温泉ビューティ研究家の石井宏子さんに“大人の温泉”を伺うシリーズ第二回。
今回のテーマは「美」と「湯治」!
温泉で美しさを極めて、心と体を癒やす旅が老若男女問わずブームとなっています。
石井さんに「美」と「湯治」にまつわるオススメの温泉宿を紹介してもらいます。
温泉宿初のBIOホテル認証
まずは「美」がテーマということで、石井さんおすすめの、キレイになれる温泉宿がありましたら教えてください。
おすすめしたいのは、福島県の須賀川温泉にある「おとぎの宿 米屋」です
ここは温泉宿として初めてBIOホテル認証を取得した宿なんです。
ここの温泉は自家源泉で、この宿に泊まらないと入れない温泉です。
泉質はとろとろの感触で、お肌がつるつるすべすべになる美容液みたいな感触の温泉で、ものすごく湯量が豊富です。
全室温泉付きで大浴場も内湯と、素敵な露天と、全て源泉100%で天井から降ってくるミストサウナもあります。
料理は、“大人のおとぎ話”をテーマにしていて、シーズン毎に、年間4回お話が変わります。
そのお話になぞらえて、盛り付けが楽しく、たとえば“かぐや姫”をテーマにしていらら竹の中に料理が入っていて、光で輝かせて、目でも楽しませてくれる食事です。
BIO認証だから、全てオーガニックの料理です。
BIOホテルに認定されるためには厳しい基準があって、例えば魚でも、基本は天然の魚が中心で、養殖の場合は、魚も肉もどういうエサでどういう環境で育てていたのかを全部調べてから仕入れなければ素材として認められないんです。
もちろん、そういったことを知らずにただただ温泉に入って、ただただおいしいと言ってご飯を食べていてもとても楽しいのですけれど、口に入れるもの触れるもの全てオーガニックなので、知らずにいてもとてもナチュラルに過ごすことができます。
体の内側からきれいになれる旅館です。
お値段は2万円代から温泉付きで宿泊できます。
このホテルはBIOホテル認証を取得する以前から、食事も有機の野菜を使用していたこだわりの宿だったんですが、BIOホテル認証を取ったということで、そういった従来から行っていた取り組みがさらに進化して、全国津々浦々から多くの人が訪ねてきます。
ここはインテリアのセンスもいいですし、宿の中に宿泊者専用のカフェもあって、そういう点でも居心地良く過ごせますよ。
おときの宿 米屋
☎0248–62-7200
住所:福島県須賀川市岩渕字笠木168−2
料金:1泊2食29,310円(税別)から
*1室2名様以上でのご宿泊の場合
静かなブーム“現代湯治”
現代湯治という観点では、オススメの宿はありますか?
現代湯治ということでは、宮城・鳴子温泉の「旅館大沼」はいかがでしょう。
ここは10年以上前から、旅館の主人が「これからは現代湯治の時代だ」と、都会の人が体と心を癒やすのには温泉がいい、必要だということをずっと提唱している宿です。
都会の人がふらっと一人でも来やすいように施設を整えているんです。
温泉旅館として一泊二食で滞在できるだけではなく、湯治に来た方が自炊できる場所もあります。
ワーキングスペースもあり、全館フリーwifiがばっちり入っていて助かりますね。
今はIT系とか、会社に毎日行かなくても働くことが可能な方はいっぱいますよね。
そういう方が“ワーキング湯治”といって、一週間くらい滞在されたりしています。
“鳴子(なるこ) 構想”とか呼んでいるんですけれど。
もう本当にシリコンバレーみたいに、起業家のメッカのようにもなっていて。
温泉宿でビジネスの出会いがあるんです。
「あなたこんなことしているの?じゃあ一緒にやろうよ」
と輪が広がっていっています。
ご主人が、元々湯治場というのは、文化、情報などが行き交う、人のコミュニケーションの場所だったということを大事にしている方なんです。
湯治宿は山の人も海の人がオフシーズンに集って、海の人は昆布を持ってくるし、山の人は山菜を持ってくるし、そこでいろいろ食材の交流とか、情報の交流とかあって、人々の健康を支えてきた場所なので、いろいろな人が集まって、何かが起るということを湯治場に求めているんです。
もちろん、単純にふらっと大沼のお湯が好きで行っている人はたくさんいて、旅館として泊まる本館の部分と、湯治館の方と、両方対応していて、その湯治館の方で気軽に泊まって自炊してという方もいるし、本館の方で用意されたごちそうを食べて泊まる方もいます。
都会から一泊で来られた方は、「一汁三菜プラン」があって、発酵玄米と旬の野菜を中心にした体にやさしい食事プランもあるんですよ。
女性のひとり旅や海外の方も一人で来られて一汁三菜プランで泊まっていることも多いです。
ご褒美として体の中から美しくなれるこの食事とお湯を楽しみに行っている方もいらっしゃいます。
鳴子の温泉地を湯治におすすめしたい理由が、もう一つあります。
大沼さんの宿自体も自家源泉を持っていて、ここは重曹泉といって、炭酸水素温泉の美肌系のお湯なんですが、鳴子温泉自体が、この他にもさまざまな泉質の源泉があって、温泉のデパートみたいなところです。
隣の宿はお湯の種類が全然違っていて、泉質もお湯も見た目も感触も色も違うから。
湯巡りをすることで、いろいろな美と健康を得ることができ、“お湯力”という意味でもおすすめしたい温泉地ですね。
旅館 大沼
☎0229–83−3052
住所:宮城県大崎市鳴子温泉字赤湯34
料金:1泊2食17,000円(税別)から
*1室2名様以上でのご宿泊の場合
──そのような温泉地は鳴子の他にあるのですか?
鳴子温泉が東の横綱、西の横綱が別府温泉郷といわれています。
一つの温泉地で、たくさん温泉が湧いているところはたくさんあるのですが、泉質が違う温泉がたくさんある所は貴重なんです。
鳴子や別府はなんでこんなにいろいろな温泉があるの?
というくらいにさまざまなお湯が楽しめます。
東京に近いところでいえば箱根もそうですね。
箱根も17湯といって、17の温泉地があって、場所によって異なる泉質の温泉が楽しめますよ。
東北の名湯へ、体と心を暖めに今週末に出かけて見ましょう!!
写真:米田樹央 文:安藤紀子
編集・構成 MOC(モック)編集部
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