人生100年時代を楽しむ、大人の生き方 Magazine

人生100年時代の「健康とセルフケアの実態調査」。 70歳以降に元気で働く自信がある方は○○%?

 

 

自分自身で健康を守り対処する「セルフケア」という考え方が人生100年時 代を迎えつつある日本。

セルフケアが生涯現役であるための、キーワードだ。

20代~60代の働く人、男女1,000人を対象に「健康とセルフケアに関する 実態調査」を行なった、その結果とは?

 

 

 

 

【働く人の健康とセルフケアの実態】

 

自分自身の健康を守り対処する「セルフケア」。約8割がセルフケアの考え方に共感するも、セルフケア ができていないと感じる人は45.7%。

セルフケアとは自分自身の健康を守り対処することです。このセルフケアという言葉への認知について聞いたところ、4人に1人 (25.0%)が「意味、内容まで知っている」と答えている。

「言葉だけは知っている」(54.7%)と答えた割合を合わせると、 79.7%がセルフケアについて何らか認知している[図1-1]。

また、セルフケアという考え方については、82.6%が共感できると している[図1-2]。

セルフケアの実践度では、「セルフケアができている人」(できている+どちらかというとできている)が54.3%。

 

 

「セルフケアができ ていない人」 (どちらかというとできていない+できていない )は45.7%となり、拮抗状態にあることが分かった[図1-3]。

 

 

 

セルフケアができない理由は「多忙」「面倒」「お金がない」。

「家事・育児で忙しい」を理由に挙げる共働き世帯は片働き世帯の3倍以上。

 

「セルフケアができていない」と答 えた457人にその理由を聞くと、「仕事が忙し い」(39.8%)。

「健康管理に気を使うのは 面倒」(26.7%)。

「使えるお金が少なく生 活の選択肢が少ない」(21.9%)などが挙がった。

トップの「仕事が忙しい」を理由に挙げた人は 30代で51.0%と特に高率。

また、共働き 世帯は「家事・育児が忙しい」が28.5%と高く、 片働き世帯(8.3%)の3倍以上にも上る。

共働き世帯は「仕事が忙しい」 (43.5%)も高率で、家事・育児に仕事に 忙しく、自身の健康にかまう時間がないことがう かがえまる。

 

 

セルフケアにかけるお金は1カ月平均4,697円。

管理職が8,907円と最も高く、役職のない社員の3,000円台と大きな開き。

役職別で見ると、役職の付く「管理職」や「経 営者・役員」で10,000円以上という回答が多 い。

平均金額は「管理職」で8,907円。

「経営 者・役員」では8,503円であるのに対し、役職 のない「管理職以外の正社員」が3,579円。

「正社員以外の雇用形態の会社員」が3,372 円となり、役職の有無で大きな開きがある。

 

 

自宅の常備薬、きちんと把握しているのは29.8%。男性、特に20代男性の多くは常備薬を持たない。

自宅の常備薬について聞いた。

自宅にどのような常備薬があるか「詳細に把 握している」割合は29.8%にとどまっている。

その一方で、「自宅に常備薬はない」と答えた 人は8.3%いる。

性別で見ると、男性は女性に比べ常備薬に ついて把握しておらず、特に20代では男性の 17.8%が「自宅に常備薬はない」とさえ答えて おり、男女差が顕著。[図4]。

 

 

上の年代ほど常備薬の種類が多い。常備薬として最も多いのは「かぜ薬」。

自宅の常備薬を把握していると答えた775 人にその種類を聞くと、「かぜ薬」(82.8%)、 80.0。

「解熱鎮痛薬」(71.0%)。

「目薬」(61.2%)。

シップなどの「外用鎮痛消炎剤」(59.2%)。

「胃腸薬」(59.0%)の順となった。

上の世代ほど常備薬の種類も多くなり、特に 胃腸薬と外用鎮痛消炎剤は顕著[図 5]。

 

 

働く人はセルフケアのために「OTC医薬品は役立つ」(75.2%)、「OTC医薬品の知識を増やした い」(62.2%)と考えている。

セルフケアに関する考え方を提示すると、75.2%が「セルフケアのためにOTC 医薬品は役立つ」。

62.2%が「セルフケ アのためにOTC医薬品について知識を 増やしたい」と答えている。

 

 

【働く人の健康と勤務実態】

働く人の有休取得日数は年間平均9.4日。1日も取らなかった「有休0日」の人は16.7%。上の世代ほど多い。

続いて勤務状況について聞きいた。

1カ月の労働時間は平均で160.6時間、残業時間は15.6時間でした[図7]。また、 1年間の有給休暇の取得日数は平均で9.4日となった。

なお、有休取得日数が「0日」と答えた人は16.7%存在。

年代別に見ると、年代が上がるごとに有休取得0日の割合が高くなる。

一方、平均有休取得日数が増加していることから、取得状況の二極化が進む様子がうかがえる。

 

 

体調不良でも休まない日本人。86.5%が体調不良でも出社することがある。

仕事を休む基準となる体温を聞くと、38.0°Cと回答する人が最も多い。

 

 

