すみだ北斎美術館では、2020年2月4日(火)から4月5日(日)まで企画展「北斎師弟対決!」を開催する。
北斎が、江戸の浮世絵師を代表するビッグネームであることはよく知られているが、その北斎には孫弟子も含めて200人にも及ぶ弟子がいたことはあまり知られていない。
浮世絵研究の先駆者、飯島虚心による北斎の伝記『葛飾北斎伝』によれば、北斎は弟子に手取り足取り指南をするタイプではなかったようですが、弟子の能力を引き出し、多くの名手を育てたようだ。
本 展 の 見 ど こ ろ
本展の中から北斎と弟子の作品の名勝負をご紹介。
名勝負① 武者 北斎 VS 卍楼北鵞
卍楼北鵞 (まんじろうほくが)
?~安政3年(1856)
葛飾風の描写を多く残し、北斎の弟子という伝承もあるが、五清の弟子という説もある。
肉筆画、錦絵、摺物、狂歌絵本の挿絵を手がけた。
▲葛飾北斎「鎌倉の権五郎景政 鳥の海弥三郎保則」(部分) (前期)
▲卍楼北鵞「椿説弓張月巻中略図 山雄(狼ノ名也)主のために蟒蛇を噛て山中に躯を止む」(前期)
名勝負② 手仕事する女 北斎VS葛飾応為
葛飾応為 (かつしかおうい)
生没年未詳
北斎の三女。
作画期は文化7年(1810)~安政年間(1854-60)と考えられている。
晩年の北斎と共に暮らしその傍らで作画を行った。
現存作品は大変少ないものの、北斎も認めた美人画の名手。
▲葛飾北斎「春興五十三駄之内 白須賀」(作品を替えて通期展示)
▲葛飾応為『女重宝記』四 女ぼう香きく処 左:部分、右全図 (通期)
名勝負③ スペクタクルを描く読本挿絵
二代葛飾戴斗 (にだいかつしかたいと)
生没年未詳
豊岡藩士で、初号は斗円楼北泉といい、文政2年に戴斗号を譲られたと考えられている。
肉筆画、錦絵、版本の挿絵など幅広く作品を手掛けた。
▲葛飾北斎『椿説弓張月』続編 巻三 石櫃を破て曚雲出現す
▲二代葛飾戴斗『画本西遊全伝』四編 五 青竜山の妖怪 三蔵を摂去
ここまでご紹介した名勝負のほか、当館所蔵の北斎の「冨嶽三十六景」「諸国名橋奇覧」と、による同シリーズの豆版(ミニチュア版)錦絵も展示する。
本展では館蔵品から選りすぐり、北斎と弟子が同じテーマで描いた作品を展示し、両者を比較する中でそれぞれの画風の特徴や影響関係に迫る。
北斎の魅力にとどまらず、巨大な師匠を前に自らの画道を模索する弟子たちの姿、これまで師匠の名の陰に隠れていた弟子の作品の魅力もご紹介する。
孫弟子含め200人!?
北斎の弟子は、現在、孫弟子まで含めて200人ほどが確認されている。
飯島虚心(*1)による北斎の伝記『葛飾北斎伝』(*2)には、北斎は門人に自ら教えることは好まず、出版した絵手本で学習させていたことが記されている。
また、当初から200人もの弟子が認知されていたわけではなく、北斎の評価が高まるにつれ北斎に関する研究が深まり、たくさんの弟子の名が記録された。
本展では、当館所蔵品から師・北斎と弟子20名の作品を、前後期あわせて約100点展示。
また、北斎の老年期に刊行された溪斎英泉『无名翁随筆』(天保4年)に始まり、『葛飾北斎伝』など、北斎の研究の中で、弟子が何人認知されていったのか研究の足跡もご紹介する。
*1飯島虚心:天保12年(1841)~明治34年(1901)
*2 『葛飾北斎伝』(蓬枢閣、明治26年)
開 催 概 要
会期 | 2020年2月4日(火)~4月5日(日) ※前後期で一部展示替えを実施
前期2月4日(火)~3月8日(日)、後期3月10日(火)~4月5日(日) |
休館日 | 毎週月曜日
※開館:2月24日(月・振替休日)、休館:2月25日(火) |
開館時間 | 9:30~17:30(入館は17:00まで) |
主催 | 墨田区・すみだ北斎美術館 |
お問い合わせ | 03-6658-8936 (9:30~17:30 ※休館日を除く) |
企画展公式サイト | こちらをクリック! |
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