美食王国・日本で尊敬される職業のひとつといえば料理人。
「家庭料理・鉄板中華シャンウェイ」オーナーの佐々木孝昌シェフは、今注目のユニークな料理人です。
中華鍋で作るものという中華料理の常識を覆し、「毛沢東スペアリブ」「烏龍炒飯」「柔らか雛鳥のネギ醤油」など斬新なメニューを誕生させてきました。
来店したお客様を笑顔にさせるため“料理に魔法をかける”ことを信条としている佐々木シェフに料理人生についてお話を伺ってきました。
佐々木シェフはご実家が中華料理店。
小さい頃から中華料理が身近だったんですね。
実家がラーメン屋で、父親が職人気質でした。
母親は田舎で生まれた普通の人で、2人で東京に出てきて「ちょっとやってやろう」という感じで店を始めたようです。
けれど商売を2回やって失敗し、僕が中学生の時に池袋で4坪ほどの中華料理店を始めました。
僕は学校に行きながら店の手伝いをしていたんですが、遊びたい年齢ですからね。
出前を持っていくのとかはやりたくはなかったんですよ。
岡持ちを持ってお客さんに料理を届けたら「遅いじゃないか!」と怒られたり。
でもその時に、お客さんの顔を見ながら頭を垂れながら商売はやっていくものだということを勉強できました。
お父さんの仕事を間近で見て手伝いをしているうちに、料理人としての道を歩もうと?
そうですね。
野球もやりつつ手伝いもしつつ。
家の食卓に餃子、ラーメン、野菜炒めなど中華料理がばんばん出てきていました。
「この道は面白いんじゃないか」と思って、高校を卒業後に原宿の店に入って料理を教わり始めたんです。
そうして飲食の仕事をしていた20代前半、料理人の道は2つだと思いました。
ひとつは高級料理店という道。
ホテルの総料理長を目指す人生です。
もうひとつは自分で店を持つ道。
この二つの選択肢を考え、両親を見てきた僕は商売をする道に進もうと決めました。
早いうちから決めていたんですね。
すぐに行動を起こしましたか?
埼玉の草加で中華料理屋を出しました。
出前が売り上げの7割8割を占めていて、50ccのカブに岡持ちをつけて届けていました。
四年続けたあと、店を人に譲って東京に再び戻ったんです。
佐々木シェフが抱いている「お客さんの笑顔を大切にする」という料理哲学は当時からですか?
高級料理のコックさんって変わり者が多いんですよ。
「俺の料理はすごい」「あんたの作り方は違うよ」とかってね。
ですが中国はあれだけ大きな国でしょう。
中国料理の系統が分かれていて、僕が学んだ広州料理にも宗派がたくさんあります。
歴代の先生たちの料理の教えが何千年も続いてきたんです。
それはもう勉強しきれないくらいそれぞれの料理にいろいろな持ち味があるのに、コックさん同士で喧嘩になってしまいます。
いいものを取り入れてちょこっと変えるだけですごいものができるんじゃないか、と僕は考えます。
そうやって突き詰めていくと、僕のやりたいことは「お客様を笑顔にする」ということ。
それを原点に料理を作り続けてきました。
若いときは成功ばかりではないですが、いろいろな失敗を積み重ねてここまで来られたのでしょうか?
そうですね。
お客様に怒られたり、皿を壊したり、すべてのものを経て「自分は何をやりたいんだ」という想いがありました。
ですが失敗とは思っていませんね。
僕はすぐ忘れて前向きになるから(笑)。
失敗したときに大切なのは、素直に謝ることじゃないでしょうか。
謙虚ですね。
現時点で僕が生かされていて「何のためにここにいるのか?」と考えることがあります。
僕は料理を作って魔法をかけたい。
魔法をかけてお客さんに笑顔になってもらう、この一点なんです。
僕は56歳になりますのでいつまで料理をできるかわからない。
けれど体が動くうちは来店してくださったお客様に笑顔で帰ってもらいたいんです。
料理に魔法をかけるとは?
