう。
巻き肩が改善されれば、肩こり解消にもつながります。
やっぱり昼間の日常生活ではあまりとらないポーズばかりで面白いですね。
普段使わない筋肉を刺激して、気になるたるみを狙い撃ちできそう!
たとえば「後ろ櫓」では背中を引き締めることができますので、ブラジャーのはみ肉防止を叶えます。
首から背中のラインを美しくしてくれますよ。
「百閉」も肩甲骨にアプローチします。
肩まわりが丸くなると、女性は一気に「おばちゃん」ぽく見えるんです。
年齢を感じさせるパーツといえますね。
特に、背中や肩は自分では見えないですから油断しがち。
みなさん、気をつけましょう!
それから呼吸を整えると酸素を多く吸収できるようになり、痩せ体質へと体が変化していくことも。
アラフィフのボディメイクにぴったりです。
ヨガって柔軟性も大切ですよね。
女性は体を柔らかくしていた方が、いいことがありますよ。
まずセックスの密着度が上がります。
触れ合い度が高まりますし、自分が気持ちいいと思うポイントにより近づくことができますよ。
男性は、48手ヨガでどんな効果が期待できますか?
年齢を重ねると、勃起力の低下は男の悩みとしてもダントツ。
自信喪失、生きる意欲低下……。
暗澹たる人生の幕開けという気持ちになってしまいます。
まず、体を動かすというのがいいんですよ。
男性ホルモンの活性化にもつながるでしょう。
私のスタジオでも、男性向けのレッスンがありますし、実際に男性の生徒さんもいらっしゃいます。
男性も性のお悩みを抱えがちですよね。
それはもう昔から。
『医心方(日本最古の医学書)』でも勃起力にふれています。
女性上位の体位である騎乗位は、女性の生理不順改善が期待できますが、男性の早漏予防の効果もあるそうです。
レッスンでは、男女一緒にエクササイズをするコースはありますか?
単発のイベントで時々あります。
触れ合いなどのアタッチメントはニーズとしてありますね。
恋愛に臆病になりがちな現代でも、やっぱり触れ合うことへのニーズは高いんですね。
鈴木先生が考える男女関係で大事なことって、なんでしょう。
思いやりは大切です。
人間関係の基本ですから、コミュニケーションで相手のことを尊重するのは大切。
性欲は生きるエネルギーですが、性欲のスイッチがオンになった男性を「怖い」と感じる女性はやはり多いです。
たとえばカーマスートラには手練手管から教えがありますので、プロセスについても学ぶことができますね。
ためになることが書いてありますよ。
悩んでいる人が「自分で考えて気づく」というのも大事です。
48手ヨガにトライしてみたら、自分の魅力に気づいたり自信を持てたりするような。
そして私の仕事は問題提起だと考えているんです。
悩んでいる人が考えたり気づいたりするために私ができることは、教えるのではなく、引き出すこと。
48手ヨガには「セックスを楽しもう!」という狙いもあるのでしょうか。
楽しく、というよりは、性をよりオープンにしていきたいです。
セックスに対して、人はやっぱり何がしか感じたり考えていますよね。
「もっとこうしてほしい」などの思いです。
でもそういったことを打ち明けられているでしょうか?
「こんなことを言ったら男性を傷つけてしまうかも」「相手に悪いかしら」と自分の思いを告げずに隠してしまう女性はとても多いんです。
やさしい方に多いのかもしれませんね。
そういう方が48手ヨガの本を読んで「ねぇ、こういうことが書いてあるよ」と、性についてパートナーとオープンに話すきっかけになったらいいなと思います。
江戸時代と比較すると、現代日本は性に関してクローズドですから。
ちょっと不思議です。現代と江戸時代を比較すると、現代のほうがエロのコンテンツは豊富なのに。
種類で見るとそうですね。
でもオープンな分、江戸時代の方が性文化が進んでいたという側面はあると思いますよ。
江戸時代と現代で性に対する意識が異なるのは、どんな影響が考えられるのでしょう。
ひとつは「西洋文化が入って来た」という点。
「性は俗っぽいものだ」という考えが、ある時期に教え込まれたというのは大きいでしょうね。
それから現代日本の性教育は、海外と比べて遅れています。
日本でも避妊は教えられていますが、「性愛との向き合い方」は教えられていないじゃないですか。
これは大きな課題ですね。
現代人は性に対して「エロ」「下品」などレッテルを貼る傾向がありますね。
江戸時代のユーモアをもって性を楽しむ文化と比較すると、ネガティブに感じられます。
性の文化って、もっとオープンでいいんですよ。
江戸時代の女性たちの考え方で面白いと思うことがあります。
「あっちの男とそっちの男は、アタシが育てたんだ」というのが、江戸の女性のステータスだったようなんです。
性経験が、ある種の女性のステータスだったというわけです。
そういう文化が成り立つ背景には、夜這いの習慣があります。
童貞を捨てるために若い男性が夜這いをするのですが、相手に選ぶのは若い女性というわけではなかったそう。
未亡人や中年女性のもとを訪れて、セックスを教えてもらいに行くんです
性の手ほどきを受けに行くんですね~。
現代では受け入れられる習慣ではありませんが……、う~ん、すごい文化ですよね……。
はい、江戸の女性はすごいなぁ……と!