体調不良時の出社実態について詳しく聞いた。

「耐えられる程度の体調不良であれば出社する」と答えた人は77.5%。

「人に引き継げない仕事があれば出社する」のは72.9%。

「医療機関でインフルエンザなどの感染症でないことが分かれば出社す る」は61.0%。

この3つのうちいずれかで出社すると答えたのは86.5%に上り、多くの人が体調不良を押しても出社する意 向であることが明らかになった。

また熱が何度あれば仕事を休むかと聞くと、38.0°Cという回答が最も多くなった(平均値では37.8°C)。

なお、 体調不良時に会社を休んで療養することを優先するか否かを聞くと、 「療養を優先」(当てはまる+やや当てはまる)と答えた 割合が53.3%。

46.7%は療養よりも仕事を優先する実態がうかがえる。

 

 

体調不良でも出社するのは、「同僚に迷惑をかけたくない」

若手では女性が「同僚に迷惑をかけたくない」、男性が「評価に影響」と、気にかける点は異なる。

[図9-1]で体調不良でも出社すると答えた 865人に出社する理由を聞くと、「同僚に迷惑をかけ たくない」(56.5%)。

「仕事に対する責任感」 (53.3%)。

「得意先や顧客に迷惑をかけたくな い」(33.9%)などが挙げられた。

この結果を性・年代別に見ると、女性の20代 (73.3%)・30代(74.7%)は「同僚に迷惑を かけたくない」という回答が多い。

一方、男性の20代 (16.3%)・30代(15.4%)は「評価に影響す る」という理由が他の世代に比べて高くなっており、同 じ若い世代でも気にかける点が異なることが浮き彫り になった 。

 

 

人生100年時代 65.0歳まで働きたい、という回答が最多。
 70歳まで元気に働く自信がある人は36.6%にとどまり、ない人が58.4%と多数派。

今後、働くことにおいて「健康がますます重要になる」と約9割が認識。

 

日本は「人生100年時代」を迎える。

そこで、何歳まで働きたいか? 何歳まで働きたいと思うか聞いたところ、65.0歳 という回答が最も多くなった。

70歳 歳になっても元気に働くことについて、自信がある (最頻値) という人が36.6%で、約6割(58.4%)が「自 信がない」と答えている。

「就労において健康がますます重要になる と思う」(90.9%)、「高齢でも元気に働ける人 が重用されそうだ」(83.7%)と感じており、働く 人のほとんどが健康の重要性を認識している。

 

 

【セルフケアができている人の実態】

 

セルフケアができている人ほど、ワーク・ライフ・バランスが保たれている。また、OTC医薬品に詳しいと 自認し、OTC医薬品を正しく使う割合も高い。

「セルフケア」を実行している人は、どのような人でしょうか。

まず、働き方について見ると、1カ月の残業時間は平均で15.6時間だった。

セルフケアができている人ほど残業時間は短く、「できている人」は13.8時間、「できていない人」は18.9時間と、5時間もの差がある。

体調不良時に仕事 をするより休んで療養することを優先する割合も、セルフケアができている人ほど高くなっている。

また、OTC医薬品の効能・効果や正しい使い方について詳しいと思うかを聞くと、全体では51.7%が「詳しいと思う」と回答。

「できている人」では70.5%と20ポイント近く高く、セルフケアができている人ほどOTC医薬品に詳しいと自認している。

さらに、OTC医薬品の使用方法を正しく理解しその通りに使用する割合も、セルフケアができているほど高くなっている。

セ ルフケアができている人は、OTC医薬品を上手に活用している様子がうかがえる。

 

 

セルフケアができている人ほど、70歳まで働く自信がある。

高齢でも元気に働けるようセルフケアがますます重 要になるかと聞くと、全体の87.5%が「そう思う」と 答える中、セルフケアができている人が90.6%と肯 定率が高く、人生100年時代におけるセルフケアの 重要性を認識している。

これは、70歳になっても元気に働く自信のある割合が、セルフケアができている人では43.8%と、でき ていない人の28.0%に比べ15.8ポイントも高くなっ ていることにも表れている。

 

セルフケアができている人ほど、仕事も趣味も生活も充実し、幸福度が高い。

さらにセルフケアができている人は、仕事にやりがいを感じ(63.0%)、趣味や好きなことにより打ち込め(65.2%)、生活が充実している(68.7%)。

総じて幸せに過ごしている(77.3%)と実感している。

セルフケアの実践は、健康の維持・向上だけではなく、人生を謳歌する土台作りとなることが示唆される。

 

 

withコロナ時代、働く上でのセルフケアの重要性

フェミナス産業医/労働衛生コンサルタント事務所 石井りな先生

 