今まで僕が見てきたもの感じてきたもの、修行してきたすべての想い。
そういったものを詰め込んで、料理に魔法をかけるんです。
中国料理とは火力で水と油を一緒にさせることだと思います。
僕の親父の野菜炒めはすごくおいしかったですが、ごく一般家庭の奥さんが作る野菜炒めもおいしいんです。
それなら僕らプロと一般家庭の野菜炒めの決定的な違いがどこにあるかというと、火力です。
僕の野菜炒めは十分経っても水分が出てきません。
火力によってソースが野菜にまとわりつくから、落ちてこないんです。
だから時間が経っても熱いまま。
そこは技術です。
技術がしっかりとした中華料理に佐々木シェフがプラスアルファを加えること。
それが魔法なのでしょうか?
「シャンウェイ料理はどういったものが出るのか」とワクワクしてもらいたいです。
それに応えられるのは、引き出しがあるから。
お客様が食べる前に笑顔になって、料理を口に入れたら「おいしい!」と感じて、食べ終わったら満足感を得られる。
「あぁ、楽しかった!」と笑顔で帰ってもらう瞬間が好きです。
僕の小さな店にいらっしゃってくださるというのは、お客様の24時間しかない一日のうち2時間くらいを使ってくれているということ。
それはもう楽しんでいただきたいですよね。
「シャンウェイだからこその楽しいひととき」ですね。
シャンウェイらしい味や空間を保つために努力していることはありますか?
外注はしていないですね。
できないものはできない。
たとえば「餃子10万個作ってくれ」という要望には応えられません。
人を笑顔にするっていうのは手作り感や感動などから来るのではないでしょうか。
レシピを渡して外注しちゃうとそれができなくなってしまう。
シュウマイや餃子の見た目を綺麗に作ろうと思えばできるんですが、それだけじゃ笑顔にできない。
たとえば画家のピカソは綺麗な絵も描けるでしょう。
でも綺麗ではない絵も見てみたいと思わせる。
芸術です。
シュウマイや餃子だって綺麗に巻いていなくても、「食べてみたい」と思ってもらうことはできます。
それは魔法がかかっているから。
魔法というのは、引きの強さやパンチの効いた特徴など?
たとえばシャンウェイの烏龍炒飯は賛否両論をいただいています。
「こんなの炒飯じゃないじゃん」という声も。
ですが僕がこの料理を作って、味を捉えてくれた人がいるとすごく嬉しくなります。
鉄板で作る黒い烏龍炒飯。
独創的な炒飯が誕生したきっかけはなんでしょう。
みなさん、茶葉を捨てちゃうじゃないですか。
この茶葉を食べさせてあげたいと思いました。
お茶は体によい成分が含まれていて、お茶を使った料理は中国に昔からたくさんあります。
そこで僕は料理でお茶の葉っぱを全部食べさせてあげたいと考えたんです。
ずっと未完の炒飯でした。
卵を入れないで、お茶の葉を揚げたものと青梗菜、青菜をのっけて、最後は烏龍茶を入れてお茶漬けにして食べてもらうものでした。
でも何かが違うと感じていて、アクセントが違うのだろうかと悩んでいるところ、鉄板で作ってみたら「これはすごいな!」という炒飯に仕上がったんです。
トントン拍子にできたメニューではなかったんですね。
いろいろな想いがつまっていそうです。
ほかに試行錯誤の賜物のメニューはありますか?
蒸し鶏ですね。
シャンウェイの蒸し鶏は骨まで柔らかいのですが、本場中国からするとナンセンス。
4時間以上蒸すと食感がなくなってしまうからです。
そもそも骨は食べるものではないと考えらえています。
中国では、骨は口からぺぺっと出していますよね。
でも僕は骨まで食べさせたくなりました。
「なんで骨を捨てちゃうんだろう、絶対に食べさせてやる!」と。
ところが蒸す時間が長くなると鳥の食感がまるで変わってしまう。
そうなったときにどのソースが合うのかいろいろ試してみました。
考えて考えて、ついに醤油から作ってみてメニューが完成しました。
調味料をオリジナルで作るところに行き着いたんですね。
なかなかの道のりだったのでは?
