すみだ北斎美術館は、6月25日(火)から8月25日(日)まで、「綴プロジェクト」-高精細複製画で綴る-スミソニアン協会フリーア美術館の北斎展を開催する。
日本美術の宝庫として知られるフリーア美術館(米国ワシントンD.C.)は、所蔵品に関して門外不出の方針を貫いているため、日本でその名を知る人は多くない。
本展では、フリーア美術館の協力のもと、北斎の肉筆画コレクションの中から13点の高精細複製画を制作。
これをすみだ北斎美術館が所蔵する約130点の関連作品と共に展示する。
フリーア美術館所蔵の肉筆画「波濤図」(※展示は高精細複製画)と、当館所蔵の版画「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」の波の表現を比較展示。
最先端のデジタル技術と本物の作品の競演を通じ、北斎芸術の神髄に迫る。
【本展の見どころ】
①北斎の大作「玉川六景図」屏風を、制作当時の構成順に再現
②フリーア美術館の名品(高精細複製画)と貴重な当館所蔵作品を、テーマごとに比較し解説
③本物では行えない展示方法を、高精細複製画の活用により実現
展示構成
第1章「玉川六景図」の研究
フリーア美術館収蔵の六曲一双の屏風「玉川六景図」は、現在の仕立てでは右隻に人物、左隻に風景となっている。
明治時代の文献や写真資料に基づく新たな研究により、後年に、その配列が再構成されていた可能性が高いことが明らかにされた。
本展では、この新しい発見による当時の配列での展示を試みている。
※葛飾北斎「玉川六景図」 (通期) フリーア美術館蔵 ※展示は高精細複製画となります。
Original: Freer Gallery of Art, Smithsonian Institution, Washington, D.C.:
Gift of Charles Lang Freer, F1904.204-205
第2章 古典と伝説
この章では鬼神や漁師、鬼や蛇など、北斎が多く描いた日本や中国の古典や伝説をテーマとした作品を展示する。
力強い雷神や愛嬌のある雷神、恐ろしい霊鬼など、同じ画題であってもバラエティーに富んだ表現が登場。
葛飾北斎『画本武蔵鐙』上 悪源太義平の霊 難波の六郎を引割く (通期) すみだ北斎美術館蔵
葛飾北斎「雷神図」 (通期) フリーア美術館蔵 ※展示は高精細複製画となります。
Original: Freer Gallery of Art, Smithsonian Institution, Washington, D.C.:
Gift of Charles Lang Freer, F1900.47
第3章 美人画
北斎はさまざまな美人の描き方を試みながら多彩なスタイルを確立していきた。
各期の描き方の特徴が良く表れているフリーア美術館の作品と当館の所蔵作品を合わせて展示、北斎の美人画の魅力をご紹介する。
葛飾北斎「枕草子を読む娘」 (後期) すみだ北斎美術館蔵
葛飾北斎「年始まわりの遊女図」フリーア美術館蔵 (後期) ※展示は高精細複製画となります。
Original: Freer Gallery of Art, Smithsonian Institution, Washington, D.C.:
Purchase – Charles Lang Freer Endowment, F1954.119
第4章 動物と植物
北斎の画業を語るうえで欠かすことのできない要素、動植物の展示。
『北斎漫画』をはじめとする絵手本や、読本の挿絵、肉筆画において発揮された、北斎は類まれな観察眼と描写力。
一つ一つの線がまるで生きているように描くことを生涯にわたって目指した。
葛飾北斎「十二ヶ月花鳥図」 (前期) フリーア美術館蔵 ※展示は高精細複製画となります。
Original: Freer Gallery of Art, Smithsonian Institution, Washington, D.C.:
Gift of Charles Lang Freer, F1904.179-180
第5章 自然と風景
フリーア美術館が所蔵する肉筆画の中には、富士山を背景として人物を点景とする構図や、波の表現などを見ることができる。
北斎が繰り返し描いた自然のモチーフに焦点を当て、その表現を比較。
フリーア美術館所蔵の肉筆画「波濤図」と、当館所蔵の版画「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」の競演となる。
葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」 (作品を替えて通期で展示) すみだ北斎美術館蔵
葛飾北斎「波濤図」 (通期) フリーア美術館蔵 ※展示は高精細複製画となります。
Original: Freer Gallery of Art, Smithsonian Institution, Washington, D.C.:
Gift of Charles Lang Freer, F1905.276
国立スミソニアン協会フリーア美術館
1923年にアメリカのワシントンD.C.に設立された美術館で、スミソニアン博物館群の一つ。
実業家チャールズ・ラング・フリーア(1854-1919)が収集した美術品をはじめ、隣接するアーサー・M・サックラー・ギャラリーも合わせて、日本美術の収蔵品数は約1万2,700点に及ぶ。
中でも北斎の肉筆画は世界屈指のコレクションを誇る。
フリーアの遺言により所蔵品はすべて門外不出とされ、その方針は現在も守られている。
関連イベントのおしらせ
講演会「北斎の肉筆画」
講師 :フランク・フェルテンズ ※講演は日本語です
(国立スミソニアン協会フリーア美術館 日本美術担当学芸員)
場所 :MARUGEN100(講座室)
日時 :6月29日(土)14:00~15:30予定(開場13:30)
定員 :60名
料金 :無料(ただし、観覧券または、年間パスポートが必要です)
スライドトーク
「綴プロジェクト」-高精細複製画で綴る-スミソニアン協会フリーア美術館の北斎展の見どころ
講師 :当館学芸・教育普及担当 ①奥田敦子 ②長谷川暢子
場所 :MARUGEN100(講座室)
日時 :①7月6日(土)14:00~14:30予定(開場13:30)
②8月3日(土)14:00~14:30予定(開場13:30)
定員 :各60名
料金 :無料(ただし、観覧券または、年間パスポートが必要です)
開催概要
2019年6月25日(火)~8月25日(日)
前期:6月25日(火)~7月28日(日)
後期:7月30日(火)~8月25日(日) ※前後期で一部展示替えを実施
※前後期で一部展示替えを実施
※休館日:毎週月曜日
※7/1(月)8(月)16(火)22(月)29(月)、8/5(月)13(火)19(月)休館
○主催:墨田区・すみだ北斎美術館
○お問い合わせ:すみだ北斎美術館
○観覧料:
一般1,000円<800円>、 高校生・大学生 700円<560円>
中学生300円<240円>、 65歳以上700円<560円>
障がい者300円<240円> ※< >は団体料金
編集・構成 MOC(モック)編集部
人生100年時代を楽しむ、
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