バブル世代に最も支持されているディスコDJのOSSHY(オッシー)さん。
「OSSHYさんのディスコ・イベントに参加したアラフィフ女性たちが、どんどん美しくなっていく!」と、巷で話題になっています。
革新的な企画を次から次へと成功に導いてきました。
今では、安倍首相夫人を始め、政府や全国自治体からも厚い信頼を得ており、国立音楽大学で特別講師も務めています。
そんなDJ OSSHYさんに、『今なぜディスコが再燃しているのか』『ディスコは人を輝かせるのか』についてお話を伺いました。
ディスコ・イベントに集まるのは、どのような方が多いのでしょうか?
ディスコ全盛時代に20代だった、40代後半から60代の方が多いですね。
今年は、映画『サタデー・ナイト・フィーバー』公開40周年。
20歳でこの映画を観た方は、今年で還暦です!
当時、アメリカの文化は憧れでしたから、あの映画を見た若者たちはこぞって遊び場を求めた。
それまでディスコは、不良のたまり場というアンダーグラウンドなイメージの場所だったのですが、日本全国に楽しさが広がり市民権を得たのです。
映画が公開された1978年がディスコ元年と言われています。
40年の間ディスコ文化が脈々と受け継がれてきた訳ですけれども、50代や60代の方だけではなく、70代や80代を迎えられた方も元気にディスコ・イベント遊びに来られています。
バブル世代の方が中心なのですね。
はい。
でも、昔を懐かしんでディスコにくる人だけではなく、今は成人した息子さんやお嬢さんも一緒になって、親子2世代でディスコを楽しむ方も増えてきているんです。
40年前には息子さんやお嬢さんと一緒にディスコに来るなんて考えられませんでした。
ディスコは、若者たちのカルチャーとして誕生したのですから、親とディスコで遊ぶなんてありえなかった。
それが、ディスコブームを牽引してきた世代の人が、子どもと一緒にディスコに来てくれているなんて、ちょっと感慨深いものがあります。
20代の若者にもディスコは人気なんですね。
はい。
「なぜ私のイベントが支持されるのだろうか?」と思って、周りのスタッフたちに聞いてみたら、「今までのディスコのイメージとは、真逆なことをしているからじゃないか」と言われたんです。
私は、「不良の遊び場や不健全といったディスコのイメージをどうにか払拭したい」と、いろいろな方法論を取ってきました。
まず、ディスコは夜遊びとイメージがあるので、それを昼に持ってきたんです。
史上初、お昼のディスコラジオ番組【RADIO DISCO】のDJを始めました。
お昼にディスコ・ミュージックを流すというのは、かなり大胆なラジオ番組ですね。
平日のお昼にディスコ音楽を流すという試みが、若い頃ディスコに通っていた主婦層の心を動かしたのです。
「DJ OSSHYさんが主催するディスコ・イベントだったら私も行ってみたい」と言ってくださるリスナーがたくさんいたんですね。
それが波及して、民放テレビ初となる昼のディスコTV番組『Disco Train』も始まったんです。
子育て中だと、夜遊びをするどころか外出もままならないですからね。
お昼の時間帯であれば、ラジオを聞いたり、テレビを観たりすることができたんですね。
心のオアシスになっていた女性も多いかもしれませんね。
はい。
視聴者の方が、「今までのディスコのイメージとちょっと違う」、「DJ OSSHYって真面目っぽい」と言ってくださり、安心して昼間でもディスコ番組を楽しんでくれていたようです。
服装もTシャツに帽子を被って「YO!-YO!」と言いながらやるDJスタイルとは真逆の、ジャケットなどの清潔感のあるような衣装を着てDJをやるとか、ピシッとしたスーツを着るビジネスマンスタイルでディスコを発信してきたんです。
DJでそんなことをやっていたのは、私くらいでした。
ディスコを昼に持ってきたのも私が初めてです。
「女性がDJ OSSHYさんのディス・コイベントに集まるのはなぜなんだろう」と思っていましたが、健全で安全なイメージがあるからなんですね。
DJ OSSHYさんが真面目で爽やかなイメージだからこそ、綺麗な女性がたくさんファンになって、ディスコ・イベントにも集まって来るんだと思います。
「真面目っぽい」くらいですが(笑)
お昼のディスコ番組も軌道に乗ってきたので、次は親子で音楽にのって体を動かす時間を楽しむ『ファミリーディスコ』という企画を2002年から細々と始めました。
子どもたちも巻き込んで、ディズニーランドに行く感覚で休日の昼間に家族連れでディスコにきてもらおうと。
この子ども達というのは、さらに若い世代の幼稚園児を含む小中高校生達のことです。
ディスコ音楽は、ミドルテンポの曲が多く、無理せず体を動かすのに適した音楽。
ディスコ世代が踊れば子どもたちも一緒に踊る。
ファミリーディスコは徐々に全国で認識されてきています。
お子さんとディスコですか?!
