人生100年時代を楽しむ、大人の生き方 Magazine

JAXA宇宙探査イノベーションハブのプログラム。細胞培養技術で宇宙開発における食料問題の解決を目指す。

 

 

インテグリカルチャー株式会社は、 学校法人東京女子医科大学と共同で、JAXA、 宇宙探査イノベーションハブが実施する研究提案プログラムに、 TansaXチャレンジ研究として採択された。

本研究では、 『光エネルギーおよび省リソース「藻類・動物細胞共培養リサイクルシステム」による持続的な食糧・タンパク質の生産』をテーマとして、 宇宙にて閉鎖系での食肉生産を可能とする細胞農業技術に関する共同研究を実施する。

 

 

現在、 各国にて月面基地構想や火星移住構想などの本格的な検討が進められており、 近い将来に長期の有人宇宙活動が必要となる可能性が高まっています。

月面や火星などにおける長期の有人宇宙活動をサステナブルに行うためには、 現地での食料確保が不可欠であり、 少ないリソースで効率的に食料を生産することのできる技術が求められています。

宇宙での食料生産技術として、 各国では、 植物工場や藻類培養を中心に検討が進んでいますが、 タンパク源の確保や食の満足度という観点で大きな課題を残しています。

そこで本研究では、 宇宙における藻類と動物細胞の共培養による細胞培養効率の大幅な向上と、 無重力・低重力下での培養系の確立を目指し、 より少ないリソースで効率的にタンパク源や各種栄養素を生産し、 さらに食の満足度を満たす宇宙農業の実現を目指します。

本研究の成果によって示される共培養を用いた食肉生産技術は、 宇宙だけではなく、 世界的な人口増加に伴う「タンパク質危機」が危惧されている地球上でも極めて有用です。

本技術は、 近く市場規模200兆円を超えるとされる世界の水産・畜産需要を取り込む技術的足掛かりとなることが期待され、 将来的には我が国の食糧安全保障環境の改善につながることが期待されます。

 

 

■JAXA宇宙探査イノベーションハブについて
探査ハブでは、 将来的に研究成果を宇宙探査へ応用することを目的としつつ、 地上での事業化/イノベーション創出の実現性や可能性がある課題に企業・大学・研究機関と共同で取り組んでいます。

■TansaXチャレンジ研究について
TansaXチャレンジ研究とは、 探査ハブの研究提案募集のうち、 宇宙探査および地上の新しい産業につながる「今までにない斬新でチャレンジングな研究」として募集したものです。

■細胞農業について
細胞農業(Cellular Agriculture)とは、 本来は動物や植物から収穫される産物を特定の細胞を培養することにより生産する方法です。 その一つである純肉は、 細胞培養技術を駆使して食肉を生産することで環境負荷と公衆衛生上のリスクを除去し、 世界中で高まる食肉需要に対して持続可能な供給手段を提供する可能性を持つ次世代の畜産技術です。

■インテグリカルチャー株式会社について
当社は、 細胞農業が普及する世界の実現に向けて、 細胞培養の低価格化と大規模化の技術を開発しています。 従来の細胞培養方法で純肉を生産するには、 100gで数百万円のコストがかかりました。 そこで当社では、 食品材料を用いた培養液と、 独自技術である汎用大規模細胞培養システム(通称、 カルネット™システム)を開発し、 細胞培養のコストを大幅に下げる技術を開発しました。

■当社の食品用培養液について
現行の培養液に含まれる牛胎児血清(FBS)や微量成分を、 食品もしくは食品添加物として認可された材料のみで代替することで、 価格を大幅に低減すると同時に食用に適すようにした培養液です。 後述する培養システム(特許取得済み)とともに利用することで、 純肉の生産に必要な培養液のコストを、 1リットルあたり10円以下、 従来の1000分の1以下まで低減可能です。

■当社の培養システム、 通称「カルネット™システム」について
細胞の増殖を促す成分を発する細胞と筋肉細胞等を同時に培養することで、 上記の低価格培養液の効能を大幅に引き上げ、 純肉の効率的な生産を可能とするシステムです。 現行の使い捨てのバッチ式と異なり、 弊社の培養システムは連続フロー式で細胞培養を行うため、 並列化や大型化によるスケールアップが可能です。

 

 

編集・構成 MOC(モック)編集部
人生100年時代を楽しむ、
大人の生き方マガジンMOC(モック)
Moment Of Choice-MOC.STYLE

 

PROFILE

MOC 編集部

大人の生き方Magazine MOC(モック)編集部
芸術・イベント・自治体のニュースから厳選した情報のみをお届けします。

GO TO 宇宙!「138億光年 宇宙の旅」がいよいよ本日11/21(土)から…

創立から60年余り、 宇宙開発や天体観測に偉大な功績を残してきたNASA―アメリカ航空宇宙局。 本展では、 NASAの…

快挙!スーパーコンピュータ「富岳」がGraph500において2期連続で世界第1…

ビッグデータの処理で重要となるグラフ解析で最高レベルの評価!理化学研究所(理研)、 九州大学、 株式会社フィックスター…

突如空に現れた火球!各地で観測され話題に!その正体が隕石であったことが証明され…

独立行政法人国立科学博物館は、 千葉県習志野市に新しい隕石が落下したことを確認。 隕石の落下は2018年の小牧隕石以来…

東日本大震災から9年。あの日の記憶を、私たちの明日へつなげる「震災と未来」展が…

日本科学未来館は2020年3月7日(土)~4月5日(日)、「震災と未来」展 ~東日本大震災9年~ を開催する。あの日の…

プレミアムフライデー特別イベント! 研究者による展示ガイドツアーを英語で開催!…

国立科学博物館では、 2020年1月31日(金)17:00からプレミアムトーク「ふしぎな化石動物“Curious Fo…

アート作品としての、「2025年大阪・関西万博誘致計画案」。コモングラウンドで…

現在開催中の、近未来の都市、 環境問題からライフスタイル、 そして社会や人間のあり方を来館者と一緒に考える展覧会「未来…