「あの男はアタシが教えてあげた!」というのが井戸端会議の話題だったそうです。
長屋文化も大きな背景にあるのでしょうね。
子育てを地域のみんなでしていたり、生活のほぼすべてをシェアしていたというのは、オープンな性意識につながるのかもしれません。
性といえば欲望でもありますよね。
食欲、睡眠欲、排泄欲などありますが、性欲も重要。
生きる喜びでもありますし、子孫繁栄にもつながりますが、なんだか最近は性欲が軽くみられているような、悪いものとして捉えられているような……。
発達心理学の話をしますと、排泄欲と性欲ってセットなんです。
うんちやおしっこを出せないと不快ですし、スッキリ出せたら快感。
感覚器官が隣り合っていますしね。
排泄欲と性欲も、食欲や睡眠欲と同じくらいに、生きる根源にあるエネルギーなのでしょう。
東洋医学やヨガの世界でも、性器周辺は第一チャクラといわれる生命の源が根ざす場所です。
東洋医学には「子孫繁栄五穀豊穣」という考えが強くあります。
性はエネルギーの源ですし、生命の根源であり……とても深いですね。
性文化って、人間の生命力のあらわれでもあるんですね!
江戸時代のポルノと思われていた春画だって、実は文化、芸術としても魅力的。
鈴木先生は48手ヨガのインスピレーションを春画から強く受けたそうですが、どんな春画が好きですか?
北斎の春画も好きですし、浮世絵の大家・菱川師宣がアレンジした春画もすごく面白いです。
菱川師宣はとても博学な方ですね。
美術も最終的には人体にいきますから、アーティストは解剖学も勉強しているんだなと感じることがあります。
春画を観ていてもそう思いますよ。
絵の中のポーズを目にしたときに、「ヨガとしても使える!」と確信したんです。
私、2015年の春画展は三回訪れました(笑)。
一回目は女友達と、二回目はゲイ友達と、三回目は一人で。
みんなそれぞれ感想が違いましたし、ほかのお客さんの様子も見ていても飽きませんね。
みんなガラスケースぎりぎりまで顔をくっつけて、鼻息荒く見入っていましたよ!
オープンな空間で、性についてみんなが集中している状況って、現代日本ではありませんでしたから。
春画って、目を疑うような表現もあって見入ってしまう(笑)。
すごくアクロバティックなポーズが描かれていたり、男性のイチモツが巨大だったり(笑)。
笑いの要素って、江戸時代は重要だったんでしょうね。
シュールなユーモア。
それでいて芸術でもあるという角度がすごくいいなと感じました。
そういった春画の芸術性、人体のポーズ描写、江戸時代の性の感覚、ユーモア。
あらゆる要素が私の脳内でマッチして、48手ヨガになりました。
48手は江戸時代にまとめられたといわれていますが、何百年も前から受け継がれてきたことには、きっと重要な意味があるんでしょうね。
そうなんです!書籍『48手ヨガ』も、私が完全にアレンジして考案したわけではなく、本来の養生法に戻った、というだけなんですよ。
昔からの養生法を、現代にフィットするようにしてみたのが48手ヨガです。
女性の性の解放、男女のディスコミュニケーション、セックス、失われた自信、隠れた魅力。
現代では性に関するお悩みを抱えている人は本当に多いですよね。
48手ヨガを通して、みなさんが何かを考えたり気づいたりするきっかけにつながっていったら、私はとっても嬉しいです。
江戸時代から令和まで、ユーモアを交えながら受け継がれてきた春画や48手など性文化の数々。
そこには人間にとって必要不可欠なエネルギーの源がつまっているようです。
人生100年時代、アクティブに充実した毎日を送りたい方は、是非48手ヨガをトライしてみてはいかがでしょう。
写真:稲垣佑季 文:MOC編集部
編集・構成 MOC(モック)編集部
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