2020年2月18日(火)~3月14日(土)にて、 第20回写真「1_WALL」グランプリの、 平本成海の個展を開催。
平本成海は、 新聞をモチーフに自室で一日一作品を制作し展示した「H30N」で、 第20回写真「1_WALL」グランプリに選出された。
審査員からは、 それぞれの作品のつながりに気づかされる展示構成や、 作品の完成度の高さが評価された。
平本は、 毎日届けられる新聞に掲載されている画像や記事から着想を得て自室で作品をつくり、 その新聞の刊行日中にSNSに載せる、 という独自のルールのもと作品を制作している
。
新聞から抽出した複数の画像をつなぎ合わせたり、 細かく編集加工された作品には、 不自然に変形した女性の顔や、 辻褄の合わない風景など、 どこか違和感がある。
日々、 制作され続けるこれらの作品が意図することとは一体何なのか。 新聞を使って自室で制作される平本の作品には、 部屋の内外、 事実と虚構、 公共と私、 といった境界線が見え隠れするようだ。
個展では境界線やルールをキーワードに、 空間全体を使った立体的な展示を行う。
会期中の3月11日(水)には、 東京国立近代美術館主任研究員の増田玲さんを迎え、 トークイベントを開催します。 受賞から約1年後の個展を是非。
平本成海
2017年よりグループ展などで作品を発表。
第20回写真「1_WALL」グランプリ。
近年、 「PGI Summer Show 2019 “monoとtone”」(PGI | 東京)などの企画展に参加。
【審査員コメント】
毎日自宅に届く地方紙の紙面から選んだ写真を複写し、 それを加工して新たなイメージをつくり、 その日のうちにSNSにアップする。
平本成海の制作プロセスとは、 そのサイクルの反復である。 個々のイメージは謎めいている。 これらはいったい何なのか?
「写真はコードなきメッセージである」とはロラン・バルトの言葉だ。
語義と文法に従えば、 少なくとも文字通りの意味は了解される言語記号とは異なり、 メッセージとして発信された写真には、 読解のための汎通性のある規則=コードは存在しない。
にもかかわらず、 私たちは日常にあふれかえる写真に対して、 あらためて疑問を抱くでもなく接している。
narconearcoはおそらくそういうことをめぐって発信されたメッセージだ。
だとすれば、 どうやら受信者として指定されているらしい私たちに期待されているのは、 個々のイメージの謎を解くことではなく、 それらを謎として受けとる私たちの思考そのものを観察することなのではないか。
そんな受信の作法を身に着けた時、 ひょっとすると謎はいっそう深まるのかもしれないけれど。
増田玲(東京国立近代美術館主任研究員)
展示概要
会期:2020年2月18日(火)~3月14日(土)11:00-19:00
日曜・祝日休館、 入場無料
主催:ガーディアン・ガーデン
※オープニングパーティー 2020年2月18日(火)19:00-20:30
※参加無料、 要予約日時: 2020年3月11日(水)19:10-20:40
増田玲(東京国立近代美術館主任研究員)×平本成海
詳細はウェブサイトよりご確認ください。
編集・構成 MOC(モック)編集部
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