人生100年時代を楽しむ、大人の生き方 Magazine

嫌煙の時代、タバコが文化を牽引した時代を見つめる企画展。明治期のポスターから名コピーが光る昭和の作品など約100点を展示!!

 

 

たばこと塩の博物館では、2019年12月14日(土)から2020年2月16日(日)まで、「たば塩コレクションに見る ポスター黄金時代」展を開催。

1890年代から現代に至る、国内外のたばこ広告をはじめとしたポスターを多数所蔵。

約100点のさまざまな資料を展示し、印刷技術の歴史や時代を映すデザインについて紹介する。

 

 

 

明治期、まだ民営だったたばこ業界では、各会社が看板、新聞、ビラ、宣伝隊など、様々な形で宣伝を行った。

その中でも、色鮮やかな石版印刷のポスターは当時の先端を行くメディア。

販売促進を図るべくより美しいポスターを追求したことから、印刷技術も発展していった。

当館のポスターコレクションには、この時代の石版印刷ポスターはもちろん、その原画も含まれている。

原画が現在にまで残っていることは非常に珍しく、印刷工程を示す写真と合わせることで日本の商業印刷黎明期の足跡をうかがうことができる。

 

 

本展では、当館のコレクションの中から、ポスターが広告メディアの花形だった1890年代から1960年代に製作された作品を展示。

明治期の美しい石版印刷ポスター、大正から昭和にかけて活躍した図案家によるポスター。

名コピーが登場した昭和30年代のポスターなど。

日本のグラフィックデザインの変遷を紹介。

合わせて、サビニャックほか有名デザイナーの作品を含む海外のたばこポスターも展示する。

 

 

 

 

1890年代から1900年代初頭(明治20~30年代)には、日本でも多色石版印刷のポスターが製作されるようになりった。

明治初期に紙巻たばこが国内で製造されるようになると、たばこ製造業者が販売競争を繰り広げるようになった。

その中でも「天狗煙草」で名を馳せた東京の岩谷松平と、「サンライス」「ヒーロー」といった商品を販売した京都の村井吉兵衛の争いは、のちに「明治たばこ宣伝合戦」と称されるほど有名であった。

看板・新聞・ビラ・宣伝隊など、当時考えられるあらゆるメディアを使った宣伝活動は、明治の広告業界をリード。

たばこ産業の宣伝活動は印刷技術の向上に大きな役割を果たした。

このコーナーでは、日本でポスターが製作され始めた頃の作品や明治たばこ宣伝合戦が繰り広げられた当時の作品を中心に紹介する。

 

 

 

 

ポスター黎明期

世界における近代ポスターの誕生は1880年代とされ、石版印刷の技術とともに発展していった。

日本では、江戸時代から商品の広告や芝居の告知を目的として制作された「引札」や「絵びら」がある。

 

 

これらは、現在のチラシに類する広告宣伝用の摺り物で、浮世絵版画(木版)の技法を使い、美人や風景などの挿絵が描かれたものに商店名や商品名を入れて配った。

明治時代になると、日本でも欧米からの輸入紙巻きたばこ(シガレット)を宣伝するために現地で作られた石版刷りのポスターが街を飾った。

文明開化の日本では、「引札」などの伝統的な広告と欧米生まれのポスターが同時代的に街を彩っていたのだ。

このコーナーでは、日本の引札や、欧米で作られたポスター、日本向けに欧米で作られたポスターなどを紹介。

 

 

 

 

 

収蔵品に見る明治期のポスターの作り方

当館では、明治のたばこ王・村井吉兵衛が自社製品のパッケージ印刷のために1899年に設立した東洋印刷株式会社の関係資料を所蔵している。

たばこの民営期から専売時代を含み100年続いたこの工場の資料には、当時の石版印刷ポスターはもちろん、その原画や印刷工程を示す写真も含まれ、明治から昭和へと移りゆく印刷の歴史がうかがえる。

 

 

このコーナーでは、石版印刷ポスターやその原画、校正刷りなどと合わせ、東洋印刷工場内での作業工程をとらえた写真などを展示。

明治期のポスター製作工程を紹介する。

原画が残っていることにより、画工が手描きで石版に写す工程を持つ石版印刷にとって、画工の腕が完成ポスターの出来を大きく左右するものだったことがうかがえる。

 

 

 

 

「図案」という概念

大正から昭和初期にかけて、写真製版をはじめとする印刷技術の発展と、留学生からの情報や海外の雑誌などに掲載された作品の影響で、「図案=デザイン」の概念を導入したポスターが製作されるようになった。

 

 

三越呉服店や上野~浅草駅間地下鉄ポスターで知られる杉浦非水らが「図案家」として登場し、商業美術の時代を切り開いていった。

大蔵省専売局では、こうした商業美術の発展を受け、杉浦非水に製作依頼し、弟子である野村昇をパッケージやポスターの製作に関わらせることに。

 

 

明治時代のポスター製作では、原画を忠実に石版に描き写すことが画工に求められたが、写真技術の発達にともない写真をそのまま使って製作できるようになったことで、図案家たちは写真とは違った、手描きならではの面白さや構図を追求したのだ。

このコーナーでは、杉浦非水、野村昇の作品と合わせ、この頃登場した写真を使用したポスターなどを紹介する。

 

 

 

 

 

開催概要

名称  : 「たば塩コレクションに見る ポスター黄金時代」

(タバシオコレクションニミル ポスターオウゴンジダイ)

会期  : 2019年12月14日(土)~2020年2月16日(日)

主催  : たばこと塩の博物館

会場  : たばこと塩の博物館 2階特別展示室

所在地 : 東京都墨田区横川1-16-3

とうきょうスカイツリー駅から徒歩8分

電話  : 03-3622-8801/FAX:03-3622-8807

URL   : https://www.jti.co.jp/Culture/museum/

入館料 : 大人・大学生:100円(50円)

満65歳以上の方(要証明書) 50円(20円)

小・中・高校生      50円(20円)

※( )内は20名以上の団体料金

開館時間: 午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)

休館日 : 月曜日(ただし、1/13は開館)、

12月29日(日)~1月3日(金)、1月14日(火)

 

 

 

編集・構成 MOC(モック)編集部
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