中国、日本、タイ、ヨーロッパなど全て現地を訪れたわけではないですが、探しに探しました。
しかしイメージ通りのものが見つからなくて……。
そんなときに調味料の会社の人と仲良くなりました。
そうして一緒に何回も手直しをして、いい調味料を作るまでに至ったんです。
考えたり、修行したり、人との出会いがあったり……。
何がきっかけになるかって、わからないですね。
僕はすべてのものには無駄はないと思っています。
どう考えて、どう捉えて、どう表現するか。
その過程に無駄はないんじゃないかな。
疲れたときには休めばいいし、ドンとやるときはやればいい。
あとはお客さや周りの人が評価するだけです。
自分以外のほかの人がすごかったらすごいと言えばいいんです。
「自分はこうだ!正しい!」と決めつける必要はないでしょう。
そういうことを料理に全部つぎこんだものを、僕は魔法と呼んでいます。
その魔法は来店されたお客様のみならず、テレビ画面などを通して多くの人を笑顔人させたように思います。
ドラマ『孤独のグルメ』でも取り上げられた「毛沢東スペアリブ」はビジュアルがとにかく強烈!
スペアリブってだいたい小さいでしょう。
ジャンボスペアリブを作ってみたら、けっこう大きいものができました。
それと中国大陸で湖南料理を見てきたのですが、湖南料理はほとんど全部が辛いんです。
四川料理より辛いらしくて。
僕が日本人だからかな。
そこに少し違和感があったので改良したら面白いんじゃないかと思いました。
ですから毛沢東スペアリブは湖南料理ですとは完全には言えないですね。
けれど肉を揚げて辛いフレーバーを付けるというスタイルはそうです。
食べればおいしいとわかるのですが、ビジュアルがかなり個性的です。
これはウケるという確信があったんですか?
ウケるとかじゃなくて、笑顔にしたいですから。
お皿が運ばれてきたときに「何これ、どうやって食べるの?!」と怒りと笑いの狭間に来るような。
普通のコックさんだったらスペアリブに唐辛子をこんなに使わないし、もっと食べやすい大きさに切ります。
でも僕は自分の想いをどんと出しているから。
それを目にしたお客様に笑顔になってもらえたらうれしいです。
料理は佐々木シェフからのラブレターのように思えてきました。
そうそう!
ウケるとか流行るとかは結果であって、追いかけると逃げていくもの。
女と金は追いかけると逃げていく、というのが僕の考えです。
人は光っているモノについてきます。
では、光るためにはどうすればいいか。
自分が汗を流せばいいだけで、シンプルなはず。
料理もそうです。僕はウケるために作ろうとは思っていない。
想いを感じとってくれればうれしい。
そのあとに評価されたらそれはそれでうれしいですね。
想いがこもったとき、料理に魔法がかかるんですね。
僕の今までの経験や時間をすべて料理に込めます。
ですから修行って大切だなとすごく思います。
僕は十代のころ、ずっと仕事をしていました。
今、それにすごく感謝しているんです。
あのときがあったから、今の発想が生まれている。
海鼠や北京ダックの処理もそうです。
最近はすでに処理されたものが買えちゃいますけどね。
お客様に想いをまず伝えること。
作ったものに付加価値をつけて、評価を受けてじわりじわりと進んでいけたらいいんです。
びっくりするものを食べたときって、誰かに教えたくてしょうがないでしょう。
だから食べて笑顔になった人は、知り合いにそのことを伝えると僕はわかっています。
自分の作ったものに自信を持って作るのが大事。
想いがあればついてきてくれる人は必ずいます。
佐々木シェフが料理人の道を歩み続ける強さはかなりのものですね。その秘訣は?
