夏を健康に過ごす上で気をつけなければいけないのが「熱中症」。
ここ数年、地球温暖化の影響もあり、夏の平均気温は年々上昇している。
特に、昨年の夏は全国各地で歴史的な猛暑が続き、気象庁の会見では「命の危険がある暑さ。一つの災害と認識している。」と発言するほどの事態となった。
夏の熱中症に向けて正しい知識や、暑さに負けない体づくり“暑熱順化”(しょねつじゅんか)について、医師が紹介する。
ノザキクリニック院長 野崎豊先生によると、熱中症になりにくい体にするためには、本格的な夏を迎える前に“暑熱順化”を獲得することが重要とのこと。
暑熱順化とは、暑熱環境に一定期間さらされたときなどに、暑さに対抗するための「より高い体温調節能」を一時的に獲得することを指す。
暑熱順化が成立すると、以下のような効果的により体温上昇を防ぎ、熱中症が予防できると言われている。
①低い体温でも多量の汗をかくことができる。
②汗中ミネラル濃度を低くすることで多量発汗時にもミネラルの損失を軽減できる。
③血漿(血液中の液体成分)を増やすことで皮膚血流量が増えるようになる。
積極的に暑熱順化を得るためには、やや暑い環境でややきつい運動を1日30分間、数週間程度行う必要がある。
ウォーキングやジョギング等の軽い運動や入浴(シャワーのみでなく湯船にしっかり浸かる)も暑熱順化に役立ち、しかも比較的手軽に行えるためお薦めだ。
これら運動、入浴の前後にミネラルむぎ茶等のミネラルと水を含む飲料をしっかり摂ることで、より効果的に暑熱順化を進めることが期待できる。
ゴールデンウィーク明けの急激な気温上昇、および湿度の高い梅雨時期に熱中症の方が増えるため、暑熱順化が望ましいと思われまる。
昨年の酷暑、今年の夏の予測は?
気象庁観測データ
日本最高気温を5年ぶりに更新の昨夏。
4月には全国27ヶ所で真夏日を記録、観測史上1位。
昨年の夏は、全国各地で記録的な猛暑が続き、埼玉県熊谷市で41.1℃まで気温が上昇、日本歴代最高気温を5年ぶりに更新、4月の段階で真夏日を迎えたところは全国で27ヶ所もあり4月の観測史上1位となった。
関東でも、埼玉県熊谷市や群馬県の館林などが30℃以上を記録した。
2018年の熱中症による救急搬送者数も全国で9万5073人と2008年の調査開始以降、年間最多となり、気象庁の会見で「命の危険がある暑さ。一つの災害と認識している。」と発言されるほどの事態なった。
今年の夏はどうなる?
湿度が高いと熱中症の危険性が高まる
気象庁によると、今年の夏は35℃を超える猛暑日は昨年に比べ少なくなる見込みと発表されている。
ただ、気温はほぼ平年並みの見込み。
また、エルニーニョの影響で湿度の高い蒸し暑い日が多くなる可能性もある。
熱中症の危険性は、湿度が上がるほど高まるため、今年も引き続き熱中症への警戒が必要だ。
「冷夏」こそ熱中症に注意。
低い気温でも熱中症が発生する可能性あり!
熱中症は高温時に多く発生するが、冷夏のときには暑熱順化ができない、もしくはできにくいため、注意が必要だ。
元々体温調節が苦手な小さなお子様や高齢者はさらに注意が必要だ。
冷夏のときにも意識的に暑さに慣れるよう暑熱順化を行うことと、日頃の水分、ミネラル補給が熱中症予防のためには重要。
熱中症とは?