体調不良でも休まない時代は終わり、ニューノーマルの生活様式として、働く日本人には一層セルフケアが重要になる。

今回の調査結果は勤勉な日本人の姿を表しています。

これまでは、例えば微熱やかぜの症状があっても、今回の結果のように周 りに迷惑をかけたくないから、責任があるからと、仕事を優先する人が多かったように思います。

しかし、今回の新型コロナウイルス感 染症の流行によって、無理して働くことは、かえって周囲に迷惑をかけてしまうことが明らかになりました。

これからは、新しい生活様式 として、体調の悪いときには休む等、柔軟な選択ができるといいですね。

また、今後は、アレルギー疾患や持病をコントロールしていくことが大切です。

特に呼吸器症状を伴う花粉症、咳喘息、アレルギー 性鼻炎等は注意が必要です。

こうした症状は感染性ではありませんが、せきやくしゃみをしていると、たとえマスクをしていたとしても、こ れまでと同じようには周囲は受け止めないでしょう。

症状が治まらないと、そのたびに会社に行きづらくなってしまいます。

OTC医薬品 は種類が豊富なので、症状のコントロールにうまく活用しセルフケアを実践してください。

 

仕事をコントロールできなくなっている状況を見直し、セルフケアにも意識を振り向けることで人生の充実にもつながる。

調査では管理職や経営者など責任が重い仕事の人の方が、セルフケアにお金をかける結果となりました。

経済的な要因もあるで しょうが、責任が増すと健康への意識が高まるのだと思います。

産業医が実施するストレスチェックでは、仕事のコントロールができて いる人ほどストレスが少ない傾向がみられます。

調査でもセルフケアができていない人は忙しいなど外的要因に振り回されていて、仕 事や生活のコントロールができていない傾向にあります。

ご自身の仕事を振り返り、コントロールを取り戻すことが、セルフケアに意識を 向けるきっかけになり、結果的にストレスを減らし、仕事の成果や生きがい、人生の充実につながっていくのではないでしょうか。

 

withコロナの今、セルフケアでは健康観察も重要な要素に。健康観察で不調を感じたらOTC医薬品の活用も。

感染対策の多くが個人の健康管理、セルフケアによるものです。withコロナの時代はセルフケアの時代になると思います。

感染予 防としてのセルフケアには大きく3つあります。

 

1衛生対策

2感染しにくい体づくり

3健康観察(検温、体調チェックなど)

 

1や 2はこれまでも重要性が語られていましたが、3の健康観察が今回新たに加わりました。

感染拡大時期には、むやみに医療機関を 受診することは避けた方がいいといわれています。

ですから、まずは健康観察を徹底し、不調がみられたら、すぐに医療機関を受診す るのではなく、軽度であればOTC医薬品の活用もお勧めです。

もちろん用法・用量を必ず守って、適正使用してください。

OTC医薬 品を適正使用することは、改善が得られなかったとき、医療機関を受診するという判断の一助にもなります。

OTC医薬品は必要な時に早く手に入り、忙しい中でも急な症状に対応できるのがメリットです。

最近は、これまで病院でしか処方 してもらえなかった成分を配合した薬が薬局やドラッグストアなどで購入できる、スイッチOTC医薬品も増えてきました。

withコロナ時 代はOTC医薬品を上手に使ってセルフケアに役立ててほしいです。

 

人生100年、セルフケアは人生の後半戦のQOL(生活の質)を左右する。家庭では子どもにも重要性を伝えてほしい。

日本人の人生は長く、長寿化しているため、セルフケアをしてきた人と、してこなかった人で将来の過ごし方が変わってきます。

セル フケアをすることで未然に防げる病気はたくさんありますので、防げたはずの病気で足をすくわれないようにしたいものです。

特に人生の 後半は、セルフケアのいかんによって元気に活動できる年数に違いが出てきます。

セルフケアは習慣だけでなく、スキルとしての要素も あるので、若い時はできていなくても、手遅れではありません。

今からでも、セルフケアスキルを高めましょう。一方で、子どもの頃からの 習慣や意識付けもできると理想的です。

お子さんがいるご家庭では、「自分の体は自分で守る」をテーマに、親子でセルフケアについ て話し合う機会をぜひ設けてください。

そして大人がセルフケアに取り組む姿を積極的に見せてください。

定期的に話題に挙げ、親子 で実践していくことで、セルフケアの意識がお子さんに根付き、行動へ、そして習慣になっていきます。

 

 

石井りな先生/フェミナス産業医・労働衛生コンサルタント事務所

千葉大学医学部卒。

総合病院にて内科・外科・救命救急を経験。その後、精神科専門病院・メンタルクリニック、リワーク機関にて精 神科医として、軽度から重度、休職~復職支援まで研鑽を積む。

並行して認知行動療法、集団精神療法、力動的精神療法につ いて習得。

順天堂大学院にて衛生学を学ぶ。2010年から専門医としての経験のみならず、衛生学、労働環境、人事、労働法務に も精通したプロ産業医として活動。

2016年心も体も治療できる九段下駅前ココクリニックに参画。

心身双方からアプローチできる医 師・産業医であるよう心がけている。

医学的側面だけでなく社員一人ひとりの仕事状況に合わせたアドバイスを行っている。

メディア執 筆多数。

 

 

【調査概要】

実施時期:2020年3月4日(水)~ 3月5日(木)

調査手法:インターネット調査

調査対象:全国の20代〜60代の働く男女1,000人

 

 

編集・構成 MOC(モック)編集部
人生100年時代を楽しむ、
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PROFILE

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