DJの諸先輩方からも、「ディスコに子どもってなんだ?」とバッシングされました(笑)
でも、絶対に「安全・安心・健康・健全」をモットーとするディスコの時代が来ると信じていました。
一種の使命感のようなものを持って、いろいろな活動を続けてきました。
休日の昼間に開催したファミリーディスコは、当初は50人位の動員数だったんですが、毎年1回ずつ回を重ねる毎に参加者が増えてきて、2015年に品川プリンスホテルで開催された『親子ファミリーディスコ』では650人を動員しました。
大盛況ですね。
中学生の保健体育にダンスが必修化されたことで、ダンスに対する親御さんのイメージも変わってきました。
親は子どもがダンスが上手だと嬉しい。
Speedや安室奈美恵さんから始まってEXILEのように、歌って踊るアイドルやアーティストがどんどん増えてきてたので、子どもたちもダンスするのは当たり前だと思っている。
今の子どもたちの方が、ディスコを楽しめるのかもしれませんね。
僕らが子どもの頃は、人前で踊ることが恥ずかしいと思っていましたが、今の子どもたちは全く恥ずかしいなんて思いませんから。
もう、我こそはと踊り出します。
そういう時代になりました。
変わってきましたね。
スゴイですね。
時代といえば、70年代80年代のディスコの名曲を、CMソングなどで起用しているものがスゴく多いんです。
サントリーの烏龍茶のCMで、KC & サンシャインバンドの『ザッツ・ザ・ウェイ』(1975年発売)が、流れていたり、木村拓哉さん主演ドラマ『MR.BRAIN(ミスター・ブレイン)』でヴァン・ヘイレンの『ジャンプ』(1984年発売)が主題歌になったり、スタイリックスの『愛は全て』(1975年発売)もギャッツビーのCMソングになりました。
子どもたち世代は、テレビを見ていて、70年代や80年代の曲が耳に馴染んできていて、その曲が流れると「知ってる! 知ってる」と、反応するんです。
知っている曲が流れると嬉しいですからね。
日本の音楽は歌謡曲カルチャーなので、メロディーで踊るんですよ。
なので、知っている曲がかかると「あっ、知っている曲だからフロアに行って踊ろう」と、いう人が多いんです。
海外ではメロディーで踊るのではなく、リズムで踊るんです。
腰が基本。
何の曲がかかっていても同じ。
日本のクラブシーンは実は独特なんです。
──なるほど。それで、子ども達も喜んで踊るんですね。
ディスコ全盛時代には、曲によっては決まったステップや振り付けがあったんです。
その曲を今かけると、知っている方はみんな同じフリで踊りだす。
今のEXILEやAKB48みたいに。
それを見た時に、ヤダと思う方もいるんですが、「私もやってみたい!」と思う方が多い。
今の10代20代の人たちがAKB48の『恋するフォーチュンクッキー』を踊る感覚ですね。
そうです。
特に、積極的なのは10代20代の子ども世代なんです。
「パパが踊っているステップを私も踊りたい!」と言い出すんです。
それもとても面白い。
父親への尊敬も生まれますね。
そうそう!
「初めて父親を見直した」というお嬢さんが多いですよ。
踊れるとカッコイイ。
この曲がかかった時に同じフリを踊る。
やらないよりもやったほうが楽しい。
もちろんやらなくてもいいんです。
レッスンではないので、決して強制的ではない。
こういった70年代のダンスの振り付けを、40年後に親子で踊るなんて、当時は想像もつかなかったですよね。
ディスコ・ブームというのは、昔の曲を単にかけているだけではなく、今風にアレンジしています。今の曲も取り入れているんですよ。
例えば、ブルーノ・マーズがグラミー賞を取った『24K Magic』やEXILEの『R.Y.U.S.E.I.』なども交えながら、一緒にかけています。
若い人たちにとっては、今かかっている80年代の曲は懐メロではなく、新しい曲として捉えているんです。
ブルーノ・マーズを始め、今の最先端の若者達は、80年代の曲が好きで「なんてかっこいいんだ」と思って、新しいサンプリングとして曲作りに取り入れているんです。
ディスコ・ミュージックは若者にとっては新しいものですから、お父さんがダンスをしているのをお嬢さん達が真似をしたり、父親が聞いている音楽に興味を持ったり、レコードを買ったりしているんです。
若者や自分の子どもとも共通の趣味が持てるってスゴイですね。
ディスコに若者が来て一緒に踊っていたら、50代や60代の男性は「キャリアが違うんだから、踊りでは負けない」なあんて、昔のプライドが蘇ってきてより若返ってしまいそうですよね。
切磋琢磨しますね。
向上心が自然に芽生えてくるのもディスコのいいところですよね。
競争意識も暗にあってイイんじゃないですかね。平和ボケしないで。
ノンストップで踊ってもいいし、踊りたい曲だけ踊れるのもディスコのいいところですね。
他にも新しく始められたことはありますか?