熱中症が起きるしくみ
高温の環境下で、体内の水分やミネラルバランスが崩れたり、体温調整機能が破綻することで、体内に熱がこもり発症する。
体温上昇、めまい、体のだるさ、ひどい時には痙攣や意識障害、さらには最悪死に至る。
通常、体内の熱は皮膚の血流を増やしたり、汗をかくことで、体外に放出される。
しかし、気温や湿度が高いと、多量の汗をかいても、体内の熱を外に逃がすことができず、体内の水分、ミネラルバランスが崩れ、体温調節機能が崩れ、熱中症になってしまう。
日中だけではない。「夜間熱中症」に注意
気密性の高い住宅では、日中の日差しで壁や天井に熱が蓄えられ、夜に放射熱となって室内に流れ込んでくため、夜中でも室温が下がらず、夜間熱中症が発生する。
特に壁がコンクリート造りの場合、暖まりやすく冷めにくいので夜になっても室内の温度が下がらない。
夏に生じる熱中症の殆どが室内、夜間に起きている。
熱中症に注意が必要な人
体温調節機能が未発達な乳幼児や暑さを感じにくく、体温調節や発汗機能が低下している高齢者は特に注意が必要。
暑さに負けない体を作る、“暑熱順化“とはー熱中症対策に、なぜミネラル入り飲料水?
“暑熱順化“とは?
本格的な夏を前に今から行ってもらいたいのが、熱中症にかかりにくい体にする“暑熱順化”。
暑熱順化とは、徐々に体を暑さに順応させることだ。
暑熱順化が成立すると、体が上手く発汗できるようになるので、体温の上昇を防ぎ、熱中症の予防につながりる。
“暑熱順化“をする方法
暑熱順化を行うにあたり重要なのは、汗腺を鍛えることで上手に汗をかける体にすること。
すなわち、発汗を促す自律神経反応、ならびに汗腺の働きを活性化することだ。
具体的には、手軽に汗をかけるウォーキングやジョギングなどの「運動」や「入浴」を推奨する。
入浴はシャワーだけではなく、しっかり40℃10分程度湯船に浸かり、深部体温を約1℃上げ、発汗することが重要だ。
この時、気をつけたいことは汗をかきすぎて、浴室で脱水症を起こさないこと。
うっすらと額に汗をかく程度でとどめておくこと。
ただし、いずれの場合も汗をかくため、適切な水分、ミネラル補給を行い安全に行うことが重要。
また十分な水分、ミネラル補給を行うと、血液循環量が増え汗をかきやすくなるため、暑熱順化も進みやすくなる。
ミネラル 入りむぎ茶には、「血流改善効果」や「体温下降作用」もあり、安全に暑熱順化をするための飲料としても効果的。
運動、入浴ができない方では、普段の生活を少し変えるだけでもいくらかの暑熱順化が可能。
例えば、冷房の効いた涼しい部屋だけで過ごし、汗をかく必要のない生活を送っていると、急に暑い環境にさらされたときに、体温を調整する機能を発揮することができない。
冷房の設定温度を高めにする、朝夕は室内に外気を取り入れるなど、冷房に依存しすぎない工夫をし、本格的に暑くなる前に、少しずつ体を暑さに慣れさせることが大切。
賢い水分補給で熱中症対策!医師がオススメの「点滴飲み」と、健康的な飲み分け方法
熱中症対策に効果的「点滴飲み」とは?
熱中症は発生した当日の水分とミネラル不足から起こるのではなく、数日前からの不足が原因で発生する。
また、水分とミネラル補給は、一気に行っても血液内に吸収された時にしか効果がありませんので、少しずつ継続的に飲む「点滴飲み」が効果的。
健康的なシーン別の飲み分け方法
ミネラル入り飲料は、適度な塩分とミネラルを含み糖分を含まないことから、「エネルギー消費量はさほど高くないが汗をかく」という、暑い時期の日常生活を過ごす大半の方におすすめできる熱中症予防飲料。
スポーツドリンクは、糖分が多いため吸収されやすいのですが、エネルギー消費量がさほど高くない大半の人にとっては、後引く甘さのためつい飲み過ぎてしまうことによる糖尿病(一過性の)リスクや、肥満リスクがありる。
また、経口補水液は、脱水症状に陥ってしまった後、特に医師から脱水状態の食事療法として指示された場合に限り飲んで良い飲料。
自己判断で予防的に飲むと塩 分の過剰摂取になることがあるため注意が必要だ。
ノザキクリニック院長 野崎豊先生
調査:赤穂化成株式会社
編集・構成 MOC(モック)編集部
人生100年時代を楽しむ、
大人の生き方マガジンMOC(モック)
Moment Of Choice-MOC.STYLE