人生100年時代を楽しむ、大人の生き方 Magazine

京のいろとかたちを追い求め、写真で日本の美を捉え直した、岩宮武二の作品展が開催。

 

2020年1月4日(土)から3月31日(火)まで、2020年1月4日に生誕100年を迎える写真家・岩宮武二の作品展を開催。

鳥取県米子市に生まれた岩宮武二は、戦後、大阪に居を構え、生涯を通じて大阪を拠点に活動した写真家。

関西随一と謳われ、広告写真家として、また写真作家として数多くの作品を残し、森山大道らをはじめとする後進の写真家に大きな影響を与えた。

土門拳、林忠彦、秋山庄太郎らと親交を重ねた岩宮は、アンリ・カルティエ=ブレッソンやエルンスト・ハースら海外の写真家とも交流を深め、また写真だけにとどまらず、書や俳
句にも世界を広げた人物であった。

 

岩宮が写真界にデビューしたきっかけは、1954年、富士フォトコンテストのカラー部門で《マヌカン》が一等を受賞したことだった。

その後、写真家としての活動を本格化し、1955年に岩宮フォトスを設立。佐渡や東照宮、京都、琉球といった日本の歴史や風土、人々の暮らしにモチーフを求め、精力的に作品を発表していった。

被写体を叙情的にとらえながらも、造形的に画面を構成した端正な作品は、他の写真家にも刺激を与え、その眼差しはアメリカや、のちにヨーロッパ、アジアの仏像へと向けられていった。

本展は、岩宮武二の生誕100年を記念し、代表作である京都のシリーズから「京のいろとかたち」をテーマに厳選した28点を展示。

戦後まもなく訪ねた京都との鮮烈な出合いから30年以上の長きにわたり、そこに通いつめ、風景や古社寺、街並みの中に京都特有の美をいち早く発見した岩宮は、日本文化の美の真髄を探るがごとく、その色やか
たちを徹底的に撮り重ねた。

季節を彩る色、その訪れを祝う色、意匠に極められたかたち、祈りから生まれたかたち。京都で培われてきた文化や知恵を映すさまざまな色とかたちは、岩宮にとって日本の美そのものであった。

日本の美と伝統を象徴する岩宮の視覚的表現は、現代において失われた美、変わらぬ美を、今再び見つめさせます。

写真家・岩宮武二が見出し、見つめてきた「京のいろとかたち」。日本の美を追い求めた写真家の揺るぎない審美眼を

岩宮武二(いわみや・たけじ/1920–1989)

1920年、鳥取県米子市に生まれる。1938年、鳥取県立米子商蚕学校商業科(現・鳥取県立米子南商業高等学校)卒業後、阪急百貨店に入社。

その後、プロ野球チーム南海(現・福岡ソフトバンクホークス)に入団。二軍投手をつとめるが体をこわし退団。

1940年、丹平写真倶楽部に入会。1941年、応召して満州に赴く。

1945年、復員し、大阪でフリーランスの写真家となる。

1955年、岩宮フォトスを設立。関西を拠点に広告写真家として活躍する一方、精力的に作品を発表。

1966年には大阪芸術大学教授・写真学科長に就任し、後進の育成にも尽力した。

1989年、肺がんにより逝去。享年69。主な写真集に『かたち 日本の伝承I・II』(美術出版社、1962年、日本写真協会賞年度賞)、『京 kyoto in KYOTO』(淡交新社、1965年、毎日芸術賞)、『宮廷の庭Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』(淡交新社、1968年、芸術
選奨文部大臣賞)、『アジアの仏像』(集英社、1989年、日本写真協会賞年度賞)がある。

 

企画展名:FUJIFILM SQUARE 写真歴史博物館 企画写真展

「日本の美を追い求めた写真家・岩宮武二 京のいろとかたち」

開催期間:2020年1月4日(土)–3月31日(火)

10:00–19:00(入場は閉館10分前まで) 会期中無休

開催場所:FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア) 写真歴史博物館

〒 107-0052 東京都港区赤坂9丁目7番3号(東京ミッドタウン・ウエスト)

TEL 03-6271-3350 URL http://fujifilmsquare.jp/

作品点数:28点(予定)

入場料:無料

【写真展併催イベント】ギャラリートーク

写真家・榎並悦子氏と近藤宏樹氏(ともに岩宮武二写真事務所出身)が恩師・岩宮武二の素顔と思い出を語ります。

日時:2020年1月25日(土)14:00– /16:00–(出演:榎並悦子氏)

2月15日(土)14:00– /16:00–(出演:榎並悦子氏、近藤宏樹氏)

3月7日(土)14:00– /16:00–(出演:榎並悦子氏)

会場:写真展会場内

 

 

 

 

 

編集・構成 MOC(モック)編集部
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