「安全・安心・健康・健全」でしかも元気になれる場だということを、少しずつ社会的に認知してもらえるようになったので、政治家の方や政府や公共機関の方々に、ディスコを取り上げてもらうようになったんです。
昨年、慶應義塾大学の大学院生の方からお声掛けをいただいて、『高齢者ディスコ』という企画も始めました。
世界初、認知症患者の方のデイサービスでディスコを行うという試みです。
認知症の方がディスコですか! 踊れるんですか?
先ほどお話しした、同じフリで踊りだす70年代の曲の振り付けは、すごく簡単で単純なものが殆どなんです。
ドゥービー・ブラザーズの『ロング・トレイン・ランニン』は、サビの部分でワーと手を上げてバンザイしたり、飛び上がったりするような振り付け。
EXILEや三浦大地くんのフリなどはとても難しくて、練習しないとなかなか覚えられませんが、ディスコのダンスは簡単で踊りやすいですから、年配の方でも曲に合わせて踊れるんですよ。
認知症患者の方が実際に「高齢者ディスコ」を体験してみて、反応はいかがでしたか?
まず、入念に準備をしました。
80代、90代の30人の皆さんが全員車椅子に乗っていると聞き、上半身のフリだけの曲を10曲くらい集めました。『YMCA』など、フリがシンプルで年配の方でも踊れるような曲です。
この年代の方は、フリーアナウンサーのパイオニアである父の『押阪忍』を知っていらっしゃる方も多いですので、父の名に恥じぬように“ゆっくり”“丁寧に”利用者さん達の表情を見ながら、往年のディスコの名曲をノンストップでミックスしました。
大きな音楽が流れる中で一連のフリをノンストップで1時間も踊ったので、全員汗だく。
最後は全員が満面の笑顔に。
「また来てね。」
「今度はいつ?」
と言ってくださる方もいました。
年配の方が1時間も楽しみながら運動できるなんて、スゴイですね。
デイサービスの施設長さんから、
「利用者さんがこんなに運動して、汗までかいたレクリエーションは、今までありません。」
と大変喜んでいただきました。
普段はベッドで寝ていることが多い方まで、急に元気に動かれていたので、ビックリしていらっしゃいました。
『高齢者ディスコ』は、まだ昨年産声を上げたばかりのですので、これからもっと広がっていく可能性があります。
全国のデイサービスでディスコが行われるのも時間の問題かもしれないですね。
そうなってくれるように活動して行きたいですね。
これで「子どもからお年寄りまで、日本国民全員がディスコで一つになる時代になった」ということになります。
40年前は、ディスコで国民が一つになるなんて考えもしませんでした。
同じ曲で、子どもから90歳のお年寄りまでフィーバーしちゃうなんて。
もっともっと広げていくことが、私の使命なのだと思っています。
「高齢者ディスコ」をより楽しむためには、50代の今からディスコに再び通い始めるといいかもしれませんね。
その通りですね。
ディスコという場に馴れておけば、80歳や90歳になっても楽しめます!
ディスコがエクササイズの一つとして社会的に認識されるようになってきたことに、驚きを隠せませんでした。
年代を問わず、楽しみながら健康になれるなんて、とても素敵ですよね。
ディスコ世代の50代や60代の方にとっては、喜ばしいことなのではないでしょうか。
写真:古谷利幸 文:北川りさ
大人の男女を輝かせる!スーパー スカイツリー ディスコ2018に潜入!! 今回は、DJ OSSHY(オッシー)に密着。シリーズ【第3回】
編集・構成 MOC(モック)編集部
人生100年時代を楽しむ、
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