2019年は、渡航リスクが高まると答えたのは約半数、割合は2年前に比べて25ポイント低下。多様化する社員のニーズへの対応、社員教育が企業の渡航リスク管理の課題であることが明らかに。
医療と渡航安全の統合ソリューションを世界中のクライアント企業に提供するインターナショナルSOSは、 世界各国の医療リスクと安全上の最新のリスク評価を示した『トラベルリスクマップ』の最新版である2019年版を、コントロール・リスクス社と共同で作成し発表した。
2019年に渡航リスクが高まると予想しているが、 その割合は過去3年間で年々減少傾向に。
- 過去1年間(2018年)に渡航リスクが高まったと回答したのは47%。 昨年の63%と比較すると16ポイント(pp)低下、 一昨年の72%から25ポイント低下。
- 過去1年間(2018年)での渡航リスクは同程度だったと回答したのは45%。 昨年の31%より14ポイント 上昇、 一昨年の24%から21ポイント上昇している。
- 2019年は渡航リスクが高まると予想したのは43%。 その割合は昨年の52%と比較して9ポイント低下、 一昨年の57%から14ポイント低下している。
意思決定者のほぼ半数が、 来年は渡航リスクが高まると考えています。 今回の調査では、 多くの企業で社員の渡航時の習慣の変化が見過ごされているのが明らかになりました。 企業が社員の現在のニーズを適宜、 各種ポリシーに反映させていければ、 社員はより多くの情報を得て、 より安全に働くことができます。 変化に対応できるリスクマネジメントプログラムが引き続き重要になります。 経営陣の承認やその他の活動へのサポートを得る際にも役立つでしょう。
多様化する社員ニーズへの対応が遅れる企業
今回の調査で出張規程について調べた項目からは、 規程が今日の社員のニーズの変化に対応できていないことが明らかになった。
- サイバーセキュリティについて取り上げている企業:33%
- 女性出張者への配慮がなされている企業:26%
- ブレジャー旅行[1]について取り上げている企業:18%
- シェアリングエコノミーサービス[2]について取り上げている企業:14%
- 障がいを持つ出張者への配慮がなされている企業:10%
- メンタルヘルスの問題を抱える出張者への配慮がなされている企業:11%
- 性的少数者の出張者への配慮がなされている企業:9%
[2]シェアリングエコノミーサービスとは、 あるコミュニティが運営するオンラインプラットフォームを介して、 モノやサービスを個人間で提供したり、 シェアしたりすること。
渡航時の医療および安全の評価は、 渡航先だけでなく、 渡航者個人に重点を置く必要があります。 性別、 年齢、 性的指向、 精神的健康状態などの渡航者個人の情報や状況によって、 対応すべきリスクは異なります。 出張規程を現代の働き方に合わせていける企業は、 安全配慮義務やサステナビリティの実現も容易になります。
海外で働く社員を守るために企業が直面している課題
過去の同調査でも明らかになっているように、 渡航リスクに関する社員教育は、 今年も渡航者の安全確保における最大の課題と捉えられています。 この項目は昨年と比較して10 ポイント上昇し、 大きな問題であることがうかがえます(63%)。 以下、 次のような項目が続きます。
- 社員が渡航前情報を読んだことの確認:44%
- 渡航者の所在地の追跡:42%
- 有事の際の社員との連絡手段:42%
- 健康と安全を管理するために十分なリソースを備えていること:40%
海外で働く社員を守るために企業が行う活動
渡航承認プロセスへの渡航リスク評価の導入は、 渡航者の健康と安全のために過去1年間で行われた最も一般的な対応策であり、 この項目を選択した回答者は42%に上りました。 以下、 次のような項目が続きます。
- 渡航安全に関するトレーニングおよび安全対策トレーニングの実施:39%
- メールによる渡航前と渡航中の注意喚起:38%
- 渡航リスクポリシーの更新(多様性に関する項目を除く):36%
- 健康と安全に生じた問題の種類および件数の測定と分析:29%
- 渡航者の所在地確認プログラムの実施:29%
- 健康診断を毎年実施:28%
渡航リスクを軽減するには、 教育とトレーニングが不可欠です。 このような安全配慮義務を満たすための基本対策を講じている企業がいまだに半数に満たないのは驚くべきことです。 こうした対策を講じることで、 社員の海外出張・駐在はより円滑に進みます。 それにより、 社員を守ることに加え、 プロジェクトの投資の損失も防ぐことができます。
将来のビジネスレジリエンス(ビジネス危機管理能力)を構築するために、 改善できること
出張規程に精神的健康状態や多様性の問題といった重要点が盛り込まれていないこと以外にも、 ほとんどの企業で現在実施されていない施策があります。
- 自社のサステナビリティ(持続可能性)プログラムに渡航リスク対策を含めている企業:9%
- 道路交通事故の件数をモニターしている企業:11%
- 出張中に注意すべき健康上の問題を理解するためのプログラムを実施している企業:21%
『トラベルリスクマップ2019』および『ビジネスレジリエンス・トレンドウォッチ2019』調査結果の詳細については、 下記より。
『トラベルリスクマップ2019 日本語版』のダウンロードはこちら http://www.internationalsos.co.jp/travel_risk_map/index.html
『トラベルリスクマップ2019 英語版』の表示とダウンロードはこちら https://www.internationalsos.com/risk-outlook
『ビジネスレジリエンス・トレンドウォッチ2019』調査結果のダウンロードはこちら http://www.internationalsos.co.jp/JP_BusinessResilienceTrendWatch2019_Infographic.pdf
編集・構成 MOC(モック)編集部
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