男の美学って、やせ我慢だと思うんです。
全てにおいてのやせ我慢。
このやせ我慢があるから何かをできるんじゃないかな。
僕の実家はお金持ちではありませんでした。
余った炒飯を食べたり、野球もグローブは新しいものはなかなか買ってもらえなかったです。
そういうなかで前向きにやっていくのが僕の生き方。
その生き方がいいのか悪いのかわからないですけど、僕のスタイルとしてそうなんです。
佐々木シェフが思うカッコイイ生き方はどういうスタイルですか?
懐の深い人が好きです。
仕草とかより懐。
困っていたら「たいへんだ!」となるのではなく、「大丈夫、時間がくればなんとかなる」と言えるような。
そして「できることはやる、できないことはできない」とし、自分の振り子以上は振らないこと。
自分を知ることが大事です。
当たり前のことを当たり前にやっていきたいですね。
料理人は自分が選んだ職業ですし、僕は仕事をずっとしていくつもりです。
何をやるべきかを土台において、修行や経験を積むことは大事です。
そうしないとダメになる人はたくさんいると思います。
根本的な人間の内側にある信念を汗を流しながら抱き続けるのは大切。
そこに自信を持てるのかどうかですね。
生きていて「最高に幸せだ!」と思う瞬間を教えてください。
やっぱり僕の想いをわかってもらえたとき。
お客様が料理を見て「うわ~!」と驚いたり喜んでいるのを見るとうれしくなります。
「楽しかったよ。また来るよ」という言葉はさらにうれしいですね。
一日24時間のうち、僕は15~16時間は仕事をしています。
一日の3分の2を仕事に費やしているなかで、笑えるような嬉しいような楽しいような時間があるといいじゃないですか。
料理を作ることは僕の使命だと思っていますし、お客さんが笑顔で幸せになってほしい。
お客さんが笑顔になる方法で料理をつくっていくのが僕の強い想いです。
佐々木シェフが料理人として目指すところは、お客様を笑顔にすること。
シンプルな目標ですが、修行や経験、感じたことを全てつめこんで作った料理には特別な魔法がかけられています。
幸せになれる魔法のひとつのかたちとして料理を作り続ける佐々木シェフのこれからにますますワクワクさせられそう。
是非シャンウェイで魔法のようなひとときを味わってみてはいかがでしょう。
港区新橋にあるAGA・薄毛専門の医療機関。
- 診察時間(完全予約制)
- 月/火/木/金/土 11:00~22:00(休診日:水曜日)
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- 0120-972-335
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- 東京都港区新橋1-9-5
今回のインタビューは、AGA治療という薄毛治療を行っている銀座総合美容クリニックさんの企画です。
このような髪の毛を生やす治療を行うクリニックがある事をご存知でしたか?
いや、知らなかったです。
僕は髪が薄くなったあたりから剃ってしまったので、たまにはブロッコリーカットやマッシュルームカットにしたいなと思ったりはします。
あ、あとレゲイみたいな髪型でフライパン振りたい!
「病気を治す」ための治療ではなく、髪を生やす治療で「悩みを解決する」という文脈にて、治療を行っています
おそらく、ご苦労して開発された技術なのでしょうね。
是非我々のような中高年の髪を増やして、幸せにしてほしいですね。
実際髪が増えたら幸せになりますからね!
患者さんの個々の悩みや髪への考え方を大切に、日々治療を行っているクリニックです。
ササキシェフのお客様に接する通じるものがあると思います。
お客さんの中には、料理を楽しみにしている方だけではなく、俺に逢いに来る方もいます。
「アイツに頼めば美味しい料理作ってくれるだろ」みたいな。
そういう絶対的信頼をお客さんと築いているクリニックは強いでしょうね。
銀座総合美容クリニック
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編集・構成 MOC(モック)編集部
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